買おうと思いながら手を出していなかったのだが、取り敢えずレンタルで観る。
- 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
- 発売日: 2005/04/14
- メディア: DVD
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ストーリーの骨子は未知の液体による超高圧蒸気を封じ込めた、「原子力にも匹敵する」パワーソースを巡る策謀。善と悪があるのではなく、それぞれの正義があるというスタンスはAKIRAにも共通するもの。
色を抑えた落ち着きある画面は派手さには欠けるが、アクションとしてはなかなかなスピード感。
全体を通じて3DCGを存分に活用しているが、それは丁寧に調整されてセル画に良く馴染み、僅かに人の手では不可能な動きの滑らかさにその名残が伺えるのみ。
人物描写などはチープと言ってもよい位。騒々しくて金のことしか考えていないアメリカ人、伝統を重んじ変化を嫌う、物静かなイギリス人。金持ちで常識知らずのお嬢様、人の話を聞かないマッド・エンジニア。これらステロタイプなキャラは一個人としてというより役割としての、世界の/国家の/人類のそれぞれの側面を象徴するRollなのであろう。科学技術と倫理のバランス、選択を迫られる主人公。メッセージ性はあるが、しかしそれすらも演出に過ぎないのかも知れない。
クライマックスの「チープな」決め台詞とそれを活かしたオチはお約束を存分に理解したオタク向けか。
興行成績が悪かったというのが信じられない。子連れの主婦層にウケが悪かったのが敗因だろうか。
野暮を承知で突っ込んでしまえば、超高圧のスチームを(それがどんな物質であれ)閉じ込められる球殻が当時の技術力で製造可能とは思えない。あの世界で真に超技術なのは高圧の蒸気自体ではなくボールの構造の方で、これを応用できればどんなに圧が上がってもスチーム城は爆発せずに済んだ筈、というかその強度が実現できればどんな攻撃も通用しない装甲になるだろう。目の付けどころがちょっとずれているような。