はじめてなゲーム会

日曜日は某所にてサークル例会に飛び入り参加。
紹介して頂いた方が遅刻とのことでどうしようかと思ったのだが、とりあえず会場まで赴く。が3室にそれぞれアナログゲーム系の例会が立っているようで、どれだか判らないので暫く待つ。結局どの部屋かという連絡を受けて先に入室。


コンヴェンションのような公開の場でほぼ全員が初顔合わせ同士な環境であっても初めての場というのは少々馴染み難いものだ。ましてやサークルの例会となると、オープンな例会であっても既に馴染み同士の間に新参者が入って行くわけで、どうしても敷居が高い。しかも唯一の顔見知りがいないとなれば尚更。
そんな状況にも関らず、これほどすんなり溶け込める会は初めてだった。
各人がフレンドリーというのもさることながら、代表者が適度に仕切ってくれるため全体に進行がスムーズで、ボードゲーム会でありがちな「全卓が非同期にゲームを進行させており手持ち無沙汰で長時間待つしかない」とか「常連同士で固まって一見が入り込めない」といった感じがまったくない。
また、ほぼ全員が単なる素人ゲーマーではなく何らかの形でゲームに関る仕事をしているという稀有な構成によるものなのか、話題が幅広くかつ共通接点を持って連携しており、非常に話し易い感じだった。


取り敢えずどんな場か判らなかったのでお気に入りボードゲームを主体に数本持ち込んでみた。


最初にさっくり簡単なブラフ系ボードゲーム「ピラニアペドロ」に参加。ペドロが小さな島からフラフラ千鳥足で歩いて海に落ちるのを手持ちの足場コマ(玉砂利)を置いて助けるが、足場が尽きて海に落ちたりピラニアに喰われたり、あるいはボードの端から転落したらラウンド終了。
移動はカード制で、4方向それぞれに1〜3マス、計12枚のカードから1枚を選んで伏せて出す。スタートプレイヤーから順に行動を処理してゆき、海に出たら足場を置いてゆく。ラウンド終了までの間は、使用済みカードはもう使えない。
ペドロが落ちたら落としたプレイヤーが盤上からピラニアをひとつ取り、全員が使わなかったカードに記された個数を合計して足場を受け取る。1歩だけ動くカードは落ちる危険が少ない代わりに使ってしまうと足場が1個少なくなってしまう。2歩だと1/2個、3歩は0個。3歩カードだけ使って終了したラウンドなら足場合計は6個になる。
自分が安全なように動くと、他人も安全に動き易くなる。例えば自分が→方向に3動いたとすれば、その3マスには既に足場が組まれているので、逆方向に3動いても安全だ。が、その辺を見越してわざと逆に動くと、相手は足場のない海に踏み出さざるを得なくなってしまう。
また落ちないように慎重に動くと足場を温存できるが、次ラウンドで使える足場が少なくなりがち。かと言って3歩移動ばかり繰り返すとあっという間に足場がなくなりピラニアの餌食。
誰かがピラニア2匹目を取ったらその人が負けでゲームセット。
玉砂利と言えばランドルフ翁の「イースター島」なんてのもあるが、ああいうゲーム用でないものを流用するの好きなんだろうかドイツ人は。
ペドロが大変な目に遭うのを楽しむ、軽く遊べるパーティーゲームの体。2回やって1回負け。


ここでRPG部屋とボードゲーム部屋に分かれる。RPGは参加したかったが確実に遅くなるのでボードゲームに(結局遅くなってしまったのだが)。


まず軽くトリックテイキングゲーム「ボトルインプ」。1〜37、3色でのマストフォローなトリックテイキングだが、切り札の扱いがちょっと変わっている。最初は丁度中間の数字「19」が出されてこの上にボトルが置かれており、親の指定色と同じ色のカード中でこの数字以下のカードがすべて切り札と扱われ、かつ最も現在の切り札指定に近い数が勝つ。
で、ここが重要:切り札で勝つとそのカードが新たな切り札指定数となり(つまり閾値が下がる)、出した人にボトルの所有権が移動する。取ったカードに書かれたコイン数が得点になるのだが、ボトルを持った人は逆にコイン数が失点となる。
つまり、早期に切り札でカードを稼ぎつつ、どこかでマストフォローを利用してより小さな数を出させてボトルを押し付けることで得点だけを稼ぐのがこのゲームの肝というわけだ。が、ゲーム開始時に1枚をボトルの下に伏せて置いておくので、必ずしも全ての数字が誰かの手札にあるとは限らない。1があるだろうと安心して2を出したはいいが1は既に処分済み、ということもある。またフォローすべき色がなければ自由に他の色を出せ、この時には切り札扱いにならないので、そこを狙って小さなカードを処分しておく手もある。
簡単軽量ながら考えるべきところが多い、なかなかの良作。ただカードの数字毎色分布を見ながらのプレイになるのがちょっと難しいところか。3ラウンド中2ラウンド目に初手から切り札で点数を集めつつマストフォローで誘い出し譲えうプレイが決まって最終得点は100ほど。


次に持ち込んだドミニオンで卓が立つのを尻目に2008年の大賞受賞作、クニツィアの「ケルト」。例によってメカニズム先行フレーヴァ後付けで作られた作で、ボードデザイン以外ケルト一切関係ない。唯一ケルトっぽいのはスタートプレイヤー選出手順「最近アイルランドに行った人」ぐらいか。
カード式双六で5列10マスを進んでゆく。当該列の色カードが出せればその列のコマを1マス進めるというだけなのだが、進め方のメカニズムがなかなか素晴らしく嫌らしい。各色0〜10各2枚しかないカードを8枚手札とし、最初に出した数字に対して2枚目あるいは3枚目の数字がより大きかったらそれ以降はどんどん大きな数方向へ、逆に小さかったらどんどん小さな数方向へしか出せないのだ。つまり0→2と出したら次は3、4、5、6という風に。いきなり7とか出てしまったらもうそれ未満の数は死に札である。
カードは1枚出して1枚引くしかできないのだが、そのうち「今出したくない」状況になることがある。例えば本命の列で4まで出したが、同じ色で今のところ9しか持っていないといった状態。ここで9を出してしまったら、恐らくあと1〜2歩しか進めない。できれば5〜8のカードを2枚ぐらい引きたいところだ。
そんな時は1枚を捨ててもいい。ただし自分の捨て山の一番上は、誰でも任意に(山札から引いてくる代わりに)取って良いので、自分にとっては邪魔でもそれが誰かを助けてしまうことになる。1手番を無駄にすることも含め、妨害要素皆無でじわじわとしか進行しないゲームではなかなかに致命的なことだ。
各コースには5枚、特殊チップが置かれる。チップの位置はコースごとに異なり、内容もランダムのため偏りが生じるので、どのコースを何のために進みたいかが異なってくるだろう。止まると1〜3点が加算される点数チップ、止まるとどれか任意のコマを1進められる追加移動チップ、それに取った個数に応じて点数になる願いの石(これだけは早いもの勝ち)。
7マス目以降に合計で5個のコマが進んだ時点、または山札が尽きた時点でゲームセット。進んだ距離に応じて得失点、願いの石の枚数に応じて得失点。
各コースは移動開始してしまうと最初3マスまでは失点となってしまう。進む気がないなら最初から出さない方がいいのだが、カードの引き次第ではそうも言っていられなくなる。
願いの石は取らないと失点。1個だけではほとんど失点が軽減されないが、2個取った瞬間にプラスへ転じる。その差実に5点。どう頑張っても50点行くかどうかぐらいの得点バランスだから、この差は大きい。
進みたいのに進めない、他人を気にしながらソリティアする、ディレンマばかりでカタルシスがない、そんな感じの地味ゲーム。悪くはないがなんか疲れる。これを選出するあたり年間ゲーム大賞は実に渋いと思う。2回プレイして2位・3位。手札が恨めしい感じ。


隣で猛烈に回転するドミニオンを尻目に、お次は持ち込みの「バザリ」。運、心理戦、交渉のバランスが取れた傑作と評価している。
一斉に6面ダイス1個振って28マスの市場をぐるぐる回りながら宝石を集め得点を競う。誰かが1周した時点でラウンド終了して得点計算、3ラウンドで終了。
移動を処理したら、次に行動権宣言に移る。各自宝石、得点、ダイスの3種類の行動カードから1枚を選んで伏せる。この宣言によりそれぞれ現在のマスに描かれた種類/数の宝石を取得、現在のマスに描かれた数字(4〜7点)分の得点を獲得、1D振って出目分進んだ上で6-出目分得点、が行なえるのだが、誰かとバッティングした場合は宝石で行動権を買い取る交渉が開始される。3人以上のバッティングだとそれを選択したプレイヤーは誰も行動できない。
宝石は4種類、それぞれに8/10/12/14の価値があり、ラウンド終了時に各種類を最多保持していたプレイヤーがその分得点し、その種類の宝石を3個場に戻す。最多が複数なら得点を分割(端数切り捨て)、2個づつ戻す。
1周周り切ったプレイヤーは全員10点獲得。
1周がそこそこの点数であること、ダイス目が悪ければ得点も得られることからダイス権は結構分の良い得点手段と言える。平均8ダイスで1周するわけだから、そのうち4ダイスが得点付き移動であれば平均で+10点、つまり1周するだけで20点。3ラウンド全部やったら60点である。
得点権は平均5.5得点。誰もダイス権を使わなければ8回ほど得られるが皆無ということはないだろうしダイス目が良い人の存在も考慮するとして6ターンほどかかるとすれば33点。収支としてはこちらの方がダイスより分が良いが、全ダイスなプレイヤーがいると4ターン程度で終わる可能性もあり、その場合22点とほぼ同値。
宝石権は終了時それぞれに8〜14点とあまり高くないように見える。が複数の宝石でトップを取れるなら最大で44点と高得点を狙える。また他人より3個以上多く集められれば市場に戻す分を含めてもアドヴァンテージが得られるし、なにより交渉の材料であるわけで、これを欠かすことはできない。
交渉は宝石の数、種類の順に優先処理される:つまり12点の宝石2個と8点の宝石3個では、単純に得点価値の合計では等価に見えるが、個数が多い8点3個の方が上と見做される。
基本的には相手が最多となっている種類の宝石を優先的に出して個数を稼ぐか、既に最多が別にいる種類の宝石を最多より少し少ないぐらいまで出して個数を稼ぐか、いずれにせよ「あまり利にならないが呑まざるを得ない」ように仕掛けるのがコツ。あるいは「これじゃ呑めない」ぐらいのギリギリの線を出すことで相手に多く支払わせるか。
先行状況の上に最終ラウンドで赤以外の3色を確保したためぶっちぎってトップに。


最後はLast Night on Earth。最後に大物を持って来てしまったのは時間配分的に失敗だった。
例によって王道「Escape in the Truck」をプレイ。追加セット混入、人間側一人1キャラ担当+ゾンビ一人でスタートする。
ゾンビは序盤の手札がいきなり攻撃的なので戦闘に持ち込みたいが、距離を空けられ手札が使えない。こういう時は勿体なくても捨てて移動系や妨害イヴェントを引くべきだった。
ゾンビはかなりクレヴァーな(脳腐ってんのに)動きで広く散会しヒーローの動きを封じる。1箇所に固まると殲滅されるショットガンの存在もあってこれが最良手ではあったが、男を奮い立たせるアマンダ姫を中心に密集陣形を組んだ人間に手出しできない状況に。二度に渡る「噛み付き」感染攻撃も打ち消され、思うように死者を出せない。また初期ゾンビの出目が良過ぎて追加出現させられないので戦術的に厳しい状況が続く。
対して人間側はアマンダを中心に鉄壁の布陣で移動。ガソリンは見付けたものの鍵を引けず時間だけが過ぎてゆくが、残り1/3を切ったあたりで終に鍵発見、ここで単身給油に向かう神父を助けるために高校生カップルがゾンビを一手に引き受ける囮役を勝って出、スーパーマーケット店員はショットガン片手に給油を邪魔するゾンビの元へ。給油完了→エンジン始動したところへゾンビを振り切って高校生合流し全員揃って脱出。
いい感じに追い詰めはしたものの天然防御兵器アマンダを攻略できなかったゾンビの負け。やっぱり戦闘効果に拘らず妨害イヴェントを狙って引きまくるべきだった。


楽しく遊び過ぎて帰宅予定をかなり超過してしまったのは失態。ていうかもっと遊びたい、話し足りない。
参加しなかったボドゲ卓ではレッドノヴェンバーが楽しげ。あれ気になってたんだよな。ある意味ではLNoEと似た感じの、ノリで楽しむ馬鹿ゲー(褒め言葉)っぽい。