iOSアプリ内での課金承認がトラブった

iOSのゲーム内課金でトラブって、操作ができなくなってしまった。
運営元に問い合わせたら「Appleに問い合わせろ」というのでそうしたけど、Apple側には課金情報がなかったので対応しようがない。
そのように運営に伝えても「Appleに」の一点張りで、埒が明かない。

経緯

課金に関するトラブルが発生したのは、A社が運営するTオンラインというiOS用のオンラインRPGである。購入リクエストが承認状態にならず、「承認を待っています」のまま一切の操作ができなくなってしまった。

iOSでは、自力決済手段を持たない未成年のアプリインストールやアプリ内購入については、決済権を持つファミリーアカウントに承認リクエストが送信され、パスワードあるいは生体認証によりこのリクエストを承認するとダウンロードや購入が可能になるという仕組みがある。
子供からアプリ内課金の申請があったため了承し、支払いリクエストを承認したところ、完了前に予期せぬ割り込み操作が発生したために承認が立ち消えてしまった。
どうやら、AppStoreだかiOSの設定だかで予め承認だか設定だかをしておかないと課金処理ができなかったらしく(子の端末側で何かダイアログが出たので操作したのだけれど、具体的な内容は失念してしまった)、要求に基づいて操作を行なったものの、途中でそのようなインタラプトが発生することは想定外だったのか、承認済みという情報がアプリに届くことなく消えてしまったようだ。

ところがアプリ側では課金承認待ちの表示が出たまま待機中で、一切の操作を受け付けない。どうやらリクエストに対してタイムアウトなどの処理は存在しないらしく、以降何日経過しても状況に変化がない。
iOSかアプリ側で引っ掛かっているだけという可能性を期待してどちらも再起動し、またAppleIDの認証にエラーがある可能性も考えて一度サインアウトしてから再度サインインし直してもみたが、結果は変わらず。
このままでは課金以前にゲームが続行不能であるので、サポートに問い合わせることにした。

運営への問い合わせ(1回目)

通常、ゲーム内のトラブルはアプリ内から問い合わせを送る。この時、アカウント情報や端末情報などが吸い上げられるため、運営側が問題発生の原因を絞り込みやすくなっていると思われる。
しかし今回はアプリ内での操作が不可能であったため、代わりにアプリ公式サイトの問い合わせフォームから使用中の端末種別やOSバージョン情報などを記入して、問い合わせを送った。
これに対する回答は以下の通り。

お問い合わせありがとうございます。
(T) サポートです。

お問い合わせいただきましたファミリー決済の件でございますが、ファミリー決済の承認が完了されていない場合には、iOS側で承認かキャンセルを行っていただく必要があり、弊社のアプリ内で承認及びキャンセルを行うことができません。

また、弊社ではお客様の端末の設定状況を把握するのが困難であり、Apple ID等の個人情報を頂戴して対応することが出来ません為、大変お手数ではございますが、Apple社のサポートを受けていただきますようお願い申し上げます。

※本件は、Apple社のオンラインサポートでは、対応を行ってもらえません。
※本人確認の都合上、保護者の方とお近くのApple Store、及びApple正規サービスプロバイダの店舗に行かれますようお願い申し上げます。

この度はご連絡のお手数をお掛けしておりながら、誠に恐縮ではございますが、上記内容のご確認の程を宜しくお願い申し上げます。

要約すれば、「課金処理の問題はApple側の担当なのでデベロッパー側では対応できない」「課金承認かキャンセルを送ってもらう必要がある」「本人確認が必要になるためAppleのオンラインサポートでは対応できないので、必ず対面サポート窓口に端末を持ち込むこと」。

Appleへの問い合わせ(1回目)

しかしAppleStoreへの持ち込みでは平日に親子揃っての行動が難しく、また予約も一杯で対応まで非常に時間がかかる。そのため、まずはAppleの電話サポートに頼ることにした。
結論から言えば、Apple側では端末のシリアル情報とAppleIDへのログイン操作によって本人確認を行なうことで、AppleID内の課金記録を確認してもらうことができた。つまり「オンラインサポートでは対応できない」という運営側の認識は正しくないと考えられる。

なおAppleIDには課金の事実は記録されていなかった。これは処理の流れ上、

  1. 子のIDから親のIDへ課金リクエストを投げる
  2. 親のIDから子のIDへ課金承認を返す
  3. 子のIDからアプリへ課金の成功を戻す
  4. アプリ側からAppleへ、課金承認済として投げる
  5. Apple側で課金処理

という段取りの、2から3に至る途中でエラーが発生したために3以降の処理が行なわれていないことによるものと思われる。処理が完了していないため、課金は発生しておらず、従ってApple側では関与できない。
(この流れは筆者の想像によるもので、事実と異なる可能性がある:たとえばAppleによる課金が先に処理されてからアプリに情報が戻されるのかも知れない。いずれにせよ課金処理自体が成功していないため、取り消すべき課金が存在しないことに変わりはない)
もちろん、端末側では既に1回限りの課金リクエストを送信し、承認を返信済であるため、これらを再送する方法もない。

こうなると、他にユーザ側でできることは何もない。そしてApple側としても、記録がない以上は何もしようがない。
つまり、これはもう運営側の問題で、処理待ち状態のまま引っ掛かっているものを解除してくれれば話は終わる、というかそれ以外には解決方法がないものと考えられる。

運営への問い合わせ(2回目)

ここまで確認した上で、(ほぼ上記の内容をそのまま)運営側に再度メールする。しかし返信は「とにかくウチじゃなくAppleで、それもオンラインでは駄目だから対面サポートに持ち込め」。こちらの書いた内容を読んでいないとしか思えない。

Appleへの問い合わせ(2回目)

念の為、Appleのサポートに再度問い合わせて「運営側からはAppleストアに持ち込めとしか言われないんだけど、これ持ち込みでなら解決できる問題なのか」と訊いてみた。しかし「ハードウェアの修理ならばともかく、AppleIDでの課金処理とアプリ動作に関してはAppleストアで解決する問題ではない」との回答を得た。まあそうですよねー。

運営への問い合わせ(3回目)

というわけで再々度、運営に対してApple側の見解も添えてメール。しかし返答は相変わらず「Appleストアへ行け」。

つまり、A社のサポート窓口は客からの問い合わせ内容を碌に読みもせず、問題の解決をサポートするつもりがない、と判断せざるを得まい。
埒が明かないので社の代表電話番号(なぜか会社概要などには掲載されていないので求人情報に掲載されていたもの)をググり、電話してみる。しかし「運営サポート側ではメールでしか問い合わせを受け付けない」との返答。そのメールで問題が解決しないから直接電話してるんですが。

終わり

以上、ユーザ(の保護者)から見た、オンラインゲームのサポート不備問題についてまとめた。問題は未だ解決しておらず、もうゲーム自体をやめる以外の手がないのではという気がしている。
あくまで一消費者の視点からは運営のサポートがとんでもなく不誠実に見えているんだけれど、ゲーム運営に詳しい人から見ると違ってくるんだろうか。

とにかくまともな答えが得られないので、ちょっと質問状を送り付けることにした。
質問に回答があり次第(あるいは回答が得られない場合はその事実を)、公開することにする。

追記:質問状その他

運営に対し、3回の問い合わせメールの後にこのような質問状を送付した。
回答が来る(か、あるいは期限が過ぎる)まで掲載を待とうかと思ったのだが、その後プレイヤー当人からの問い合わせというか症状報告のメールに対して「同じ内容を何度も送ってくるからもう返答しない(大意)」との返信があった一方で私からのメールには一切の返信がなく、つまり対応する気がないという意思表示であろうと判断したので、回答を得ることを諦め、質問内容のみここに公開する(一部の伏せ字以外は原文通り)。

これまで再三にわたり、T オンラインのアカウント動作不具合に関して質問をお送りしました(プレイヤー当人のメールアドレスからお送りしています)が、こちらの説明と要求に対して誠実な回答が頂けていないと感じております。
つきましては、保護者のアカウントより質問状を送付致しますので、下記質問に対してご回答を頂きますよう、宜しくお願い致します。
回答期限は10日後の2018年11月24日中とします。期限内にお答え頂くことが困難な場合、理由を添えてその旨ご連絡下さい。

なお、この質問・回答内容およびこれまでのメールによる回答につきましては、経緯説明と共に公開させて頂きます。


■経緯の確認
iOS用のゲーム内に於いて、未成年であるプレイヤーがアプリ内課金を行ない、保護者のAppleIDに対して課金承認リクエストが送信された。
保護者のAppleIDではこれを承認したが、この時プレイヤー側のAppleIDで、課金を処理するために何らかの設定が不足している旨ダイアログが示され、設定画面に移行した。
これによって課金承認済の情報が行き場を失い、アプリが課金完了を認識することなく消えてしまった。
アプリ側では依然として課金リクエストの承認またはキャンセル待ちの状態にあり、操作がロックされているが、承認もキャンセルも返らない状態であるためロックが解除されなくなった。
これを解除するためには、なんらかの方法で課金リクエストの承認またはキャンセルをアプリへ返す、あるいはアプリ側で課金承認待ち状態を解除する必要があると考えられる。
既にプレイヤー側でも保護者側でも課金リクエストの承認操作は完了しており、再度リクエストを発行する手段もなく、端末の操作では問題を解決することができない。
そのためAppleのサポート窓口に連絡し、本人確認を経てプレイヤー及び保護者のAppleIDに記録された課金情報の確認を行なったところ、当該の課金処理が記録されていないことが判明した。従ってApple側でも、(そもそも課金の事実がないため)これを運営側に通知あるいはキャンセル処理を行なうことができない。
つまり、問題を解決可能なのは唯一、T オンラインの運営会社であるA株式会社のみであると思われる。

■要求内容
T オンライン内の、課金リクエスト承認待ち状態でロックされている当該ユーザアカウントを特定し、その課金リクエスト解除を要請すること。
また、そのためにプレイヤー側でなければ不可能な行為あるいは情報提供の必要があれば、その内容を示すこと。Apple社に対し要請すべき内容があれば、それを示すこと。


■質問状

◆1◆「AppleストアまたはApple正規サービスプロバイダに行く」ことを要求する理由
これまでのメールによる回答で、運営側は常にこの内容を繰り返していますが、その理由として「本人確認の都合」としか書かれていません。
これは「AppleID上での決済情報を確認するために本人確認が必要であり、それは対面窓口でしかできない」との認識によるものでしょうか?
だとすれば、既にオンラインで本人確認が済んでおり、当該AppleID(プレイヤー当人、および保護者の両方とも)に於いて課金が行なわれていないことを把握済みですので、対面窓口に行く理由はないはずです。
それとも他に何か対面窓口でなければならない理由がありますか?

◆2◆課金承認待ちを解除できない理由
今回の件は、そもそも課金処理が途中で消えてしまっており、決済情報が存在していないためにAppleでは処理の取り消しなどの操作が不可能で、またユーザ側でも既に承認を求めるリクエストが消えており再送もできないため、手の施しようがありません。
しかしながら運営からの回答メールでは「Appleからユーザを特定可能な情報が提供しなければ対応できない」と繰り返すのみで、そもそも決済の事実がない旨が無視されています。
もちろん、「課金情報がない」というのはユーザがAppleから確認した情報であって運営側が確認できた情報ではないため、それのみを以て取り消しに応じることが難しい事情はあろうかと思いますが、だとすれば運営側からAppleに確認する以外では取り消しようがないため、ユーザに対してAppleへ問い合わせをさせる理由がなくなり、メール内容とは矛盾します。
また、ユーザ個人情報やAppleIDなど運営側でユーザ情報を特定するために必要な情報についても、指示があれば提供の用意がある旨も伝えておりますが、それについても無視して「運営側ではできない」と繰り返されるのみです。ならば「どうすれば可能なのか」あるいは「運営会社以外のどこならばこの問題に対応可能なのか」を明らかにしてください。

◆3◆ユーザアカウント特定のために必要な情報について
プレイヤー当人の認識によればユーザ名はユニークでなければならないため、ユーザ名のみで当該アカウントが一意に特定が可能と考えられます。
あるいは課金リクエストが行なわれた時期は(±30分程度の幅で)特定可能であり、その時期にリクエストが送信された中で未だに承認もキャンセルも行なわれていないデータを抽出することでも特定は可能(あるいは、少なくとも候補をごく少数に絞り込めるの)ではないかと考えられます。
そうした運営側でのアカウント特定をしていただけない理由はなんでしょうか?
もし特定のために(そもそも存在しないAppleの課金情報以外に)何か追加情報が必要であるとすれば(操作しようがないアプリ内でのみ確認可能な情報を除き)、それを提示いただくようにお願いします。

NERFでSci-Fiなライフルを作る


NERF HyperFire AssaultRifle mod.

格好良いライフルの画像を見掛けた。
www.thefirearmblog.com
どうやらAR-15をベースにしたカスタムモデルらしい。銃にはあまり詳しくないが、原型である「ゴルゴ13の銃」M16とはずいぶんイメージが違う。どうやらAR-15には様々なカスタムパーツが作られており、これもそういったパーツを用いたビルドの一例らしい。
魅力的なこのライフルの形状を、NERFで再現してみようかと思い立った。

素体を決める

まずは改造のための素体にすべく、なるべく形状の類似性が高いブラスターの選定を行なう。
デザイン上のポイントは、大きく分けて4点。まずグリップ前方に下挿しのドラムマガジンがあること、それからグリップ後方に親指を入れる穴があり下方はショルダーストックまで繋がった形式であること、ショルダーストックが箱型であること、そして本体と高さを揃えたハンドガード付きの銃身が備わっていること。
このうち、グリップまわりの形状についてはどうにでも改造のしようがあるので優先度は低い。ショルダーストックも自作が不可能というわけではないものの、グリップよりも材料を必要とするため難易度が上がるので、できれば製品の形状に頼りたい。本体と銃身の位置関係については発射機構との兼ね合いが重要になる。とりわけカセットマガジンを含む発射機構については、改造はほとんど不可能と思われるので最優先である。

というわけで、まずは発射方式から選定してゆく。とはいえカセットマガジン方式のブラスター自体は決して少なくないため、選択肢は広い。ブルパップ方式のものを除外しても50では効かないぐらいの種類があるはずだ。
ただ、ドラムマガジンの入手も考え合わせると選択肢はかなり限られてくる。これまでに国内で正規販売されたブラスターの中で、ドラムマガジンが附属していたのはAlpha Trooper CS-18、Raider CS-35およびRampage、RhinoFire、HyperFire、Infinusの6種しかなく、このうちRaider CS-35/Rampageは形状以前にカセット挿入口が横向きなので条件が合わないし、RhinoFireは2連の大型ブラスターであり、入手難易度も価格も高い上に改造向きとは言えない。Alpha Trooper CS-18は発売時期がELITEシリーズよりも前であるために入手が難しい(AccuStrikeシリーズとして再販されるらしいが、現時点では入手できない)。

残る2種のうち、Infinusはグリップこそサムホールスタイルではないものの、充分なサイズのストックを持ち、グリップエンドを伸ばして接合すれば雰囲気は悪くなさそうだ。またエクステンションバレルを装備可能であるため、改造コストが低く抑えられる可能性がある。反面、自動装填システムを持つため内部空間に余裕がなく、とりわけ銃身位置より上側に張り出す装填機構の関係で本体の高さを抑えられないのは厳しい。

HyperFireはサムホールタイプのグリップと大きな箱型ストックのバランスが良いこと、また銃口の位置が本体上端に近いため高さを抑えやすい点で扱いやすい。ただしバレルが短かく、しかも純正のエクステンションバレルを取り付けることもできないため、何らかの改造が必須となる。本体とバレルの高さを合わせることが困難でストックの改造難易度も高く、流用可能なエクステンションバレルも持っていないため全体に改造コストが高くなるInfinusよりも、グリップまわりを少しとバレルの自作程度で済みそうなHyperFireの方が素体には適しているようだ。

改造計画

素体が決定したので、改造指針の策定と構想に移る。
最初にHyperFireの分解画像を探し、中身のレイアウトを確認する(こういう時はだいたいブラスター名+mod、で画像検索すると分解画像が探せる)。
imgur.com
画像を見ると銃口の下、マガジンキャッチより前の部分はほとんど空洞であることがわかる。この部分がデザイン上の大きな特徴ではあるのだが、今回はHyperFireらしくない形に改造したいわけで、ここはばっさりカットしよう。またグリップ前方を覆うハンドガードも、マガジンリリースボタンより下はカットしていい。
ショルダーストック内の電池ボックスより下についてもカットは可能だが、ネジ穴は残しておかないとフタが固定できなくなる。
逆に難しそうなのがグリップ後方からショルダーストックへの接続部だ。ここはグリップ中程から伸びているが、元ネタのデザインでは下方からストック下に接続して三角形のシルエットを形作っており、ここがデザイン上の大きなポイントになっている。従ってカットして繋ぎ直したいところだが、一方でこの内部にはトリガースイッチに繋がる配線が通してあるため、迂闊にスペースを潰すわけには行かないし、カットの際にも配線を切らぬよう注意せねばならない。
結局、ここについてはスペースを確保しつつサムホールを拡大する方向で行くことにした。
銃身は百均の塩ビパイプで自作する。

加工1:本体フレームのカット

まずは前方の銃口下部空洞を切り落としてゆく。射出用フライホイール部分が若干露出するが違和感は少なく、周辺を適当に埋めれば問題なさそうだ。
次に、グリップ前方のハンドガード部を切り落とす。マガジンリリースボタン部分については内部の補強曲線部に合わせてカットして残し、グリップ下方は直線的に断ち落とした上で曲面に合わせて削る。
グリップ後方部分は、サムホール部分の前側上方を残しつつ前側下方〜後ろ半分を切り取り、分割した上で位置をずらして貼ることにより穴を広げつつ配線スペースを確保する。また下のアーチ部分にはプラ材を接着してグリップ下に増設する直線部の基礎にする。
継ぎ接ぎの間をパテで埋め、削って形を整える。ここで直線的に平滑に、工業製品らしく加工できるかどうかが仕上がりに影響するので入念に磨く。
ついでに電池ボックスのフタも小改造。ネジで止める形式だと電池交換が面倒なため、ネジ穴を削って百均の小型強力磁石を埋め込み、フタを磁力で固定するようにした。
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パテだけで形状を作り込むと細かいディティールを作り込むのが難しくなるため、ドレスアップに流用可能なパーツを物色する。
百均でこんな三角コーナーを見付けた。
kokubo.co.jp
台形の穴が連続した網形状はなかなかSFガジェットめいて使い勝手が良さそうだ。惜しむらくは三角形で左右非対称のため、両面に等しく使うには不向きなことだが……まあ左右の面を見比べることはあまりないので良しとしよう。
網部分だけを切り出す。硬度の低いポリプロピレンなのでカットはそれほど難しくない。
これをグリップ下方に貼ってみた。周囲をパテで埋めて形状を整える。

加工2:バレルの延長

続いて短かい銃身を延長する。元の銃口そのままではパイプを固定できないので、射出機構に直結する内側パイプだけ残し、外側には百均の塩ビパイプを組み込む。
もちろんこのままでは格好悪いし安定しないので、バレルを支える部分を作る必要がある。実銃の場合は銃身が過熱し素手で触れなくなるので、外側に熱を伝えにくいハンドガードを取り付けるが、そのようなイメージでアウターを組みたい。他のNERFエクステンションバレルでも、だいたいは銃身とハンドガードの二重構造になっている。
いい感じに網状構造のパーツが入手できればいいが……と百均を巡ったら、直径5mmぐらいの穴が斜め45度の網状に並んだ小物入れを見付けた。硬度の高いスチロール樹脂だ。
item.rakuten.co.jp
これをカットしてバレルの左右に並べよう。あとはバレルの根本と先端で固定すればいい。
以前にHammerShotの外装パーツをバラした時の余りパーツがサイズ的にもデザイン的にも丁度良かったので、これを小物入れの側面と接着して外装のベースとする。下半分は一度カットした上で前方にずらして接着することで「謎の斜めスリット」が発生し、SFっぽさが強調された。さらにグリップにも使った三角コーナーの網をここにも配置してみた。ただ、左側面には丁度良いのだが右側面では反転して角の丸めが行なわれていない面を表にせざるを得ないのが残念だ。
バレルにするパイプには、一定間隔で穴を空けておく。これはダーツが押し退ける空気を逃がすための穴で、少しでも空気抵抗を軽減して初速の低下を防ごうという試みだ。

延長バレルの外装は銃口の根本でネジ止めしてしまうことにした……のはいいが、実際に取り付けてみたところ、思ったより取り付け位置が低い。元にしたライフルの格好良さのひとつは銃本体の上面からバレルのハンドガード部までがツライチであることなのだが、出来上がったシルエットはそうなっていない。
NERFの電動ブラスターはダーツを上下からフライホイールで挟んで射出する形式を取るため銃口より上側に機構が突出することになり、どうしてもバレルが本体上端より一段低くなってしまうのだが、それが露骨に出てしまった格好だ。
そこで、バレルの上側に高さを水増しするパーツを増設してシルエットを合わせることにする。
本体から切り落としたパーツの一部がドットサイトっぽい形状に見えるので、これをバレル上方に取り付けてみる。また、本体との間を繋ぐためにバレルを支持する肋材を取り付けることにした。これには百均のふきん掛けを流用している(百均材料ばっかりだ)。
shop100.jp

加工3:アクセスドアの改造

HyperFireの発射機構は突起の付いたベルトが回転してダーツをフライホイールに押し込む方式だが、このベルト駆動部はダーツクリップ直上にあり、ジャム時のアクセスドアを兼ねている。しかし歯車部分のカヴァーが後方の駆動歯車と接触しないようにするため、ドアの開閉角が抑えられておりアクセスが悪い。これを改善するため、開き角を大きく取れるように改造を試みる。
ヒンジの開き角を抑える要因となっているのは、ベルト駆動歯車を覆うカバー部分と、本体フレームの接触だ。これを削って90度近くまで開くようにしてしまおう。
ただ、これによってベルト歯車部分が剥き出しになってしまうという問題も生じる。塵を噛み込んで歯が潰れるのも困るが、回転する歯車に触れて怪我をするのも困るので、ここに可動式の覆いを着けることにする。
ヒンジの後方、青いフレームの波状部には何の部品もなく、僅かながら隙間を確保できそうだ。ここに収納されるようなスライドドアを取り付けられないだろうか。
三角コーナー網の切れ端がちょうど良いサイズだったので、ネジ受け部の上を少し削って空間を作り、それに合う幅に切り取った網を入れてみる。行けそうだ。
問題はこのカバーをヒンジにどう固定するかだ。最初、柔軟性のあるフィルムを接着してみたのだが、あっさり剥がれてしまった。網に軸を接着してアクセスドア側に受けを作ることでヒンジにすることも考えたが、接着部分がすぐ外れそうな気がする。
そういえば網の方には穴があるわけで、アクセスドア側にも穴を空けて結んでしまえば……
幸い、ドアの上方はただの空間なので、ここに小さな穴を空け、細い結束バンドを通して網を結び付けることにした。仮組みしてみるとするりとドアが隙間に収まり、効果的に歯車部分を覆い隠してくれるし、意匠的にも悪くない。
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加工4:タクティカルレールの増設

HyperFireにはストックやバレル取り付けのための機構だけでなく、タクティカルレールも本体前方の1箇所しかない。スコープを取り付けるには位置が悪いし、他のオプションを付ける余地もないので、レールを増設する。
5x15mmのスチロール樹脂製アングルを2枚重ねて貼り合わせたものを、長辺で背中合わせに接着するとT字型の部材が作れる。これが丁度タクティカルレールぐらいの幅になる。
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固定ツメを滑らせる溝と引っ掛けるラッチは作れないが、代わりに前方から差し込んでツメで止まるように運用すればいいだろう。貼り合わせた下の材を、上の材の幅に合わせて少し斜めにカットすると差し込みやすい。

アクセスドアの上方にあったアイアンサイトは切除し、代わりにタクティカルレールを取り付ける。アクセスドア上方には空間があるので、ここをカットしてレール基部を差し込んで固定する。レール部材側は空間の幅ギリギリに作っておいて、アクセスドア側はそれより狭く中央部分を切り取り、レール部材の左右に切り欠きを入れて嵌め込めば、ガタツキもなくぴったりと固定される。ただアクセスドアのパーツが中央分割でないため左側に隙間ができるので、そこは端材で埋めてしまう。
これにより従来よりも後方、ストック頬を付けて構えた時に眼前に来る位置でスコープを取り付け可能になった。

また、延長バレル下部にもレールを取り付ける。実銃のアタッチメント用に用いられるピカティニーレールの場合は凹凸を設けてパーツの固定位置を調節できるようになっており、それを模したタクティカルレールにも凹凸のディティールが付けられていることが多いが、自作レールでは幅を調整して凹凸を作るのは些か難しいものがあるので、代わりに肉抜きでディティールを増やしてみた。

加工5:フォアグリップの制作

延長バレルのパーツとして流用したHammerShotのパーツには、下方にトリガーガードを形成する突起がある。これをどう処理するか考えた結果、HyperFireから切り取ったハンドガードをここに取り付けてフォアグリップを作ることにした。未来的フォアグリップとして人気の高いHera ArmsのCQRを参考に、パテを盛って形を作る。
item.rakuten.co.jp
グリップ後方は斜めに伸ばしたアームで本体フレームに接合し、剛性を確保した。
ここはモデルとした銃にはないパーツであり、シルエットを大きく変えてしまう部分なので悩みどころではあったが、下面のディティールアップを優先することに。

その他、ドラムマガジン側面を切り抜いてメッシュ状にするなどの改造も考えたが、ダーツの滑りに干渉してジャムの原因となりかねないため断念した。

塗装

全体をマットブラックで塗装し、明度を抑えたグレーを中心として塗り分ける方向でプランを立てる。とはいえ、グリップまわりにミディアムグレーを使うと他の塗り分けが難しい。とりあえず金属パーツを黒を混ぜたメタルカラーで塗り、ストックとハンドガード外装部をダークグレーで塗ってみた。
なお全体の塗装にはマットな質感を期待して黒板用スプレーを使ってみたのだが、これが乾燥に半日かかる代物だったために下塗りだけで数日ががりになってしまった……やはり模型用を使うべきだったか。

近くで見ると造形にも塗装にも粗が目立つが、遠目にはなかなか良い雰囲気のSF銃に仕上がったので満足。
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はじめてのカメラ選び:レンズが安いマウントを探す

レンズ交換式のカメラは、交換レンズを取り揃えてこそ意味がある。しかし何本も買うとなると金額が問題になってくる。
最初にボディとレンズのセットを安く買えるとしても、その他のレンズが高価いようでは苦しい。
そこで、レンズマウントごとに基本的なレンズ群の価格(と、ついでに重量)を調べてみた。とりあえず「はじめてカメラを買う」時のことを想定し、高価な35mm判フルサイズは除外してAPS-C以下の一般的な国内メーカー製品を取り上げている。
なお、価格情報は価格comの2018年10月初頭時点でのもので計算しており、時期により多少の変動があろうかと思うので参考値ということで。

ミラーレス

マイクロフォーサーズ レンズ 価格 重量
広角ズーム オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6 ¥51,442 155g
標準ズーム パナソニック LUMIX G VARIO 14-42mm/F3.5-5.6 II ASPH./MEGA O.I.S ¥15,500 110g
望遠ズーム パナソニック LUMIX G VARIO 45-150mm/F4.0-5.6 ASPH./MEGA O.I.S. ¥21,760 200g
小計 - ¥88,702 465g
標準単焦点 パナソニック LUMIX G 25mm/F1.7 ASPH. ¥19,350 125g
マクロ オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro ¥26,800 127g
小計 - ¥46,150 252g
総計 - ¥134,852 717g
キヤノンEF-M レンズ 価格 重量
広角ズーム CANON EF-M11-22mm F4-5.6 IS STM ¥34,000 220g
標準ズーム CANON EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM ¥23,938 130g
望遠ズーム CANON EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM ¥34,284 260g
小計 - ¥92,222 610g
標準単焦点 CANON EF-M32mm F1.4 STM ¥58,895 235g
マクロ CANON EF-M28mm F3.5 マクロ IS STM ¥31,576 130g
小計 - ¥90,471 365g
総計 - ¥182,693 975g
富士フイルムX レンズ 価格 重量
広角ズーム 富士フイルム フジノンレンズ XF10-24mmF4 R OIS ¥84,980 410g
標準ズーム 富士フイルム フジノンレンズ XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ ¥31,980 135g
望遠ズーム 富士フイルム フジノンレンズ XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II ¥36,450 375g
小計 - ¥153,410 920g
標準単焦点 富士フイルム フジノンレンズ XF35mmF2 R WR ¥36,449 170g
マクロ カールツァイス Touit 2.8/50M ¥97,670 290g
小計 - ¥134,119 460g
総計 - ¥288,404 1210g
ソニーE(APS-C) レンズ 価格 重量
広角ズーム SONY E 10-18mm F4 OSS ¥69,800 225g
標準ズーム SONY E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS ¥29,010 116g
望遠ズーム SONY E 55-210mm F4.5-6.3 OSS ¥28,380 345g
小計 - ¥127,190 686g
標準単焦点 SONY E 35mm F1.8 OSS SEL35F18 ¥35,800 154g
マクロ SONY E 30mm F3.5 SEL30M35 ¥19,800 138g
小計 - ¥55,600 292g
総計 - ¥182,790 978g

ミラーレス機では、やはりマイクロフォーサーズの安さと軽さが突出している。ズームレンズのみの合計ならばEF-Mもそう高価くはないのだが、単焦点が割高なため総計では1.5倍近い差がある。また重量で見ても、APS-Cがほぼ1kg弱の重さとなっているのに対しマイクロフォーサーズは3割ほど軽い。
APS-C機の中では唯一の「主力ライン」である富士フイルムX系はレンズにもかなり力が入っており、それが価格にも跳ね返っている格好だ。もう少し「撒き餌」を用意してもいいのでは……

一眼レフ

キヤノンEF(APS-C) レンズ 価格 重量
広角ズーム CANON EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM ¥30,280 240g
標準ズーム TAMRON SP AF 17-50mm F/2.8 XR Di II LD Aspherical ¥17,930 434g
望遠ズーム CANON EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM ¥25,000 375g
小計 - ¥73,210 1049g
標準単焦点 TOKINA AT-X M35 PRO DX 35mm F2.8 ¥53,978 340g
マクロ CANON EF-S35mm F2.8 マクロ IS STM ¥38,479 190g
小計 - ¥92,457 530g
総計 - ¥16,5667 1579g
ニコンF(APS-C) レンズ 価格 重量
広角ズーム ニコン AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR ¥33,300 230g
標準ズーム TAMRON SP AF 17-50mm F/2.8 XR Di II LD Aspherical ¥17,930 440g
望遠ズーム ニコン AF-S DX VR Zoom-Nikkor 55-200mm f/4-5.6G IF-ED ¥14,580 335g
小計 - ¥65,810 1005g
標準単焦点 ニコン AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G ¥19,760 200g
マクロ TAMRON SP AF60mm F/2 Di II LD [IF] MACRO 1:1 ¥29,508 390g
小計 - ¥49,268 590g
総計 - ¥115,078 1595g
ペンタックスK(APS-C) レンズ 価格 重量
広角ズーム TAMRON SP AF 10-24mm F/3.5-4.5 Di II LD Aspherical ¥30,743 406g
標準ズーム TAMRON SP AF 17-50mm F/2.8 XR Di II LD Aspherical ¥17,930 440g
望遠ズーム ペンタックス smc PENTAX-DA 50-200mm F4-5.6ED WR ¥24,696 285g
小計 - ¥73,369 1131g
標準単焦点 ペンタックス smc PENTAX-DA 50mmF1.8 ¥9,974 122g
マクロ ペンタックス HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited ¥45,276 214g
小計 - ¥55,250 436g
総計 - ¥128,619 1345g
ソニーA(APS-C) レンズ 価格 重量
広角ズーム TAMRON SP AF 10-24mm F/3.5-4.5 Di II LD Aspherical ¥30,743 406g
標準ズーム TAMRON SP AF 17-50mm F/2.8 XR Di II LD Aspherical ¥17,930 434g
望遠ズーム シグマ 18-50mm F2.8-4.5 DC OS HSM ¥21,455 395g
小計 - ¥70,128 1235g
標準単焦点 シグマ 30mm F1.4 DC HSM ¥34,930 435g
マクロ TAMRON SP AF60mm F/2 Di II LD [IF] MACRO 1:1 ¥38,313 390g
小計 - ¥73,243 825g
総計 - ¥143,371 2060g

キヤノンの標準単焦点で35mmの最安はマクロレンズだったので、そちらはマクロ側で登用し次点を採用した。スペックが近い上に価格、重量とも勝るのだから実質的に両方を買うことはないと思うが、それを言うなら明るい標準マクロのあるマウントはいずれも標準単焦点が不要と言えることになり、比較が面倒になるので便宜的なものである。仮に35mmマクロを2本分として計上するなら、合計金額で1万5千円ほど、総重量で150gほど下がることになる。
総じてAPS-Cサイズ一眼レフはレンズが安い。ニコンなどは合計わずか11万強とマイクロフォーサーズよりも2万円以上安い。サードパーティ製が充実しているのが価格面でも優位に働いているのは間違いないが、決して純正品が高価というわけでもなく、たとえばペンタックス単焦点などは1万円を切る圧倒的な安さを見せる。
驚くべきはソニーAマウントで、すべての安価なレンズがサードパーティ製品である……というか、どうやらソニー製のAマウントAPS-C用レンズは既に一般店頭販売を終了し自社通販のみとなっているようだ。Eマウントのフルサイズ化に伴い事実上クローズしたラインとはいえ、あまりに扱いが小さい……
ただ、安価な反面でレンズの重さはミラーレスの1.5〜2倍もあり、本体も大振りであるため携帯性の面ではミラーレスに分がある。安さを取るか軽さを取るかは悩みどころだ。

なお、上記はあくまでズームレンズ3本と単焦点レンズ2本を個別に購入した時を想定しての金額であり、たとえばレンズキットでこれらのうち1〜2本が代替される場合はその分だけ残りの金額が変わってくる。たとえば標準ズームと望遠ズームの附属するダブルズームキットは5〜10万円ぐらいで購入可能だが、これを購入することで標準ズームおよび望遠ズームを別途購入せずに済ませられるならば実質3〜7万円分ぐらい安くなると見做せることになる。

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docseri.hatenablog.jp

環境型水族館「アクアマリンふくしま」

福島県いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」へ行ってきた。
www.aquamarine.or.jp
シーラカンスの研究などでも知られる、環境展示・体験学習型の水族館である。

交通

水族館の最寄駅であるJR常磐線泉駅までは、上野駅から特急ひたちで2時間ほど。運賃3670円+特急券2200円で行ける(もちろん普通列車のみでも行けるが、3時間半ほどかかる)。
特急には停車駅の少ない「ひたち」と停車駅の多い「ときわ」があり、上野駅からはひたちが毎時丁度、ときわが毎時30分に出ている。
当初は8時発に乗って10時過ぎぐらいの到着を予定していたのだが、上野駅ナカのecuteは8時にならないと開店しないため、朝御飯を買う時間もない。駅弁の売店ならば6時半から開いているしコンビニで済ます手もないではなかったのだが、それは些か味気ないということで、結局ecuteが開くのを待って弁当を調達し、9時の便で行くことにした。
私が購入したのはeashionの牛焼肉・ハンバーグ弁当。2種類の味が楽しめて満足感が高い。
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(ところで弁当販売店の公式サイトを見たが「メニュー」のすべてがnot foundになってるのはどうかと思うので、ちゃんと整備していただきたい)

特急ひたちは全席指定であるが、席を予約しなくても乗ることはできる。座席上の荷物置き場にランプが点灯しており、緑は現区間が予約済みの席、黄色は次の区間から予約客のいる席、赤は空席であるため座っていても良い(もちろん、途中で予約客が乗ってくる場合はどかねばならないが)。なお行きは空席もあったが帰りの便は水戸以南で全席満席であったので、予め座席の予約をおすすめする。
上野から水戸までの1時間あまりはノンストップ、ここまでは実に特急らしいのだが水戸を過ぎると途端に停車駅が増え、1〜3駅ごとに停車するようになる。特段乗換駅でもない上下2面ホームの小さな駅にも停まる。
まあ泉もそんな感じの駅の一つで、ここに停まってくれるからこそ比較的短時間で水族館まで行けるのだが。
Google StreetViewで駅舎を見ると結構立派な感じを受けるが、駅前にあるのはバス停とタクシー乗り場のみで賑わいが感じられない。駅自体もホーム2面のみ、売店もなく、それどころか改札内に乗越清算/Suicaチャージャーもなかったのは驚いた。
利用者の最も多い通勤時間帯の7時台を除けば、20〜30分に1本の電車しかない。特に特急待ちの場合は最大1時間近く待つことになるので、それなら時間潰しを当て込んだ店がありそうなものだが、地元は完全に車社会なのでそういう需要に乏しいのだろうか。

ここから新常磐交通バスで最寄りバス停である「イオンモール小名浜」へ。なおバスは1時間あたり2本ほどしかなく、列車の発着時間と連動もしていない。またSuicaなど交通ICカードには対応しないため整理券を取って小銭で支払う必要がある。運賃は大人270円。
バスで走ること15分ほど、イオンモール前のバス停に到着する。ここは差し渡し300mほどもある大型の複合商業施設で、近隣にある漁港の魚市場/食堂街である「いわきら・ら・ミュウ」、それに「アクアマリンふくしま」を含めた一角がこの付近で一番のレジャースポットということになる。
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バス停からイオンモールに入り2階へ上がると、車道を越える橋を渡り港側へ出ることができる。港側に向かって右側に見える湾曲したガラス張りの建物が、目指すアクアマリンふくしまだ。
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館内

入るとまずは「縄文の里」と題したビオトープをぐるりと回るトンネルがある。ただ、現時点ではビオトープを外側から眺めるのみで、途中いくつかの生物展示がある以外にはあまり見るべきところはない。
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トンネルの終わりにユーラシアカワウソの水槽があり、それを抜けると本館に続く道に出る。面倒ならこの一角は迂回して直接本館に向かっても良い。
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本館は港に面する左側が一面、湾曲したガラスで覆われている。右側はコンクリートの箱型構造だが、その上側を覆うようにガラス面が伸び、屋上は日当たりの良い温室状になっている。
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本館エントランスから、まずは古代生物のコーナーを抜ける。
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最大の板皮魚類ダンクルオステウスの模型は迫力だ。
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化石を見ながらエスカレーターで屋上温室部分へ上がる。
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屋上に広がるのは、ミスト散布により湿地帯を形作る「ふくしまの川と沿岸」コーナー。
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長い森の折り返しで、目の前に飛び込んでくるのは「潮目の大水槽」の水面近くを駆け巡るイワシの群れだ。
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この水槽は途中で区切られており、左側が黒潮、右側が親潮になっている。北海道の南東から本州の太平洋岸沿いに南下してくる親潮と、房総半島から北上してくる黒潮とがちょうどぶつかり合う「潮目」が福島県宮城県の沖合あたりに位置し、それが水槽の由来である。

親潮を過ぎると、その向こうには北の海に暮らす水鳥や海獣の展示水槽がある。入館前から響いていた吠え声は、ここにいるトドのものだ。
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さて、開放的な屋上から館内に戻り、今度は漁業などに関する展示の並ぶゾーン。ここにはクジラの骨や南極の氷、ニホンウナギの調査など、生きた魚からちょっと離れた(やや地味な)内容が多い。
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そこを抜けるとふたたび屋上の、今度はアジアの水辺コーナーへ。
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熱帯植物の間を抜けると、そこは珊瑚礁の水槽である。温かな海に棲む色とりどりの魚が目を引く。
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その先にはふたたび潮目の大水槽。
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以前は左右の階段から直接降りられたが、今の順路は一旦この水槽前を通過することになっているようだ。何故かここには寿司屋があり、潮目の握りを食べることができる。
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寿司屋の先にはオホーツク海コーナー。
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ヒラヒラと細い触腕を棚引かせるのはドフラインクラゲ。
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ぽってりと丸いのはシロクラゲ。
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クリオネは小さくてよく動くので撮るのが大変だ。

さて、潮目の大水槽まで戻ると、潮目に当たる隔壁部分が三角の通路になっているのがわかる。ここからはふたつの水槽を一度に見ることができるだけでなく、通路の壁がプリズムや万華鏡のような効果を生む、なかなかの写真スポットでもある。
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三角形のトンネルを抜けた先には「ふくしまの海」、ここは大陸棚の先にある深度200m以上の深海水槽エリアである。
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ヨシキリザメやギンカガミ、タカアシガニにキタミズクラゲなど、青暗い水の中にほのかに浮かび上がる生物の姿は、人の目には充分な明るさだがカメラに収めるには厳しいものがある。
暗いゾーンを抜けて情報エリアの先へ進むと、南国の明るい浅瀬水槽があり、色鮮やかな熱帯の魚を真横や真上から見ることができる。
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下へ降りるとミュージアムショップとレストラン、他にシアターや展望塔も。
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ここから左へ進み入口側へ戻ってもいいが、今回は右手側の体験学習エリア「アクアマリン えっぐ」へと向かう。ここは子供にも見やすいように背の低い、周囲からぐるりと見ることのできる小さめの水槽が並び、魚だけでなく昆虫や蛇なども展示されている。
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外へ出ると釣り体験や磯の生物に触れられる蛇の目ビーチ、ぐるりと外周を通り抜ければビオトープの先にふたたび館内へ戻る入口がある。
この先エントランスホールには金魚展示エリアがあったのだが、今は改修のため撤去されている。
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順路の最後はエントランスホール中腹にあるシーラカンス展示エリア。
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タマカイはスズキ目の魚で、シーラカンスの属する肉鰭綱とは4億年前に分かれた別グループの魚だが、その中では形態・習性ともシーラカンスに似ているため、ここで展示されている。
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シーラカンスの標本(インドネシア種・アフリカ種とも)、
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絶滅した大型シーラカンスの化石やヒレの動きを模したロボットなども。

外へ出るとクウェート・ふくしま友好記念庭園の先にフェネック館が。
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残念ながらここも現在は改修中だ(金魚はこちらに移動するらしい)。

撮影

今回は水族館内の撮影を前提にカメラをセッティングした。
水族館は全体的に暗いので、オートで撮るとシャッタースピードが遅くなりがちだ。しかし水槽内には水の動きがあり海藻や水棲生物もじっとしてはいない。特に魚は結構素早く動くので、シャッタースピードはなるべく早くしたい。そこで画質の荒れには目を瞑り、ISO感度上限を高めに設定してISOオートで撮ることにし、シャッタースピード優先モードで1/200〜1/250ぐらいにしておく。これで手ぶれや被写体ぶれは大体防げるはずだ。
もちろん、ISO感度は低めに撮れるに越したことはないのでレンズも明るいものを使う。今回は小さな水槽に寄って撮ることも考慮して標準画角の30mm F2.8マクロと寄れる中望遠の42.5mm F1.7を選択。

いつもiPhoneで撮影する妻は流石に水族館では撮れない範囲が広いと思われるので、明るくて130gと軽い42.5mmは、小さくて200gしかないLUMIX GM1に装着して彼女に貸すことにする。ストラップ込みで重量たった360gなので、2台持ちでも負担になりにくい。
ズームできないので撮影範囲の調整には戸惑っていたようだが、「流石にiPhoneより綺麗に撮れる」と満足してもらえたので持って行った甲斐があった。
ただ、暗いエリアのクラゲを撮ろうとした時にAF補助光が水槽に反射してピントが合わない問題があった。補助光を切ってクラゲは撮影できたが、より暗い深海エリアではコントラストAFの限界域を下回りまともにピントが合わなくなってしまった。この辺は低感度に弱いマイクロフォーサーズの限界だろうか。
もっと明るいレンズが欲しくなるような気もするが、F1.2シリーズでは高価な上に最大撮影倍率が低いので寄って撮りたい時には使えないし、それ以上に寄れるレンズはF2.8からとなる。それを考えると最短31cm(撮影倍率0.4倍相当)の42.5mm F1.7は水族館用にはベストチョイスかも知れない。

ピントの問題だけでなく、水族館の撮影では水と水槽による屈折が問題になる。真正面に近い角度で捉えないと、ピントが合っていても収差による色滲みなどでぼやけた写真になってしまう。

食事

漁港の付近だけに、この付近には海鮮系の食堂が多い。地元の名物料理はどうやらカジキらしく、イオンモールの橋を渡ったところにある「美食ホテル」はカジキ料理の店ばかりだった。
おすすめは「いわきら・ら・ミュウ」。ここは魚市場と食事処の複合施設なのだが、魚市場側では串焼きの店舗やその場で買った海鮮を焼いて食べられるバーベキュー場などもある。
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www.lalamew.jp
館内のレストランには海鮮丼や天ぷら、煮付けなどの店が並ぶ。その中の、刺身と煮付けの店「さかな処 まさ常」で食べたドンコの煮付けが絶品だった。柔らかい身もぷるぷるの皮も美味しいが、なんといってもとろけるような肝は一度ならず味わいたい。
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TeamLab☆Planetsを撮る

豊洲TeamLab☆Planetsに行ってきた。
華やかなイルミネーションで幻想的な光景が撮れることで知られる体験型施設である。
planets.teamlab.art

料金

季節によるが大人3000円ほどの通常チケットとその倍額ぐらいの優先チケットがあり、入場までの待ち時間が異なる仕組みになっている。とはいえ連日完売の台場TeamLab Borderlessに比べ豊洲Planetsの方は余裕があるようで、平日朝一番の時間を狙ってみたところほとんど待たされることなく入場できた。休日の昼過ぎ頃など混みそうな時間帯でなければ大丈夫かも知れない。

用意

重要なこと:この施設は水を使ったアトラクションであるため、 内部には首から下げられるカメラ、もしくはスマートフォン(首かけ紐のついたビニールケースが貸与される)以外の荷物を持って入場することができない。また成人の膝下ぐらいまで水に漬かるエリアがあるため、予め膝上丈の衣服で来るか、あるいはレンタルのハーフパンツに穿き替えることになる。
また一部エリアでは床が鏡になっているためスカートの中が見える。こちらも予め下に何か穿いておくか、レンタルのハーフパンツを着用しよう。
施設内は裸足で歩くことになるので靴下も履かずに来た方がいいだろう。

時間

朝9:00-9:30入場のチケットを買って待機列に並び、退場したのが11時前ぐらい。中でどれぐらい滞在するかによるが、だいたい1時間半前後で出てくる感じだろうか。

内部

ここから先はネタバレになる。驚きも体験の要素なのであまり説明しない方がいいのかも知れないが。

中は基本的に真っ暗である。ところどころ照明によって彩られているが、ほかは床も壁も天井も黒い。視覚ではなく足裏の触感を頼りに進むことになる。
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ほどなく通路の先から水が流れてくる。足を浸しつつ緩やかな坂を登ると、突き当たりは滝になっている。
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足を拭いて先へ進む。

人を駄目にする部屋

床全体が人を駄目にするソファでできた部屋を越えてゆく。足元を取られて進みにくい上に沈み込むと気持ち良いのでつい駄目になるが、他の人に踏まれないよう壁際で駄目になること。

万華鏡の部屋

天井から無数のLEDライトが下げられた全面鏡張りの部屋。刻々と色を変える光点が繰り返し反射して無限の光彩を作り出す。
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LED自体にピントを合わせても面白みは少ないので、むしろ積極的にピントをボカした方がいいかも知れない。
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ピントを合わせる時は、上や下に向けて消失点を入れるようにすると広がりが出る。
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これは飽和してソラリゼーションみたいになったのが面白かった。
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色彩の水辺

膝下まで水に漬かる部屋。乳白色の水にプロジェクションマッピングで色とりどりの線や魚などが投影され、揺れ動く。娘はこれが一番気に入ったようだった。
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球体の部屋

ぼんやりと光る大きな風船を掻き分けて進む。ちらりと写る人影でサイズ感が伝わるだろうか。
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花びらのドーム

半球形の部屋。床は鏡になっている。
他の部屋では「座らないでください」と注意されるが、この部屋のみ寝転がることが認められている。
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この部屋は他よりも暗く、手持ちではなかなか厳しい。人が写ることを恐れないならばカメラを床に置いて長時間露光するのもいいかも知れないが、如何せん光は無秩序に動き回っているので、画になるかどうか。

出口へ

ここを出ると、ほどなく元のロッカールームへと戻ってくる。荷物を取って退出。

その他

待機列の隣には売店があり軽食や飲み物が買える。
外の待機列はテント屋根こそあるものの気温対策は冷風機と配布しているミネラルウォーターぐらいのもので、暑い日に長時間並ぶのは辛そうだ。人の少ない曜日/時間帯を狙うか優先チケットを手配した方がいいかも知れない。
ただ、平日朝一番となると丁度通勤時間帯と被るため満員電車で向かうことになる。入る前から疲労するのは(特に子供連れなら尚更)避けたいところ。
中は涼しく、水に漬かるので気持ち良い。ただ1時間以上歩くことになるので、遊んでいる時は夢中で気付かないが結構体力を使っているようだ。
カメラはスマートフォン(貸し出しのケースに収まらないのでタブレットは不可)、あるいはネックストラップ付きのカメラならば可だが、内部でのレンズ交換はできないものと思った方がいい。一眼レフなど大きなカメラが許可されるかどうかはわからない(小型のミラーレスは問題なかった)。
2年間しかやってないらしいのでお早めに。また行きたい、けどその前にTeamLab Borderlessの方も行きたい。

光の散乱を楽しむ、オールドレンズ遊びのための「宝石レンズ」


宝石レンズと呼ばれる特殊レンズがある。
www.illuminaopt.com

マニュアルフォーカスレンズの内部、たぶん後玉の前あたりにカッティングされた宝石を取り付けたもので、これによってレンズ内部で光が散乱し、他のレンズでは見られないほどはっきりしたフレアやゴーストが得られる。いわゆる「オールドレンズ」遊びに於いて好まれるような性質を極端にしたものだ。



宝石のカットパターンや色によって色の乗りや散乱の出方も変わる。1枚目の青いものはサファイアの入ったレンズで、2〜3枚目のものはルビーの入ったレンズで撮影している。

このように、普通のレンズではちょっと出ないような色かぶりと派手な散乱光こそが宝石レンズの持ち味で、このエフェクトを得るためだけの特殊なレンズとして、一種のフィルタのように使うことになるだろう。

もっとも、フレアが生じるのは逆光に近い角度で光が差し込んでくる時だけなので、それ以外の条件下では案外普通のレンズとして使える(中央に光を遮るものがあることでボケがリングボケや二線ボケになることを気にしないならば、だが)。

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ただし、普通のレンズとは決定的に使用法が異なる点がひとつある:絞りの機能だ。

宝石レンズは、絞り開放ではさほど強いエフェクトを生じない。しかし絞ってゆくと光が強まる。そして、絞り続けるとそのうち開口部の径が宝石よりも小さくなり、つまり光がまともに入ってこなくなり何も見えなくなってしまう。
手持ちのレンズのうち、MD ROKKOR 50mm F1.7を改造したレンズの例を示す。

F1.7 F2.8 F3.5 F4 F4.8 F5.6 F6.7 F8 F9.6 F11 F16

このように、絞ることでフレアの出方が変わる。ただ、F5.6あたりからは被写体がはっきり見えなくなり、F8ぐらいになるともうルビーの赤い色しか見えなくなっている。
従ってこのレンズでは絞りを被写界深度の調節を目的に使うことが難しく、主にエフェクトの強さを制御するために使うことになる。

効果的なエフェクトの出し方には慣れが必要だが、概ねレンズに対する光源の角度が重要なポイントとなる。
下に簡単な実験を示す。
これは手持ちのLEDライトを用い、被写体とカメラの位置を固定したまま、ライトの照射角のみを真正面(逆光)から被写体の真横までずらしていったものだ。

厳密に角度を測ったわけではないし、恐らく宝石レンズの元となったレンズによっても発生角度は異なると思うが、だいたいのイメージとして捉えて頂くと良いだろう。
なお、端の方にギリギリでエフェクトが残るぐらいの角度にセットした状態と、それを上から撮影したカメラ=被写体=光源の位置関係を示す写真が次の2枚となる。

なにぶんフレアを生かすレンズであるため撮影条件はかなりシビアで、基本的には水平に近い入射角の日光が期待できる日の出直後や日没前のわずかな時間にしか使いどころがないが、その代わりうまくハマった時の効果は他のレンズでは得られないドラマティックなものとなる。
また夜間でも照明を逆光気味に入れれば結構フレアを出すことができるので、このレンズを付けて夜の街に繰り出してみるのもいいかも知れない。
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サマーナイトミュージアム×東京メトロ「7つの謎解きミステリーラリー」

夏休み期間中、都内の美術館・博物館では金曜日の夜に閉館を21時まで延長し、また入館料も割引するサマーナイトミュージアムを実施している。
これに連動して、都内の国立・都立、7つの美術館・博物館を巡り謎を解くラリーイベントが開催されている。
mysteryrally.com
これを書いている時点では私もまだ最後まで解いていないのだけれど、思ったよりも時間がかかる上に会期の終わりまであまり間がないので、今のうちにお勧めしておこうと思う。

必要なもの

謎解きに参加するためには、いくらかの準備が要る。

  • 東京メトロ各駅で配布している冊子(A4サイズ)
  • A4の冊子を持ち歩きやすい鞄
  • 鉛筆
    • 美術館内では鉛筆以外の筆記用具が使えないので注意。
  • 入館料
    • 一部の美術館・博物館では入場して展示を確認する必要がある。通常料金で入場するとして合計1800円。
  • 交通費
    • 各館への移動は参加者負担。1日乗車券で回る手もあるが、正直1日で回り切れるとは思えないのでお勧めしない。

といったところか。

謎解きの流れ

最初に、入手した冊子を一通り読んでおこう。まずは館ごとに1ページが割かれ、2/3ほどの面積の文章と1/3ほどの謎が示される(水色枠のページ)。次いで後ろにピンク枠で行くべき場所の案内がある。路線図、各館のアクセス情報と「謎を解いてから行くべき場所」の指示という組み合わせになっている。
場所を把握したら、いよいよ各館に出発だ。水色ページ「Step1」の指示を見て展示品から情報を得ると、行くべき駅の名が示される。その駅で情報を得てもうひとつの謎を解くのがStep2だが、解いては駅に行くのでは効率が悪いので、先に7館すべて回ってから7つの駅を巡るのが良いだろう。

あなたがどの路線にアクセスしやすいかにもよるが、最初は2館一気に回れる上野(国立西洋美術館東京都美術館)あるいは恵比須と目黒の間にある2館(東京都写真美術館東京都庭園美術館)あたりからアタックするといいかも知れない。余裕がありそうなら、上野からは日比谷線秋葉原へ出てJRに乗り換え両国で江戸東京博物館、恵比須からだったら六本木の国立新美術館へも接続できる。国立近代美術館のある東西線竹橋駅だけがどちらからもやや行きにくいが、たとえば両国から錦糸町へ出て半蔵門線で大手町→竹橋とか、乃木坂から千代田線で大手町→竹橋といったアクセスが考えられる。

ただ、正直なところ謎解きはかなり難易度が低く、それを主体に全力で楽しむような感じはあまりない(まだ最後まで解いていないので最終的な手応えについては書くことができないのだが)。なので、「謎解きのために行く」というより「普段行かない美術館に足を運ぶきっかけ」ぐらいに捉えて、それぞれの館を楽しむことを中心にした方が良いと思う。どの館も公立の大手美術館であり収蔵品も多いので、一通り見るだけでも1時間では収まらないぐらい時間がかかるはずだ。特に上野は、謎解き館の2館以外にもふたつの博物館と動物園まであり、これだけで1日では終わらないぐらい密度が高い空間だ。そういった沢山の楽しみをスルーして謎だけ解くのは勿体ない。

まあそうは言っても9月半ばでラリーの会期が終わってしまう前になんとか情報を回収したいところではあるので悩ましい。
美術館の中で常設の展示品ではないものが謎に関わっているのは竹橋の国立近代美術館のみ、また美術館の謎を解いた後で回収すべき駅の情報のうちで会期中にしか掲示されないものは第一の謎(国立西洋美術館)のみなので、この2箇所さえ先に押さえてしまえば会期終了しても解けそうなものではある。
しかし、すべてを解いた後の最終問題が特設Webサイト上にしかないので、これが会期終了時点でクローズされてしまうとすれば期間中にしか解けないのかも知れない。

各館の紹介

今回巡る各館を簡単に紹介しておく。

国立西洋美術館

JR上野駅 公園口改札を出て上野公園に入るとすぐ右側にある、東京文化会館向かいの建物。装飾を廃したそっけない造りを特徴とするモダニズム建築の第一人者ル・コルビュジェによる設計で、建物自体が代表作として世界遺産登録されている。
川崎造船所社長だった松方幸次郎のコレクションを中心とした西洋美術400点ほどを中心に展示されており、特にロダンの彫刻やモネの油彩などが多い。

東京都美術館

日本で最初の公立美術館として大正末期に開館したもので、コレクションの展示だけではなく企画展やワークショップ、作家の登竜門となる公募展などを総合的に運用する美術館として運営されている……らしい。謎解きに必要なのは館外の彫刻展示のみだったので中を見ておらず、詳しい説明ができない。
煉瓦壁の直方体を連ねたシンプルな外観に、大きく設けられたガラス窓から見える通路壁の鮮やかな色彩が映える。

国立新美術館

東京都美術館のコレクションが増えすぎて公募展の場所がなくなってきたなどの理由から、「独自のコレクションを持たない純然たる貸し館」として建てられたもので、現在はルーヴル美術館展、荒木飛呂彦原画展が開催されており混雑していた。
建物としては、黒川紀章設計による、波打つガラスウォールのエントランスが特徴的。

東京都庭園美術館

皇族の邸宅および庭園だったものが戦後に払い下げられたもので、美術館とはいうが美術品の展示を目的とするものではなく、館そのものがアール・デコの粋を凝らした美術品である。館内の公開期間は限られるが、入口のルネ・ラリックによるガラス彫刻などは見ることができる。
docseri.hatenablog.jp

東京都写真美術館

写真および映像専門の美術館で、1階は映画館として館の選んだ作品を上映しており、2階・3階がそれぞれ展示室になっている。
建物の内装自体が白と金属に統一されているのは、モノクロの写真を意識しての設計なんだろうか。
docseri.hatenablog.jp

東京国立近代美術館

明治から現代までの美術品を展示する館。展覧会の場ではなく美術品を収集しコレクションを常設する形の美術館として国内で最初のものであったらしい。
外苑から皇居を望む景観そのものを展示するかのような「眺めの良い部屋」など、建物としてもちょっと面白い。
また少し離れた場所に煉瓦造りの旧近衛師団司令部だった建物を使用した別館「工芸館」があり、同じチケットで入館できる。

江戸東京博物館

両国駅の隣りに鎮座する異様な巨大建築。今回の参加館で唯一の博物館で、江戸時代から現代までの東京の文化風俗を展示している。内部には1/1スケールの建物が複数再現され、内部を見て回ることもできる。
両国駅は東西に改札があり、西口から出るとすぐ博物館だが東口からはかなり大回りとなるので注意。

1日で全館回るプラン

どうしても謎解きだけ最短でやりたい、という人のためにプランを考えてみた。
入館してから謎を解いて出てくるまで30分として、駅から美術館までの移動時間と駅間の移動時間を計算してゆく。

いちおう、これで7館ぜんぶを1日で巡ることが可能である。ただし途中での休憩どころか昼食すら予定に組み込んでいないので実際にはもっとかかるだろうし、目的の展示以外何も見ない前提だし、その上でこの後さらに7駅を巡る必要があるので、まあ1日でやるのは諦めた方がいいと思う。