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カルドセプトの構造的問題と解決策を探る

遊戯

カルドセプトは、発売当初からその面白さが高く評価され、爆発的なヒットこそしないものの、ほぼ全タイトルでファミ通殿堂入りなど着実に注目を集めてきたタイトルである。
その一方では、「面白いのにユーザが増えない」という苦悩を抱えるタイトルでもある。面白いのだが、面白さが理解されにくい。あるいは何らかの「いまいち面白いと感じられない」要因がある、ということだろうと思われる。

新作カルドセプト リボルトではスタートダッシュVer.が先行配信され、購入特典以外にもマイニンテンドーのプラチナポイント500で入手可能とあって体験版的に新規ユーザが入ってきているようだが、実際Twitterなどでの反応でも「やってみたけどイマイチ」的なものがちらほら見られる。
もちろん万人に受けるゲームなどは存在しないので合わなかったという人がいるのは致し方ないことではあるのだが、引っ掛かるポイントが明白ならばそれを改善できないか考えるのもまた重要なことだ。
ざっと拾ってみると、おおよそ次のような点に不満が見られるらしいことがわかってくる。

  • 1プレイに時間がかかりすぎ
  • ダイス目が悪いとストレス
  • 戦闘で勝てない

プレイ時間の問題

これはまあ、以前から問題視されてはいて、だからこそリボルトではルールの変更を含めた改善を行なっているわけだが、しかし本質的に対戦ボードゲーム、とりわけプレイ人数の多いもので時間がかかるのは、ゲーム構造上致し方ない。
一人あたりの手番が30秒で済むとしても4人いれば1ラウンドあたり2分を要することになる。短かめのゲームでも20ラウンド前後はかかるので1戦40分。白熱すれば考える時間も長引き、あるいは激しい攻防で一進一退して、その分だけゲーム時間も増え、1時間ぐらいは見込まざるを得ない。
ボードゲームとしては1戦あたり60分程度はごく標準的なプレイ時間で、特段に長いということはないのだが、コンピュータゲームとしては一区切り1時間というのは結構長く感じられてしまうだろう。
ボードをコンパクトにしたり目標額を下げるなどすれば多少は短かくできるのだが、そうすると多人数では競争が激しくなりすぎて後手番が出遅れるし、体勢があまり整わないうちにもうゴールに至ってしまうので「実力を発揮して勝った」というよりは「運が良かった」感じになってしまうだろうと思われ、ゲームとしてはむしろ改悪になりかねない。
あるいは1on1を標準にしてしまうというのもいい。4人戦と比べて待ち時間は1/3になるわけで、体感的にも実質的にもかなり軽くなるはずだ。
いずれにせよ、根本的には「ボードゲームだから時間がかかる」ので、短縮には慎重にならざるを得ず、体感の圧縮以上の改善は難しい。

他人の手番で受ける影響について
この件、


という指摘があり御尤もと思ったので追記。
ボードゲーム界隈でも、昔から「手番が回ってくるまでのダウンタイム」は問題として挙げられていたが、これは主に「手番以外ではアクションを起こすべき変化がほとんどない」ことによるもので、不利が問題になっているわけではない。たとえばこの問題に「手番処理中に他プレイヤーもリソースを得られる(場合がある)」ことで応えたカタンでは、「泥棒」による不利益の生じる可能性もあり、一概にプラスの影響が重要というわけでもなさそうだが、ともあれ「主にプラスが生じる」のではある。
対して他人への干渉が強いゲーム、たとえば対戦型TCGなどでは手番外に自分の資産への干渉とそれに対するリアクションが求められることでダウンタイムがあまり「ただ待つだけ」にはならない。他人の手番で発生する影響はほぼ確実にマイナスであるにも関わらず、それがネガティヴなイメージになっている感じはない。

カルドセプトの場合、丁度その中間にあって「他人の手番で自分へマイナスの影響が生じる」けれどもリアクション権が「戦闘時のアイテムにしかない」というバランスが、ダウンタイムに対するネガティヴな印象を強めているのは否めない。
解決策のひとつは「スペルによる干渉をなくす」だろうか……自分への強化はできても他人への妨害はできないようにしてしまえば、ネガティヴさは弱まる。あるいは逆にスペルへのリアクションを用意する方法もあるが、今度は最大3人からの干渉があり得て面倒になる。
ただスペルの干渉効果を弱めると直接戦闘以外での変化が弱まるのでゲーム展開は些か単調になるかも知れない。難しいところだ。

ダイス目の問題

「ダイス目が悪い」にも2種類あって、ひとつは「高額領地を踏んでしまって負ける」、もうひとつは「目が低くて周回に時間がかかる」。
前者については「奪えるようにブックを組む」あるいは「ダイス目をスペルで固定して運の問題でなくする」のが適切な改善策であって、ゲームの側でやれることがあるとすれば戦果でブックの解析を絡めてアドヴァイスを出す程度だが、後者は要するに「スゴロク風であること」が根本的に抱える問題と言える。
スゴロクというのは要するにレースゲームだから、基本的には「大きい目を出すほど良い」。カルドセプトでも周回ボーナスなど「早く回る方が有利」な面はたしかにあるので、余計にその感覚を強めているのだが、しかしカルドセプトの本質は実のところ陣取りと資産運用のゲームであり、周回は単に手持ちの魔力が増える程度の効果しかない。この「見た目の印象と実態に乖離がある」のが、ダイス目(が小さいこと)に必要以上の悪印象をもたらしているように思われる。

実際にはカルドセプトでの小さなダイス目はむしろ連鎖を得やすくなる分だけ有利に働くとすら言え、(飛び越えたい場所を踏んでしまう時以外では)悪いものではない。特にラウンドゲインがある分だけ魔力のやりくりが楽になったリボルトではその傾向が強い。
いっそ「小さい目の時には魔力ボーナス」とかあれば目の印象も違うのかも知れないが、それでは小さな目が強くなりすぎてしまうか。
あるいは周回をダウン回復・HP回復効果のみにして周回ボーナスの概念をなくし、その分を分散してラウンドゲインにしてしまうというのはアリかも知れない。

戦闘問題

これもデザイン上の誤謬なのだが。
前述の通り、カルドセプトは陣取りと資産運用のゲームだ。「連鎖を得ること」「連鎖した土地のレベルを上げること」が最も重要な要素で、ある意味それ以外はすべて装飾に過ぎない。
しかし楽しさの比重は明らかにブック構築にあり、ブックの機能の大半は戦闘にある。だからどうしても「戦闘力の高いブック」を組んでしまいがちだし、またそれが時折有効に機能して高額領地を奪って逆転したり拠点防衛でがっぽり分獲れたりという成功体験をもたらすものだから、「もっと重要なこと」に気付きにくく、だから「なかなか勝てなくて苛々する」ことになる。

ここはチュートリアルの不足が問題であるような気もする。前作でも今作でも、「連鎖を作れ」「レベルを上げろ」ということはもちろん言われているのだが、「連鎖がどれだけ重要か」は軽くスルーされてしまう。
レベルアップコストが土地価格の8割になった今作でこそ「単領でもレベルを上げれば総魔力が(投入した魔力の25%だけ)増える」のだが、前作までは単領では一切増えなかったし、その一方で連鎖は「2連領でも価値は1.5倍」「4連領なら2倍」と劇的だ。たとえば単領では1Lv土地(100G)→5Lv土地(1600G)には1200Gの投資に対し総魔力の増加はたった300G(投資分の1/4)に過ぎないが、2連領になっていれば土地価格は150G→2400Gになるので実質魔力増加は+1050Gと、単領の3倍以上になる。3連なら土地価値は1.8倍、5連領にもなれば2.2倍だから増加割合は更に増加するわけで、単に「通行料を高める」「防御を固める」以上に大きな意義がある、という点はもっとプッシュされるべきだろう。

カルドセプト リボルトをスタートダッシュする

遊戯

カルドセプト ダイレクトが配信され色々な情報が明らかになった。と同時に7/7の発売を前に「あらかじめダウンロード」予約購入がスタート、予約者はスタートダッシュVer.(という名の先行体験版)がダウンロードできる。
早速予約してスタートダッシュしたので、その感想などを交じえてリボルトの変化についてまとめてみたい。

速度

リボルトで一番重視されたポイントと思われるのが「1戦あたりにかかる時間」だろう。以前から「時間がかかるので尻込みする」といった話はよく聞かれたので、リボルトは発表当初から「スピーディ」を謳っていた。
実際にやってみると、たしかに時間がかなり短縮されているように感じられる。これは恐らく表示のチューニングとゲームシステムの変更の2本立てによる改善だろう。
表示のチューニングは、たとえば戦闘のアニメーションにかかる時間を見ると実感できる。
www.youtube.com
こちらは前作の戦闘シーン。手慣れたプレイヤー同士のためカード選択も一瞬で、一方しかアイテムを使用しなかったため能力発揮エフェクトが合計4回、これで4分40秒→5分10秒の約30秒。
www.youtube.com
対する新作の戦闘、カード選びに少々手間取り、双方がアイテムを使用しエフェクトが計6回、8分23秒→8分45秒で22秒。およそ2/3の時間で完了している。
戦闘だけでなく、全体にアニメーションが高速化している。これによって1手番にかかる時間そのものが減っているだけでなく、体感的にもスピーディな印象がある。

また、ゲーム展開も早くなった。これは主に「ダイスが2Dになった」「魔力制限が緩和された」「領地コマンドが使いやすくなった」ことによるところが大きいだろう。
0-5の2Dなので期待値は5歩(ただし00は12扱いなので5.33歩)となり、1-6の3.5歩よりも移動が早くなった。初期マップの距離は前作のデュナン村が1辺4マス+城=砦の18マスだったのに対し1辺5マス+2ゲートの22に増えているが、1周にかかるターン数は平均5.14から4.13に短縮されており、明らかに周回が早い。
その上、毎ターン開始時に少額ながら収入がある(初期は20だが経過ターン数が加算される)ので、各ターンに使える予算も多い。前作では初期200+砦ボーナス100の合計300を5ターンで分配するとして1ターンあたり60程度だったが、今作では初期150+砦ボーナス100の250を4ターンで、その上毎ターン20以上の追加があるので、1ターンあたり84ほどになる。
一番重要なのは、総魔力を押し上げる要である「土地のレベルアップ」を含めた領地コマンドが、常に全領地に対して使えるということ。召喚したばかりの時や一度使った後は「ダウン」状態となり周回まで使えなくなるが、計画的なレベルアップが容易になった。
しかも(これはもしかしたら初期マップだけという可能性もあるが)土地の基本価値が100→80になっているため、レベルアップに要するコストも低い。まあその代わりにLv1単領地の占領ではほとんど魔力資産が増加しなくなるので、積極的に連領を形成しレベルアップする必要があるということでもあるが。
誤認があったので追記。土地の価値自体は変わらず100で、レベルアップに要するコストがその80%になったのだった。ということは、今までは単領だと投資魔力=増加魔力で増えなかったものが、単領でも(投資魔力の25%ではあるが)魔力増加するようになったわけだ。安くレベルップできる上に総魔力が増えやすい仕様変更である。

戦術の変化

任意の領地にコマンドを使用できるというのは劇的な変化で、たとえば現在地から離れた場所へマジックボルトを撃ち込んで空き地を作り、隣のクリーチャを移動させて占領、というムーブが1手で可能になるし、あるいはホーリーワードかけて踏む場所を指定した上でそこのレベルを上げる、などといったことも確実にできる。これまでとは違った意味で、激しい攻防が展開されるわけだ。
これにより従来ではほとんど活用されることのなかった、他プレイヤーの妨害用としてのホーリーワードが、にわかに危険なカードと化した。
ついでに、ドローを付けてなお利用率の低かった回復スペルが「ダウンの回復」付きになったことで重要度を増した。召喚したばかりのクリーチャーを即時レベル上げしたり、移動侵略後すぐに置き換えたりといったことが可能になる。

ダイスが2Dになったということは従来のように出目が一様に分布しておらず「5」を中心に出やすさが偏るということ。つまり「次に相手が踏みそうな」エリアを狙って上げておく、というような戦術も地味ながらそれなりに有効だろうと思われる。
面白いのはホーリーワードとフライの問題。呪い効果であるホーリーワードに対し瞬間効果であるフライは併用可能だが、その場合の出目がどうなるのか調べたところ、「ホーリーワードが2Dの合計値を固定し、フライが3D化=ホーリーワードの指定値+1D」進めるようだ。

また、カルドセプト独特の「手札の扱い」も変化した。枚数オーバー時もすぐに破棄させられるのではなくターン終了時までは保持できるし、なにより「相手の手札を憶えておく」必要がほとんどなくなった:いつでも下画面をタッチすれば確認できるので、これからは「自分が攻め込む前に相手のカードを確認する」「手番プレイヤーのカードを確認しておいて備える」になるだろう。副次的に、「戦闘に入ってからカード選びに悩む」ことも少なくなると思われるので、その分だけ戦闘の時間も短縮できる。

自分好みに育てる特殊なクリーチャーカードが登場したが、公開されている範囲の情報のみから察する限りではHPやSTを育てることはできても特殊な能力を持ったりはしないように思われる。まあ単に非公開なだけで実際には能力を追加するパーツも用意されているのかも知れないが、それでも先制や再生など定型的な能力だけではないだろうか。あまり戦術に大きく作用する要素ではなさそうな気がする。

ストーリーなど

ほんの序盤しかプレイできないためなんとも言えないが、物語としてはほとんど進まない段階で3マップが公開されたので、全体を通してそこそこのボリュームになりそうな気がする。シナリオが充実していたサーガぐらいのボリュームになるんだろうか。
珍しくCERO Bなのはシナリオが暗めの展開っぽいことによるのか、それともキャラのデザイン故か。ヒュプノおねえさんエッチです。
今までは「あくまでプレイヤーの分身」であり無口を貫いてきた主人公が、はっきりとした性格と背景設定を持つ別人になったのには違和感がないでもないが、まあ対戦時のアヴァターは変更可能なのだから気にすることはない。
それよりも今回一番の衝撃は「セプターて死ぬとあんな風になるんですか……」じゃないかな。このあたり設定を知りたい。

マヤ遺跡天文対応説とはなんだったのか

初手から胡散臭い話ではあった。
societas.blog.jp
普通に考えれば、素人の少年が専門家に勝る発見をする可能性はたいへん低い。
普通に考えれば、星座と都市が結び付くはずがない。
だいたい、「遺跡のある場所を線で結ぶと意味のある形に」なんて話、オカルト誌でしか見たことない。

中身を読んで胡散臭さは確信になった。

「マヤ暦で2012年に世界の終りが予言されている」という逸話を知ったことをきっかけに中米の古代文明に興味を持ち

そもそも発端からしてオカルトであるが、まあそこは単にきっかけであるから目を瞑るとして、

ある仮説を立てて独自に「研究」を行っていた。その仮説とは、マヤ文明の古代都市が星座の並びを模して配置されているというもの

それは仮説ではなく思い付きというのではないか。
まあ根拠のない思い付きが発端であったとしても、きちんと検証を踏んで仮説と言えるまでに至ることはあるだろう。

「なぜマヤ文明の都市は川から離れた山奥の不便な場所に造られたのか?」と疑問を持ち、上述の仮説を思いついた

なぜその疑問からこんな「仮説」に至るのかがよくわからない。間に入るべき段階をいくつもすっ飛ばしてないか。

マヤのGISをダウンロードして地図上にプロットし、その地図に現地から見ることのできる範囲の星図を重ね合わせてみた

とあるが、実際に彼が描いたらしきものを見ると実際に重ねたのは星図=「空のどの位置に星があるかを示すマップ」ではなく星座=「小数の目立つ星を繋ぐ線」のようだ。
たとえばUne cité maya découverte par un ado grâce aux étoiles ? - Libérationにいくつかの画像があるが、
http://md1.libe.com/photo/874916-william-gadoury-constellations-mayas-expose-orion.jpg?modified_at=1462805251&width=750
オリオン座のうち3つの星を遺跡の位置に(だいたい)合わせているだけで、目立つ三つ星などはスルーだ。
他の画像から見ても、実際の天体位置とは無関係に複数の星座を地図の上に重ねている。もしマヤ文明が、「わざわざ不便な場所に都市を作る」ほど天文に強いこだわりを持っていたとしたら、そんな適当なやり方をしただろうか?
http://md1.libe.com/photo/874913-william-gadoury-constellations-mayas-expose.jpg?modified_at=1462803980&width=750

そもそも、これはマヤの星座ではなく、我々の知るギリシア時代からの西欧式な星座に過ぎない。
マヤ考古学者に拠れば、


というわけで、目立って輝く星を無視するようなことはなかっただろうけども、少なくとも星のまとまりを我々の感覚とは全く違った目で見ていただろうことは確実だ。

つまるところ、

マヤ文明の117の都市が実際の星の並びと一致していた

というのは


というネタと大差ない。もちろんこれはそれっぽい図形を描ける位置のコメダだけを拾い上げて線で繋いだだけで位置が合わないものは華麗にスルーされているわけで、マヤ遺跡と星の並びについても

しかしこの話は、更に続く。

Gadoury君は、当時のマヤ文明の星座では重要とされていた星に対応する都市がまだ見つかっていないことに気づいた。それは現在のオリオン座に相当する部分の星だった。Gadoury君はこの発見をカナダ宇宙庁に報告し、NASAJAXAの撮影した画像を提供してもらった。もし仮説の通りなら、メキシコのユカタン半島に未発見の古代都市が存在するはずだ

そもそも「星の位置に合わせた」という仮説自体が極めて疑わしいのだが、それはそれとして「偶然その位置に遺跡があった」可能性はなくもない、のかもしれない。

衛星画像を拡大して調査した結果、86メートルのピラミッドと数十の家屋からなる新たな都市が発見された

偶然の発見というにはずいぶん大きな話だ。
報道誌面から映像を拾ってみよう。たとえばDaylyMail紙では、
http://i.dailymail.co.uk/i/pix/2016/05/10/10/340122DD00000578-0-image-a-14_1462872045042.jpg
http://i.dailymail.co.uk/i/pix/2016/05/10/10/340122E400000578-0-image-a-15_1462872452470.jpg
それぞれ「大きなピラミッド」と「都市」なのだというが、これを見る限りでは単に「盛り上がった何か」でしかなく、86メートルのピラミッドだの数十の家屋だのはまったく見えない。
「何かがある」と「遺跡がある」ではまったく話が違ってくるし、前述の具体的な遺跡構成の描写を見る限りでは「現地調査で実際に遺跡を発見した」ぐらいの印象を受けるが、それにしては各記事ともイメージ映像として有名なマヤ遺跡の写真を掲載してはいても「実際に見付かった遺跡の写真」は1枚も出てこない。
じゃあこの「発見された何か」は一体なんなんだ、というと

というわけで、あらゆる方面から見てこの話は極めて疑わしい、というかまあ「ない」だろうという結論になるわけだが、それはそれとして「じゃあ一体この"86メートルのピラミッドと数十の家屋からなる都市"てのはなんだったの」という点が気になっている。
各報道は孫引きされる過程で色々な誤解を含んでいるものとして、一次情報に近いニュースソースとなっているのは恐らくカナダの大衆紙ジャーナル・デ・モントリオールではないかと思われる。この中で既に、

Pyramide de 86 mètres(86メートルのピラミッド)
Superficie totale de 80 à 120 km carrés(80〜120km四方の方形)
Localisation: 17 ° Nord 90 ° Ouest(北緯17度、東経90度の位置)
Réseau important d’allées et de rues(路地や通りの大規模なネットワーク)
30 structures visibles de l’espace(30の建物に見える空間)
4e plus importante cité maya(マヤ遺跡の中で4番目に大きな規模)
(※文意は機械翻訳をベースとした私の理解なので、誤読可能性がある)

と書かれており、より具体的な都市の描写が見られる。この大衆紙が脚色したのでなければ、少年を含む「研究グループ」の発表時点で既に話が盛られていたのだろうか。
我々に確認可能なのはGoogleMapからの衛星画像程度で、もしかしたらNASAJAXAが提供したらしき画像の中にはもうちょっと鮮明に「何かが見える」ものがあったのかも知れないが、それこそ元画像が公開されるべきところであろう。

それにしても、出立点から明らかに間違った「仮説」に3年を捧げてしまった少年が哀れという他ない。誰かそれを止めてやれる見識の持ち主が周囲にいなかったのだろうか……

街コロ戦術研究2

遊戯

ゲームマーケット2012春で発売されたカードゲーム「街コロ」は、今やボードゲームの本場ドイツでも発売されるばかりか年間ゲーム大賞にもノミネートされ、またゲーム専門誌『フェアプレイ』のアラカルト・カードゲーム賞2015でも1位など、高く評価を受けている。
ゲームマーケット後に攻略記事を書いた時とは状況も変わり、また追加カードセットが2種類登場したことで戦術の幅も広がった。そろそろ、4年前の記事を書き直しても良い頃だろう。

街コロとは

www.amazon.co.jp
場に並べられた施設カードを買って自分の街を発展させてゆく、箱庭的なカードゲームだ。カードのそれぞれにサイコロの目に対応した数字が書かれており、その目が出た時に収入をもたらす。そして収入でまた新たな施設を買うことで、それぞれの目で収入が得られるようにしたり、あるいは一度に多くの収入が得られるようにして、いかに効率良く収入の得られる街を作り、他の街よりも早くにランドマークをすべて建て終えるかを競う。

基本的なこと

施設の種類

街コロの施設には5種類ある。

ランドマーク
最初から手元にあるが、裏返された状態のカード。これをすべて建てるのがゲームの目的になる。また「振れるサイコロの数を増やす」「サイコロを振り直せる」などゲームを有利にする効果を持つので、どのタイミングでどのランドマークを建ててゆくかも考えどころ。
生産施設(青色)
誰の番でも、振られたサイコロの目に一致すれば収入になるカード。1回あたりの収入は少なくとも、収入機会が多いので序盤に手を広げるのに役立つ。
販売施設(緑色)
自分の番で振ったサイコロの目に一致した時だけ収入になるカード。1回あたりの収入が多めでも、他人の番には収入が増えないので、頼りすぎるとサイコロの目に泣くことも。
飲食施設(赤色)
自分以外が振ったサイコロの目に一致した時だけ、振った人からお金を奪うカード。妨害が可能になるが、相手がお金を持っていないと無意味になるので注意。
大型施設(紫色)
自分の番で振ったサイコロの目に一致した時にだけ、他のプレイヤーを妨害するカード。強力だがその分だけ高価。

サイコロの目と確率

ボードゲーム経験の浅い人向けの解説。
サイコロ1個を振った時の目はすべて同じ確率だが、2個振る時は合計数によって確率が違う。
出目の組み合わせは6×6=36通りあるが、合計が2(1+1)や12(6+6)は1パターンしかないのに対し、3だったら2+1と1+2の2パターンになるし、7は1+6・2+5・3+4・4+3・5+2・6+1と6パターンもある。7に近い目ほど出やすく、遠い目ほど出にくい。
だから、「駅」を買う前の段階では1〜6の施設はどれも出る確率が一緒だけど、駅を買ってみんながサイコロ2個を振るようになってくると、1の麦畑はもう使われないし、2の牧場もほとんど収入にならなくなる。
序盤の収入だけではなく、後半の活用も考えながら買ってゆく必要がある。

収入効率を考える

まずは施設ごとに「1ターンあたりの平均的な収入量」を計算する。青や赤は人数が増えるほど収入も増えるし、サイコロ1個(1D)と2個(2D)では目の確率が変わるので収入も変わる。
緑の「他のカード枚数で収入が変化する」ものは、1枚あたりの量を計算しているので、複数持っている場合はそれに応じて収入も増える。

基本施設収入期待値表(手番あたり)

出目 施設 価格 1D:2人 1D:3人 1D:4人 2D:2人 2D:3人 2D:4人
1 麦畑 1 0.33 0.5 0.67 - - -
2 牧場 1 0.33 0.5 0.67 0.06 0.08 0.11
2〜3 パン屋 1 0.33 0.33 0.33 0.08 0.08 0.08
3 カフェ 2 0.17 0.31 0.42 0.06 0.11 0.16
4 コンビニ 2 0.5 0.5 0.5 0.25 0.25 0.25
5 森林 3 0.33 0.5 0.67 0.22 0.33 0.44
6 スタジアム 6 0.33 0.67 1 0.28 0.56 0.83
6 テレビ局 7 0.83 0.83 0.83 0.69 0.69 0.69
6 ビジネスセンター 8 - - - - - -
7 チーズ工場 5 - - - 0.92 0.92 0.92
8 家具工場 3 - - - 0.78 0.78 0.78
9 鉱山 6 - - - 1.11 1.67 2.22
9〜10 ファミレス 3 - - - 0.5 0.88 1.16
10 リンゴ園 3 - - - 0.5 0.75 1
11〜12 青果市場 2 - - - 0.32 0.46 0.59

基本セットでは鉱山の強さが光る。購入コストも高いが、それに見合う収益をもたらしてくれる存在だ。また家具工場との連携も大きい。
緑では家具工場よりもチーズ工場の方が強く、また収益源である牧場の購入コストも低いため強化しやすいが、その代わり他人にも取られやすいし、また牧場は後半ほとんど収入にならない点でちょっと厳しい。

基本戦術
  • 牧場+チーズ工場
  • 森林・鉱山+家具工場
  • 麦畑・果樹園+青果市場

街コロ+ 施設収入期待値表(手番あたり)

出目 施設 価格 1D:2人 1D:3人 1D:4人 2D:2人 2D:3人 2D:4人
1 寿司屋 2 0.50 1.00 1.50 - - -
4 花畑 2 0.33 0.50 0.67 0.17 0.25 0.33
6 フラワーショップ 1 0.33 0.33 0.33 0.14 0.14 0.14
7 ピザ屋 1 - - - 0.17 0.33 0.5
7 出版社 5 - - - 0.17 0.33 0.5
8 バーガーショップ 1 - - - 0.14 0.28 0.42
8 サンマ漁船 2 - - - 0.84 1.25 1.67
8-9 税務署 4 - - - 1.25 2.5 3.75
12〜13 食品倉庫 2 - - - 0.17 0.17 0.17
12〜14 マグロ漁船 5 - - - 0.78 0.97 1.16

※食品倉庫・マグロ漁船は港の効果を勘案し10〜12の目をヒットとして計算している。ただしマグロ漁船の場合、他人の番では敢えてヒット率を有利にする理由がないと考えて自分の手番のみ10〜12、それ以外では12の目のみヒットとした。
また税務署は「10以上持っている場合のみ」半分を奪う、という計算しにくい代物であるのでとりあえず一人につき5を奪う前提で計算している。

1の目に大きく奪う「寿司屋」が入ったため1D場が圧迫されやすく、2D化が促進される。また最高額ランドマークが22の電波塔から30の空港に拡張されたことで高額収入の構築が更に重要になった。
一方で爆発的収入戦術は基本セットからあまり増えておらず、代わりに妨害要素として税務署が貯蓄の邪魔をするようになった。1D場のまま構築可能な花屋+フラワーショップの追加がポイントだが、それが寿司屋と干渉している。

基本戦術
  • 赤施設+食品倉庫
  • 港+寿司屋・サンマ漁船・マグロ漁船
  • 花畑+フラワーショップ

街コロ# 施設収入期待値表(手番あたり)

出目 施設 価格 1D:2人 1D:3人 1D:4人 2D:2人 2D:3人 2D:4人
2 雑貨屋 0 0.33 0.33 0.33 - - -
3-4 コーン畑 2 0.67 1 1.33 - - -
4 改装屋 2 1.33 1.33 1.33 0.67 0.67 0.67
5 高級フレンチ 3 0.83 1.67 2.5 0.56 1.11 1.67
5-6 貸金業 0 -0.67 -0.67 -0.67 -0.5 -0.5 -0.5
7 ブドウ園 3 - - - 1 1.5 2
8 清掃業 4 - - - 0.14 0.14 0.14
9 ワイナリー 3 - - - 0.67 0.67 0.67
9-10 引っ越し屋 2 - - - 0.78 0.78 0.78
10 ITベンチャー 1 - - - 0.08 0.08 0.08
11 ドリンク工場 5 - - - 0.06 0.06 0.06
11-13 公園 3 - - - ? ? ?
12-14 会員制BAR 4 - - - ? ? ?

※雑貨屋・コーン畑は2D振るようになった=駅を建設した時点で機能を失う。
公園、BARは計算しようがないのでスルー。

コーン畑と改装屋が1D場を強化、また高級フレンチにより早期のランドマーク建築に高リスクが生じた。
また2D場では新たに収益性の高いブドウ園と、それを爆発力に替えるワイナリーが登場。ただしブドウ園の収益が半減するのが悩ましい。
序盤に一時的な高額収入をもたらす貸金業はしかし、減収可能性の高さを考えると使いどころが難しい。序盤の強力な収入源でありながら終盤を邪魔しかねない改装屋と共に引っ越し屋で押し付けたいところ。
プラスで爆発力を発揮した「マグロ漁船」に対する抑止力として会員制BARが。ただし「先に奪ってから」マグロの水揚げとなるので抑止効果としては微妙なところ。
全体的に強化されてきた赤施設に対する抑止を兼ねてドリンク工場が。ヒット目が11と厳しいのが玉に瑕か。

基本戦術
  • ブドウ園+ワイナリー
  • コーン畑・ブドウ園・麦畑・果樹園+青果市場

高収益性を追求する

次に、爆発的収益性の見込める戦術の効率を考えてみよう。
青系の枚数に応じて収益を倍加させる工場系などの施設は、うまくヒットすれば1回で30を越える収入を上げ、一気に空港を買うことも可能な勝利への最短ルートだ。

単純に、これらの戦術を「生産地×工場」の形で建造コストと出目ヒット時の収入を表にしてみると、1回の収入が30を越える時の組み合わせとコストは、

  • チーズ工場×牧場
    • 工場2×牧場5
      • 建造コスト15
      • 収益30
    • 工場3×牧場4
      • 建造コスト19
      • 収益36
    • 工場4×牧場3
      • 建造コスト23
      • 収益36
  • 家具工場×森林・鉱山
    • 工場3×森林2
      • 建造コスト15
      • 収益30
    • 工場3×森林+鉱山
      • 建造コスト18
      • 収益30
    • 工場3×鉱山2
      • 建造コスト21
      • 収益30
  • フラワーショップ×花畑
    • ショップ5×花畑6
      • 建造コスト17
      • 収益30
    • ショップ6×花畑5
      • 建造コスト16
      • 収益30
  • ブドウ園×ワイナリー
    • 園3×ワイナリー2
      • 建造コスト15
      • 収益36
    • 園2×ワイナリー3
      • 建造コスト15
      • 収益36

あたりが最小コストとなる。
単純に必要枚数だけを見ると最小5枚で構築できる家具工場・ワイナリー路線が有利にも見えるが、コスト3で収入1とパフォーマンスの悪い森林や1D場では機能しないワイナリーは序盤の動きが悪い。
たとえば、毎ターンの平均収入から手の延びをシミュレートしてみよう。青の施設はプレイ人数により収益に差があるので、ここでは3人プレイを想定する。初期の収益は麦畑1とパン屋1で0.83、これに初期3金を加えて第1ターンの資金3.83でスタートする。

  • 牧場+チーズ工場
    • 1ターン目:現金3.83→牧場(現金2.83+収益1.33、+60.2%)
    • 2ターン目:現金4.16→牧場(現金3.16+収益1.83、+37.6%)
    • 3ターン目:現金4.99→牧場(現金3.99+収益2.33、+27.3%)
    • 4ターン目:現金6.32→牧場(現金5.32+収益2.83、+21.5%)
    • 5ターン目:現金8.15→牧場(現金7.15+収益3.33、+17.7%)
    • 6ターン目:現金10.48→工場(現金5.48+収益3.33、+0%)
    • 7ターン目:現金8.81→工場(現金3.81+収益3.33、+0%)
    • 8ターン目:現金7.14→駅(現金3.14+収益9.68、+190.7%)
    • 9ターン目:現金12.82→工場(現金7.82+収益14.28、+47.5%)
    • 10ターン目:現金22.1→工場(現金17.1+収益18.88、+32.2%)
    • 11ターン目:現金35.98
  • 森林+家具工場
    • 1ターン目:現金3.83→森林(現金0.83+収益1.33、+60.2%)
    • 2ターン目:現金2.16→牧場(現金1.16+収益1.83、+37.6%)
    • 3ターン目:現金3.00→森林(現金0+収益2.33、+27.3%)
    • 4ターン目:現金2.33→牧場(現金1.33+収益2.83、+21.5%)
    • 5ターン目:現金4.16→森林(現金1.16+収益3.33、+17.7%)
    • 6ターン目:現金4.49→工場(現金1.49+収益3.33、+0%)
    • 7ターン目:現金4.82→工場(現金1.82+収益3.33、+0%)
    • 8ターン目:現金5.15→駅(現金1.15+収益5.16、+55.0%)
    • 9ターン目:現金6.31→鉱山(現金0.31+収益8.39、+62.6%)
    • 10ターン目:現金8.70→鉱山(現金2.70+収益11.62、+38.5%)
    • 11ターン目:現金14.32→鉱山(現金8.32+収益14.85、+27.8%)
    • 12ターン目:現金23.17→鉱山(現金17.17+収益18.08、+21.8%)
    • 13ターン目:現金35.25

毎ターン牧場を買うことで伸ばした収益がそのまま工場の利益となるチーズ工場に対し、毎ターン森林を買えない家具工場は動きが2ターン遅れる。ただ、鉱山によって工場の収益と工場外の収益の両方が増加するため成長率は悪くない。また、家具工場でも序盤に収益を伸ばすために牧場を購入しているが、このように安価にヒット目を増やし収益を安定させられる牧場は他戦術でも買われ易く、独占による収益増加が難しいという欠点もある。対して家具工場は森林を独占しやすい上に鉱山による追加も可能なため、資源の奪い合いに対しては安定している。

別の戦術を考えよう。追加セットによって可能になった序盤ブースト戦術として、貸金業、コーン畑、改築屋の活用を考える。
序盤に大きく5金を得られる貸金業は、その代わりに-0.67もの減収をもたらす。しかしその分を取り戻せるほどの投資先を探すのは難しい。敢えて組み合わせるなら、たとえば森林の確保に資金難のある家具工場の序盤展開だろうか。牧場を2買う代わりに貸金業を1買えば、減収を考慮しても森林を2確保でき、1ターン早くに目的を達成できる。
コーン畑と改築屋は1を上回る収益性が魅力である。ただし改装屋はランドマークの発展を遅らせるので後半では引っ越し屋などで押し付けることも考慮せねばならないし、コーン畑はランドマークを発展させ始めると効果を失うので、序盤できるだけコーン畑のみで収益を上げつつ、後半は完全に切り捨てるつもりで体制を作る必要がある。

コーン畑

  • 1ターン目:現金3.83→コーン畑(現金1.83+収益2.33、+75.2%)
  • 2ターン目:現金4.16→コーン畑(現金2.16+収益3.33、+42.9%)
  • 3ターン目:現金5.49→コーン畑(現金3.49+収益4.33、+30.0%)
  • 4ターン目:現金7.82→コーン畑(現金5.82+収益5.33、+23.1%)
  • 5ターン目:現金11.15→コーン畑(現金9.15+収益6.33、+18.8%)
  • 6ターン目:現金15.48→コーン畑(現金13.48+収益7.33、+15.8%)

序盤の収益性は実に他戦術の倍を越え、また6ターン以降は(1D場ならば)安定して6を上回る収益を叩き出すため、このあたりから毎ターン鉱山を買い続けると、森林からの家具工場展開に比して3ターン早くに着手できるため2/3以上を独占可能となる。

  • 6ターン目:現金15.48→鉱山(現金9.48+収益6.33、+0%)
  • 7ターン目:現金15.48→鉱山(現金9.48+収益6.33、+0%)
  • 8ターン目:現金15.81→鉱山(現金9.81+収益4.72、-25.4%)←他プレイヤーが2D場に移行
  • 9ターン目:現金14.53→鉱山(現金8.53+収益5.81、+23.1%)
  • 10ターン目:現金14.34→駅(現金10.34+収益6.68、+15.0%)
  • 11ターン目:現金17.02→家具工場(現金14.02+収益9.8、+46.7%)
  • 12ターン目:現金23.82→家具工場(現金20.82+収益12.92、+31.8%)
  • 13ターン目:現金33.74

鉱山の独占という意味では森林-家具工場に対するメタとして優位に機能する反面、現金30を越えるラインは結局13ターンまで持ち越すのでチーズ工場には劣る。ただ6ターン目には既に15を上回る現金が確保できるという展開の早さは強烈であり、場合によっては他の赤または青施設で2D場での収益を確保しつつ現金を温存し、1Dのまま電波塔や空港を確保してしまうというのもアリかも知れない。ただし2つ目のランドマークを建設する前になんらかの収益ラインを構築しておかないと後半がジリ貧にもなりかねないので注意。

改装屋の場合は1枚目こそコーン畑よりも期待値を高めることができるものの、効果発揮のためには建設済みランドマークを未建設に戻す必要があるためコーン畑との相乗効果は発揮できない。また複数の改装屋で収益を倍加することも難しいため、むしろ戻されても安価に済む港との相性が良い寿司屋を組み合わせて1D場を圧迫、2D場に移行したところで高級フレンチと会員制BARで奪う展開になるだろう。早期にショッピングセンターを建てつつ、食品倉庫とドリンク工場での収入爆発を狙う。

最後に、+の新コンボである花畑+フラワーショップについて考察する。この戦術の利点は、1D場から安定して機能すること、従来の1D場では死に目だった6が収入になること、生産地も販売施設も安価なので序盤から相互作用させていけること。

    • 1ターン目:現金3.83→花畑(現金1.83+収益1.33、+60.2%)
    • 2ターン目:現金3.16→花畑(現金1.16+収益1.83、+37.6%)
    • 3ターン目:現金2.99→フラワーショップ(現金1.99+収益3.00、+63.9%)
    • 4ターン目:現金4.99→花畑(現金2.99+収益3.83、+27.7%)
    • 5ターン目:現金6.82→フラワーショップ(現金5.82+収益4.31、+12.5%)
    • 6ターン目:現金10.13→花畑(現金8.13+収益5.47、+26.9%)
    • 7ターン目:現金13.60→フラワーショップ(現金12.60+収益6.79、+24.1%)
    • 8ターン目:現金19.39→花畑(現金17.39+収益8.28、+21.9%)
    • 9ターン目:現金25.67→フラワーショップ(現金24.67+収益9.93、+19.9%)
    • 10ターン目:現金34.60→花畑(現金32.60+収益11.75、+18.3%)
    • 11ターン目:現金44.35→フラワーショップ(現金43.35+収益13.73、+16.9%)
    • 12ターン目:現金57.08フラワーショップ(現金56.08+収益15.71、+14.4%)

花畑+フラワーショップ戦術の利点は、1D場から安定して機能すること、従来の1D場では死に目だった6が収入になること、生産地も販売施設も安価なので序盤から相互作用させていけること。その結果、花畑1枚目ではまだ花畑0.5に対しフラワーショップ0.33と花畑に収益優位性があるが、2枚買うとフラワーショップが0.67になり逆転する。また連続でフラワーショップを買うより花畑と交互に買う方が、収益の上昇率が高い。実に10ターン目時点で現金が30を越え空港に手を出すことも可能になるが、これはチーズ工場戦術よりも1ターン早い。
ただし工場戦術では8ターン目に駅を買い9ターンから2D場に移行するので、9ターン目からの収益は自分以外の手番で4が出にくくなるため実はもう少し落ちる可能性がある。

悩ましいのはショッピングモールの購入タイミングだ。フラワーショップの売上を倍加するショッピングモールはどの時点で購入しても高い効果が見込めるが、その効果を最大化するタイミングを計算してみたい。
まずは「花畑・フラワーショップを全部買ってからショッピングモール」パターン。

    • 13ターン目:現金71.79→ショッピングモール(現金61.79+収益27.95、+77.9%)
    • 14ターン目:現金89.74

次に「10金が貯まる6ターン目で花畑を買わずにショッピングモール」。

    • 6ターン目:現金10.13→ショッピングモール(現金0.13+収益6.35、+47.3%)
    • 7ターン目:現金6.48→花畑(現金4.48+収益8.19、+29.0%)
    • 8ターン目:現金12.67→フラワーショップ(現金11.67+収益10.87、+32.7%)
    • 9ターン目:現金22.54→花畑(現金20.54+収益13.38、+23.1%)
    • 10ターン目:現金33.92→フラワーショップ(現金32.92+収益16.73、+25.0%)
    • 11ターン目:現金49.65→花畑(現金47.65+収益19.91、+19.0%)
    • 12ターン目:現金67.56→フラワーショップ(現金66.56+収益23.93、+20.2%)
    • 13ターン目:現金90.49フラワーショップ(現金89.49+収益27.95、+16.8%)
    • 14ターン目:現金117.44

こちらも10ターンで30金越えになる点では速度に変わりないが、収益の伸びで上回るため11ターン以降では逆転する。
いずれにせよ花畑+フラワーショップもチーズ工場と同様、安価なため独占の難しいタイプのコンボであるから、他人の購入も見ながらタイミングを計る必要があるだろう。

この他に独占可能性の高い青果市場系やワイナリー系も研究の余地があるが、今回は割愛する。

有線ヘッドフォンを無線にする

音楽

イアフォン・ヘッドフォンで一番発生しやすい故障は「ケーブルの断線」である。ハイエンドモデルだとオーディオ本体へ接続するケーブルの根本がピンジャックになっており換装可能なものもあるが、安いものでは直付けなので分解して半田付けし直すか捨てるしかない。
そうでなくてもケーブルの存在はちょっと厄介だ。席を立つ時は外さねばならなかったり、満員電車内などでは乗り降りの際に他人のボタンや鞄などに引っ掛かって抜けたり切れたりする。
利便性を考えるなら、ワイアレスにしたい。

しかしワイアレス化を検討すると、そのヴァリエーションの少なさに驚かされる:たとえばAmazonで「イヤホン・ヘッドホン」カテゴリを見るとイアフォン約1万2千〜3千、ヘッドフォン4千ほどの商品数があるが、「ワイヤレス」で絞り込むとその1/10ぐらいに減じてしまう。つまり、デザインや性能で選ぼうとしてもそもそも候補が少なく、断念せざるを得ないことがかなり多くなる。
しかもワイアレスヘッドフォンは割高である。いや、通常のヘッドフォンに加えてバッテリーを内蔵し通信機能を載せているのだから当然ではあるのだが、そうはいっても場合によっては倍以上も価格差がついたりすると尻込みせざるを得ない。
たとえばゼンハイザーのMOMENTUM On-Earだと、有線モデルなら2万円前後だが
www.amazon.co.jp
Bluetoothモデルだと5万円を越える。
www.amazon.co.jp
まあこれは流石に特殊例だとは思うが、他メーカでも1万円前後は値が変わるようだ。1万の上乗せというのは、何万もする高級機路線ならば大した問題ではないかも知れないが、1万円前後の「そこそこのモデル」を買う感覚でいくと、チープなエントリーモデルで我慢するか予算を倍増するかの選択を迫られる感じになってしまう。

じゃあBluetoothを内蔵しなければいいのではないか。
というわけでBluetoothオーディオレシーバーという選択肢を考える。

BLUENEXT ELANVITAL ワイヤレスステレオレシーバーAirCLIPII ブラック EVSH-03BK

BLUENEXT ELANVITAL ワイヤレスステレオレシーバーAirCLIPII ブラック EVSH-03BK

SONY ワイヤレスオーディオレシーバー Bluetooth対応 マイク付 ブラック DRC-BTN40/B

SONY ワイヤレスオーディオレシーバー Bluetooth対応 マイク付 ブラック DRC-BTN40/B

要するに、ヘッドフォン/イアフォンを差し込むとオーディオ本体との間をBluetoothで通信可能にしてくれるという代物である。コンパクトな分だけヘッドフォン内蔵型よりもバッテリ容量的に不利な面もあるが、内蔵型の耳元操作より手元操作の方がやりやすいしマイクで通話もできるし、なにより内蔵型より安価で済み、しかも好きなヘッドフォンをそのまま利用できる。
ただ近年では、内蔵型のヘッドフォンが広まってきたためかこの手の商品自体がかなり縮小傾向にあるようで、ソニーオーディオテクニカなど主要なオーディオメーカは撤退しつつあり、売っているとしてもイアフォンとのセットのみだったりする。今や主要なメーカーはELECOMのみかも知れない。

インセインSCPを遊ぶために知っておくべきこと

遊戯

インセインSCPのライセンス問題によってTRPG界隈では俄にクリエイティブ・コモンズ(CC)、および著作権についての話が盛り上がった。
なにしろ著作権というのはなかなかに難解、というか線引きの難しい問題を含んでいて、どこまでが保護されどこからが保護されないのか、そう簡単には断言できない。
とはいえプレイヤーの側としても「わからない」では遊ぶのに躊躇があるわけで、少なくとも「これは大丈夫」「これは駄目」がはっきりしている部分については説明しておくべきだろうと考えたので、この記事を書いている。
ただし筆者はSCP財団の当事者でも冒険企画局の当事者でもなく、また知的財産の専門家というわけでもなく、単なる一介の第三者に過ぎない。従って(これと大きく異なるものにはならないだろうとは思っているけれども)なんら公的な見解ではないということには留意されたい。

クリエイティブ・コモンズとは

大雑把に言えば、「いちいち作者の許可を得ないで作品を利用できるようにするための仕組み」だ。このライセンスに従って公開された作品は、ライセンス条件さえ守れば「こんな風に使っていいですか」と訊くことなく利用できる。
同じCCライセンスでも、商用に利用して良いかどうか、改変して良いかどうかなどでいくつかの種類があるが、SCPおよびインセインSCPの場合には「表示-継承」という条件になっている。これは要するに「原作者が誰なのかはっきりさせること」「この作品を利用して作った何かを公開する場合、それもCC-表示-継承のライセンス形式を受け継ぐこと」という意味だ。代わりに、転載・複製・改変・商用利用が自由に行なえる。
……つまり、あなたはSCPを自由に使うことができるが、SCPに影響を受けてあなたが作った作品も誰もが自由に使えるようにしなくてはならないという意味だと思えば、だいたい間違ってない。

CC 表示-継承で公開するとどうなるのか

あなたが公開したものは、基本的には誰でも自由に使って良いことになる。その誰かはあなたの作品をコピーしてもいいし、そのコピーを勝手に書き換えたものを作ってもいい。また売ったりすることも許される(ただし、それらも公開にあたってはCC 表示-継承を宣言する必要がある)。
まあほとんどの場合はそんなに気にするようなことにはならないと思う:自分の書いたシナリオの改良版が作られたりとか、自分の描いたキャライラストが動画に使われるとか、そんなことはあるかも知れないけど。

CCライセンスが必要な場合とそうでない場合

オフラインのセッションで遊ぶだけの場合

ごく普通に対面でセッションして、シナリオを公開するわけでもリプレイを公開するわけでもなく、伝統的なTRPGの遊び方の範疇に留まるならば、著作権クリエイティブ・コモンズについて何も考えることはない。キャラクターシートなどのコピーやルール・データの改変は、遊ぶために必要な行為として認められているし、いずれにせよ私的利用の範囲内ではいかなる権利も侵害していないと言ってよいので、非公開の範囲ならば気にせず遊ぶことができる。

オンラインセッションの場合

これは多少考えるべき事例に思われるが、ひとまずセッション自体がメンバー以外には非公開で行なわれる場合は気にしなくて良いだろう。オフラインでのセッションと扱い的にはほぼ同一だ。
セッションを誰でも見学可能な状態で行なう場合には、もしかしたら「派生物の公開」と見做される可能性がある。しかしログが事後に消滅する場合は(実質的には)気にしなくて大丈夫だろうと思う。
またセッションのために狂気カードなどの内容を入力することは、少なくとも非公開なら私的利用の範囲内、公開の場合は登録に用いたデータをCC-表示-継承ライセンスに従い公開した方が良いかも知れない。

リプレイやシナリオなどを公開する場合

財団保有のSCPを使うにせよ、オリジナルのSCPを作るにせよ、基本的にはCC-表示-継承ライセンスを適用すべき範囲。ただし、扱う内容によってクレジット表記に違いが生じる(後述)。

キャラのイラストなどを公開する場合

そのイラスト内に何を描いたかによるのだが、基本的に自キャラを描いただけならば単なるオリジナルなので何のクレジットも必要なくCCライセンスも不要。SCP財団それ自体には明確なビジュアルイメージが存在しないので、CC的に抵触するとしたら「SCPの具体的な説明に基づきイラスト化した場合」だろう。それを公開する場合はSCPからの派生物としてCC-表示-継承ライセンスに従った方がいいかも知れない。

CCのライセンス表記

SCPおよびインセインSCPのCCライセンスは「表示-継承」なので、「内容をどこから取ってきて、その作者は誰か」をはっきりさせる必要がある。
基本的な書き方は、おおむねインセインSCPの254〜255ページにあるクレジット表記を参考にすれば良い。ただし何を利用したかによって、書くべき内容に違いがある。

SCP自体はオリジナルの場合

SCP財団のシンボルマークを利用する場合は255ページ左上の「カバーおよびキャラクターシートの装飾」部分、それ以外は254ページ右下の「全体を通して言及される〜」以降を、また「インセインSCP」自体の権利者として冒険企画局、文章およびデータ部分については斎藤高吉、イラストはカバー:青木邦夫、リプレイ内イラスト:coco、コマなどのデフォルメイラスト:落合なごみの各氏をクレジットすべきだろう。
なおインセイン自体の基本システムについては冒険企画局/河嶋陶一郎氏となるが、こちらはCCでライセンスされていないことに注意。

財団保有のSCPを利用した場合

254〜255ページを参考に各SCPの作者をクレジットする必要がある。ただし記事には(直接的には)作者名が表記されてないので、以下の方法で調べることになる。
SCP-XXXシリーズについては:クレジット - SCP Foundation 非公式日本語訳wikiに、日本語のみのSCP-XXX-JPシリーズについてはSCP-JP著者一覧 - SCP財団の著者一覧.xlsxを参照するのが良いだろう。
これらに載っていない場合、基本的には各SCP記事ページ下部の「履歴/history」を見て、rev.の一番古いバージョンを投稿した人物のIDを調べるのが順当だろう。

インセインSCPのライセンスについて整理する

遊戯

インセインSCPは、(少なくとも商業出版されたTRPGとしては)恐らく初めての「クリエイティブ・コモンズのもとライセンスされた」ルールとなった。これはSCP自体が同ライセンスのもと「継承」を条件に公開されている、つまり「SCPを利用した二次創作物にも同じライセンス条件を適用すること(BY-SA)」というルールがある以上当然のことだが、この扱い慣れぬ条件が混乱を呼んでいるようだ。

大雑把に言えば、著作物には2種類ある:誰かが著作権を保有しているものと、保有していないものだ。
権利保有者のいる著作については、権利者以外は勝手に使うことができない。法的に認められた引用、または私的利用の範囲でなければ、都度権利者に許諾を求める必要がある。
対して著作権が消滅したもの、あるいは放棄を宣言したもの(パブリック・ドメイン)は誰でも自由に扱うことができる。作品の複製、改変、商業利用、なんでもOK。

クリエイティブ・コモンズ(以下CC)は、「著作権を放棄することなく、しかしパブリック・ドメインに近い扱いに変更する」仕組みだ。いくつかのライセンス条項を守ることを条件に、事前の許諾なく利用することを許可する。
SCPの場合、「表示-継承(BY-SA)」という条件が付いている:「出典を明らかにし権利が誰にあるのかを明記すること」+「これを利用して作られたものも同じライセンス条件で公開されること」だ。つまり、SCPの二次創作はすべてCC BY-SAとなり、出典さえ明示すれば複製でも改変でも商業利用でもいちいち許可を求めずにやって良い。ただしそうやって作ったものは(それが商業作品であっても)同様にCC BY-SAで公開せねばならないので、その作品自体も自由に複製したり改変したり商業利用したりすることを認めなければならないことになる。

で、これがどう混乱するか、というと……「インセインSCPを『利用』した作品、たとえばリプレイやシナリオなどはすべてCC BY-SAになるのでは」という懸念だ。
結論から言うと、それはちょっと違う。CCは「著作権法を上書きする」ものではなく、あくまで「通常の著作権の範囲外を拡張する」ための仕組みである。だから、たとえば正当な引用や私的利用の範囲内であればCCは関係ないし、また権利者が許可を出した範囲内であればCCを適用せずに利用できる:たとえばプレイのためにコピーしたシートに記入してキャラクターを作ったりルール・データを用いてシナリオやリプレイを書いたりしても(慣例的にTRPGの正当な利用として認められている範囲)、それがただちにCC BY-SAになるわけではない。それ以上のことをしようと思った時にだけ、CC BY-SAが発動することになる。
ただし、「インセインSCPに収録されているSCPデータ」はそれぞれにCC BY-SAで公開されたSCPの内容(を元にゲームデータとしてコンバートされた派生物)なので、これらを利用したものを公開する場合はその出典・権利者を明記しCC BY-SAを適用する(もしくは権利者に許諾を得てCC外で公開する)必要があるだろう。この点については、オリジナルのSCPならば問題にならない。

問題があるとすれば「SCP財団などの設定を使う」部分だ:これはSCPがSCPであるための前提条件のようなものなので、無視して独自設定に差し替えることはできない……というか、理論上不可能ではないのだがそれをやった時点でそもそもインセインSCPではないものになってしまうという問題があるため、悩ましい。
ただ、人名などの固有名詞や個々のSCPの設定内容はともかく、「財団」という一般名詞やその設定については正直あまりに漠然としたものしかなく、著作物といえるほどの要件を満たしていないのではないかという気もする(個人的な見解)。
ただし敵対組織などは具体的な名称があるので(判断の難しいところだが)これらを登場させると「著作物の利用」に該当するかも知れない。
いずれにせよ、CCライセンスの境界が曖昧になりそうな部分というのはインセインSCPではなくSCPそのものの部分であり、仮にシナリオやリプレイの公開によって著作権侵害が問題になるとしたら、その当事者は冒険企画局ではなくSCP財団関係者の方、ということになるだろう。

もっとも、CC BY-SAで公開することをそんなに問題視することはないのでは、という気もする:職業ライターの方でもなければ、そもそもシナリオやリプレイを有償公開するようなことはまずないだろうし、そうして無償公開されているシナリオによるリプレイやオリジナル改変を適用したバージョンなども珍しくはないはずで、「許可連絡が欲しいかどうか」ぐらいの違いではないだろうか。

念の為:SCPの利用によってCCライセンス適用を受けるのはあくまでインセインSCPのみで、インセイン自体はCCにはならないことに注意。