ボーダーブレイク:Bクラスの語る一般重火力砲術概論

強襲と狙撃は主に個人の戦技にかかってくる兵装だが、支援と重火力は戦技よりも戦術が重要な兵装だと思っている。
ここでは各武装の取り回しには触れず、重火力最大の特色である榴弾砲の扱い方を中心に取り上げる。


榴弾砲は攻撃の遅延を特徴とする。着弾まで最速のエアバスターT10でも4.2秒、最遅のギガノトで10秒の遅延。当然のことながら、敵の現在位置めがけて砲撃したところで当たる筈もない。砲兵は常に、未来の敵位置を予測せねばならない。
敵の移動ルートはマップ毎/兵装毎に違うので戦って覚えて頂く他ない(一般論としては後ほど解説を試みる)が、着弾位置のコントロールについてはいくつかの要素を加味して現在位置からの差違を計算する必要がある。

移動力

移動力は各人のアセンブルによってかなり左右されるため、一概にどれぐらいとは言い難い。理論値で言うならダッシュE=17.4m/s、ダッシュA+=27.0m/sということになっているので、重量超過による低下分を考慮に入れないならば概ねその間ということになる。
ただ、これはあくまでステッピングによる瞬間速度のみを考慮した値である。ダッシュを継続する場合は前進方向でその0.6倍になるし、連続ステップで進む場合の速度は理論値より少なくなる。
例えばエンフォーサー登場時のセットボーナス検証動画では、ダッシュD+(21m/s)のエンフォーサー1でブーストゲージ切れ直前までのステッピングにより約4秒64m、秒速約16mで移動している。これもまたステップの入力速度などにより多少の差があるかも知れないが、ここでは理論値の0.8倍を実質移動力として採用しよう。即ち、ダッシュE=14m/s〜ダッシュA+=21.6m/sまでである。
なおAC併用時はダッシュの1.6倍の速度とされている。倍率の基準値がステップ瞬間速度なのかダッシュ巡航速度なのかは明らかにされていなものの、0.6倍×1.6倍では0.96倍と遅くなってしまうから、恐らくは最高速度の1.6倍での継続移動なのだろう。これは先の動画に於けるACでの移動距離約96m/3sとも一致する。


そうすると、それら要素を考慮した上での移動力はACなしで秒間最大21.6m、ACありで43.2m/s、歩行9.45m/s。ダッシュは最大4秒で切れて2秒間のチャージが発生するので、10秒間での最速の移動力はAC3秒+ステップ4秒+歩行2秒+ダッシュ1秒=256.5mとなる。チャージなしの場合は191.7m。またEだと移動力は2/3ほどに落ちる。
マップ上でどこからどこまでが何mかは体感的に覚えるしかないが、目安で言うと渓谷のベース〜高台中央の距離が約300m(コングシュート311mで体得済みの方もいらっしゃることだろう)。これを基準にn秒後の敵予想位置を割り出す。
なお砲撃に於いては予想地点より遠目の位置を狙うべきである。ギガノト/T25のような装填数1発のもの以外は通常、指定位置に数発を撃ち込むため、初弾から全弾着弾までには数秒の幅がある。この間の移動も考慮せねばならない。

戦況

当然のことながら、敵が常に全速で一直線にベースを目指して移動するわけではない。実際にそのような移動をするのは一部の凸屋ぐらいのもので、他はむしろプラントの占拠、あるいは周囲を中心に形成された前線からあまり離れていない位置で交戦することが多い。効率の良い撃破には、そうしたポイントへの砲撃が効果的である。
プラント占拠中の敵機はプラント円内に留まるので、この中心付近を指定すれば良い。ただし通常榴弾の場合、爆風はプラント中央柱体を境に直線的に切り取られるため、爆風の影響範囲が些か狭くなる。空中で爆発するエアバスターはこの点かなり効率が良い。
自軍占領下プラントに敵影が確認できる場合、あるいは中立化直後の場合、敵はあまりプラント円内を離れたがらない傾向があるため、プラント中央指定が極めて効果的である。
ただし既に中立化したプラントへの砲撃では、着弾前に敵機が円内から退避している可能性が高いため、その後の予想進路を鑑みて砲撃位置をずらすべきである。少なくとも敵ベース近くのプラントであれば確保後に自軍ベースに近いプラント方面へ進軍する可能性が高い。逆に自軍ベース側プラント、とりわけベース前の場合、即時ベース侵入を試みるか、あるいはプラントを維持して友軍を呼び寄せようとする場合がある。敵機アイコンの動き方で侵入ルート封鎖とプラント砲撃のどちらが適切かを判断せねばならない。
また自軍プラントが敵に強襲されている場合、友軍はプラント中央よりベースに近い側に移転するため、敵は中央より敵ベース側で足を止め易い。プラント奥側を狙って砲撃すると、ここで交戦中の敵機が被弾し易くなる。
既にある程度の敵が撃破済みの状態で砲撃するなら、近隣の敵プラント奥側を狙う。再出撃した敵機はすぐに全力で自軍側へ向かってくるのではなく、砲撃や地雷散布、手榴弾投擲、あるいは高台からの遠距離射撃などを目的に付近に留まることが少なくない。その心理を利用し、再出撃位置を重点的に砲撃する。
またベース方向に敵が抜けた時も、HG胴などで防衛が間に合わない場合は敵の予想侵入地点や防壁外遠投地点へ砲撃しておくと案外引っ掛かる。

地形

砲撃地点の地形によっては意図した通りに敵機に被害が及ばぬ場合がある。当然ながら屋根のある場所にはダメージが通らないし、細い柱一本でも壁があるかのように直線的に爆風を遮断してしまう。小屋など遮蔽し易い構造物の多い地点では砲撃の有効性も低い。
こういった地点では敢えて開けた側へずらして砲撃するなどの工夫が必要になる。遮蔽の多い箇所は敵にとっても交戦の障害であり、隠れてやり過ごすのが目的でもない限りはむしろ開けた側に移動する事が多い。
また敵が隠れることの多い障害物があるのなら、その後ろ側に落ちるように地点を指定しておくのも手だ。撃破できぬまでも削り、炙り出して味方を助けることができる。

開幕砲撃

途中での戦況は展開により様々だが、開幕から30秒ほどの行動はマップごとにほぼ一定している。そのため開幕は行動を読んで一気に殲滅し易い絶好の機会である。
例えば600秒フルで出撃した機は590秒に着地、ベース前プラントは580秒頃には占拠完了する。570秒前後で第二プラントへ到達、560秒頃には占拠。タイミングはマップによって多少前後するが、同一マップ上での展開速度にはほとんど差が生じないので、誰かの出撃シーンを観察して記憶しておくと良い。自分の使用する榴弾砲の着弾速度から逆算すれば何秒から砲撃すれば良いかがわかるし、射程から「何秒以内にどこへ移動せねばならないか」がわかる。
採掘島など、一部マップでは距離が遠過ぎてアトラントでさえ開幕プラント占拠を砲撃できないことがある。その場合は序盤の移動に使われるカタパルトや、その着地点を砲撃することで撃破が狙える。

対狙撃

狙撃は敵に回すと厄介な存在だ。とりわけ砲撃のために静止することの多い重火力にとって、狙撃のヘッドショットは一撃死の危険を孕む。狙撃の居座りそうなポイント、あるいは大破時のキルカメラで突き止めた居場所に砲撃することで、撃破できぬまでも移動を強要することができる。狙撃に仕事をさせないのも重火力の重要な役割である。

撃破以外の使い道

実のところ、榴弾砲の役割は必ずしも撃破ではない。プラント占拠や狙撃を行なう敵を立ち退かせたり、コアへ突撃してくる敵の移動を阻害したり、敵の設置武器を撤去したり。移動することがなく榴弾で破壊し易い砲台の始末も意識しておくと良いだろう。