ボーダーブレイクの基本戦術はおおよそ「単身での敵ベース突入(コア凸)」「ベース付近で待機し凸屋を迎撃(ベース防衛)」「火力で戦線を押し込みプラント占拠(プラ踏み)」の3種類に分類でき、三竦みの構造を成す。これは串カツ亭の指摘する通りだ。
……と言ってしまうと3戦術が拮抗しているように感じられるかと思うが、実際には「コア凸」の一方的優位である。なんとなれば、3つの戦術の中で唯一コア凸だけが「自分一人でも為し得る」からだ。
プラントを奪うためには敵防衛を排除した上で一定時間そこに留まる必要がある。一人で数人を相手取るほどの実力差があればいざ知らず、力量が拮抗しているのであれば人数差で押すしかない。
ベース防衛は前線を掻い潜ってくる敵の行動ルートを読んで敵機を捉え、コアに到達するまでに排除する必要がある。一人でカヴァーできる範囲には限度があり、また首尾良く発見できたとしても1対1ではこちらが撃破される危険性が高まる。するとコア凸1に対し最低でも防衛2で当たらざるを得ない。
この2つの戦術はバランスが肝心である。凸を警戒するあまりベース防衛に頭数が割かれすぎると前線の維持が疎かになり、戦線を後退させざるを得ない。当然それは敵陣から自コアまでの距離を縮めることを意味し、防衛はますますシビアになる。かといって前線の維持と押し込みのために頭数を割くと防衛の手が足りなくなり、いつの間にかコアを削られることにもなりかねない。
対してコア凸は、単身で可能であり、それ故に味方の力量に左右されない。その上、自身の突入が成功しようがしまいが、その間は敵の数人を防衛のために前線から引き離すことが可能になり、なおかつ後方警戒のために前線へ戻りにくい心理に追い込むことができる。率直に言えばコア凸は他2つの戦術バランスを狂わせることができ、また成功すれば勝利が大きく近づくという強力な戦術であり、ボーダーブレイクというゲームはほとんどこの戦術によって勝敗が決まるといっても過言ではない。
そしてコア凸を可能にする、他機を引き離す機動力と高い瞬発火力を併せ持った強襲兵装、あるいは迷彩によって警戒線をやり過ごすことも可能な遊撃兵装がコア凸の主体となり、それを防ぐことのできる索敵能力を持った支援兵装、もしくは遊撃兵装がコア凸を警戒するわけだが、ではベースを防衛すべき兵装は何かといえば、結局は逃げる敵機に追い縋ることの可能な機動力を持った強襲兵装こそが適任ということになる。
そしてコア凸もベース防衛もプラ踏みもすべてこなせる強襲兵装はあらゆる局面で性能を発揮する万能の兵装であり、常設の索敵と回復による戦力の維持、トラップによる防衛に強みのある支援兵装がそれを支え、瞬発的な広範囲索敵と隠密能力を活かしたコア凸も可能な遊撃兵装が補佐し、重火力兵装は黙々とプラントを取ったり取られたりする。正味の話、重火力兵装にはこのゲーム内でほとんど役割がない。しかも名に反して重火力の火力は決して他兵装を上回っておらず、ただし重量のみが明らかに過大であるため、他兵装との兼任が難しい。ほんとうに、何のためにこの兵装が存在しているのか、正直よくわからない──まあその重火力にしか、私は乗れないのだけれども。