子供を連れてどこかに行こう、ということで久し振りに上野の国立科学博物館へ出掛ける。ここは名の通り、科学教育のための博物館で、恐竜の骨だの昔の装置だので溢れている。立場的には御台場の科学未来館と近いが、あちらは科学技術分野に特化しており、また歴史より先端技術を中心にしている点で異なる。科博は自然科学中心。
さて、科博の目玉はなんと言っても古生物学、つまり化石であろう。旧本館である日本館のフタバスズキリュウ全身骨格や新館である地球館地下のティラノサウルス全身骨格やトリケラトプス産状標本、バシロサウルスやアーケロン、マンモスなど大規模な化石が充実しており素晴らしい迫力。またカンブリア古生物化石なども多数展示されているのも見逃がせない。
以前は展示物と少々の説明、といった体だったのが、地球館の新設以後はテーマを明示し見せ方がきっちりデザインされた展示に切り替わっており、素晴らしく魅力溢れるものになった。特に1階の生物多様性/生存戦略や、生物分類系統樹の床面展開は絶妙。
仮にもデザインの界隈で仕事する者として、ここの仕事は大変興味深い。最近の博物館は「単に標本を羅列するだけ」ではない「解り易い展示解説の仕方」が意識されているのだな。
更に、日本館地下にはシアター360という全球形シアターが登場。観客は球体中央に架かる橋の上から映像を見る。側面及び下面の半分ほどがガラス張りになっており見通しが利き、全周映像の没入感は絶大。映像のクオリティとしてはいまいち重みもなくぎこちない感じが否めないし、上映時間も僅か10分弱と物足りないものの、それでもエンタテインメントとして充分な魅力がある。
地球館上階には子供のための体験学習エリアが。特に2階の物理科学体験エリアはかなりの遊び場である。偏光性の体験や光の三原色、梃子の原理と滑車、静電気や磁力、などなど。子供はここだけで1時間ぐらい遊び回る。
ついでながら日本館は昭和5年の落成で、この建物自体がひとつのコンテンツとして機能している。とりわけ1〜3階を貫く吹き抜けのホールは美しい。
新館建造に伴い入館料は以前より値上がりしているが、それでも大人600円、高校生以下無料。
レストランは如何にもそこらの観光施設付きレストランの体で大したものではないが、フロアの窓から見える地球館1階の眺めはなかなか。
外庭には白長須鯨の実物大模型や日本初の人工衛星を打ち上げたラムダロケットの実物(正確にはロケット本体は推進薬を詰めておくわけにも行かないので空洞だが、ランチャーは当時使用していた本物)が。
入口側には子供に人気の高いD51も置かれている。
科学啓蒙のための施設ではあるが、科学の素養なしにもそこそこ楽しめる場所だと思う。古生物類のみならず巨大建築に興味ある向きは是非、カメラ持参で入館されたい。お子様への科学教育、というか遊び場にもどうぞ。
なお開館時間は9時〜17時(場合により延長)であるが、下手すると1日でも回り切れない(館内ガイドツアーは4時間コース)可能性があるので注意。
毎週金曜日は20時までやっているので会社帰りにちょっと見る、というのもアリ。日没〜閉館までは屋上での天体観望もやっているようで、入館料も半額になる。
余談ながら地下ミュージアムショップもなかなか充実していて、館内収蔵物フィギュアだの鉱物/化石の実物だの実験器具ストラップだの甲虫ポスターだのと科学系雑貨類が無数に売られている。ウチの商品も置いてくれんかな(笑)
ところで科学博物館のサイトは非常によくデザインされており好感が持てる……のだが、収蔵品ページに移動すると裏側のシステムが巧く動作しておらずエラーしか帰って来ないのはどうにかした方がいい。