仕事はどこまで自動化可能か

技術は効率を求める。効率とは詰まるところ「人手をどれだけ省けるか」であり、行き着くところは完全自動化ということになる。
コンピュータ技術の発達により、電子的な作業は極めて高度に自動化が進んできた。また機械技術についても平行して発展、工業分野についてはかなり自動化されている。先端の工場になると1平方kmあたり数人しか働いていないような箇所すらある状況だ。


現在のところ、それ以外の分野ではまだまだ自動化は行き渡っていない。が、これは主にコスト上の問題や研究の不足から来るもので、決して自動化が不可能というわけでもなさそうだ。現行技術のみで賄えるかどうかは不明としても、現在もしくは近未来の技術水準で充分に可能な範囲というのはかなり広そうに思える。
以下に業種ごとの自動化見込みを書いてみる(随時追記)。

農業

栽培技術に関しては現在でも既にかなり機械化が進んでいる。工場内での水耕栽培

  1. 事実上無菌での栽培も可能なので農薬要らず
  2. 成分調整も容易なので肥料の使い過ぎなどもない
  3. 天候不順もなく、日照コントロールで促成も可能
  4. 垂直方向に作付可能で面積効率も良い

など様々な利点がある。自動化されていないとすれば恐らくは収穫ぐらいではないかと思うが、これも画像認識技術などの発達により果実部分を見分けることが可能になっているため、容易に解決できる問題と思われる。

畜産

自動化の容易な農業に対し畜産は少々ややこしい。動物を相手にする以上、動向の完全な予測は不可能だからだ。一時期のブロイラーのように暗くして密度を高めることでほとんど運動させない飼育は不可能ではないが、病気への対策などに難があるし、風味も落ちる。体内環境は多数の細菌類との共生により成立しているため、無闇に無菌化することもできないし、排泄物の問題もある。いずれも自動化の妨げとなる要因である。
現在これに関してできることがあるとすれば、広大な閉鎖環境を用意して全体を機械管理するか、いっそ組織培養で賄うことぐらいだろうか。いずれにせよコスト面その他、まだまだ解決せねばならない課題は多い。

食品加工販売

この分野は元々ほとんど自動化されている。製造業だけでなく外食産業などでも徐々に自動化は進んでおり、いずれ従業員は完成品を運搬するだけか、それすら自動化されることになりそうだ。

運輸

自動車の運転自体を自動化する発想は古くからあり、近年のコンピュータ化に伴いその完成度はかなり高まっている。移動に際し制約の少ない航空機や船舶は既にほぼ自動化できており、離陸から着陸まで一切人手を要さずに実行可能である。鉄道は完全自動運転が完成している。
従って運輸網を自動化する日はそう遠くなさそうに思われる。ただ、個人宅までの配送となると道に沿った移動だけでなく門/ドアの開閉や階段移動などの問題、また経路幅に応じ可能な限りコンパクト、かつ荷物サイズに応じ可能な限り大きな荷物まで柔軟に対応できる搬送装置が必要になるのが少々難しい。

採掘

元々自動化への要望が強い分野である。大掛かりな露天鉱床などでは鉱物を含む地層全体を砕き、鉱物の性質を利用して機械的に分別するなどの処理が採られている。それができない細長い鉱床などでは未だ人足による手掘りも多いが、それはコストの問題。地層スキャンによる掘削方向決定とシールドマシンなどの応用による自動採掘は事故リスクを下げると共に採掘効率も向上させられそうに思うが、どうか。

服飾

製造に関してはかなり自動化可能である。製糸、織布、裁断、縫製と一通りは機械制御できているので設計されたものの製造についてはほとんど問題ない。