Blogのコメント欄で議論を続けているとしばしば周囲から発せられるツッコミ、「自分のBlogに書けば?」この裏には「ウザい長文止めろ」的な苛立ちもあるのだろうが、本質的には匿名で意見することの非対称な不毛さへの警鐘と、より良い手段の提示を目的としたものと考えたい。
Blogの筆者は、実名を晒しはしなくとも「特定された個人」である。少なくともそのアカウントを利用している限りに於いて、特定個人あるいはその個人の責に於いて別の人物に書かせた*1ものと言うことができる。実名に近い、文責ある立場である。
特定個人の発言は、1エントリ/1コメントで完結するものではなく、今までの発言をすべてひっくるめて1個人の見解と解釈できる*2。
対して固定されたアカウントであることを示すものを持たない匿名の所謂「捨てハン」の場合、発言は常に1回の中で完結せねばならない。複数投稿にまたがって発言した場合、それらが同一人物による発言であることを立証する方法がないためだ。「既に説明した」ということができないため、発言は常に長く回り諄くなり、言いたいことを全部言うのは難しい。
エントリの筆者(あるいは第三者がそれにコメントする場合も、毎回のように「はじめての人」として対応されることになりかねず、適切に意見を届けるのが困難になる。
また同一性を証明する手段がないので、例えば第三者(もしくはエントリの筆者自身がやる場合も考えられる)が自分のハンドル名を騙って書き込んだとしても、どちらが本物か第三者には判らないという問題もある。
こうした理由から、理路整然と論陣を張るつもりがあるならばコメント欄で行なうのではなく、その外に別途自分の主張を記述する場所を設ける方が望ましいということになる。自分のBlogからの言及であれば、たとえ言及先が論争後に都合の悪い記述を修正または削除するようなことがあっても影響を受け難いという利点もある。内容を引用しておけば、後々その記述が論点になったとき有利だ。
一方で自分の発言に責任を持たねばならなくなるので、不用意な発言をすれば手痛い批判を受ける可能性もあるのだが、その程度は自分に自信があれば恐るに足らぬリスクだ。
以上より、議論の際にはコメントへの突撃ではなく(議論のためだけのものでも構わないので)自分だけが編集可能な発言の場を用意することをお薦めする。できれば、相互の言及通知とコメント改竄への備えから、ブログサーヴィスのアカウント取得が望ましい。