幼稚園の不均衡

この少子化の時代に、この街では通園希望人数に対し受け入れ可能人数が少な過ぎるらしい。酷いところでは願書受け取りのために前日から夜を徹して並ぶと聞く。
一方で、前にいた町は幼稚園がまったく定員に満たず、各所の公園などへ行脚して勧誘が行なわれているとか。
どうしてこうもバランスが悪いのか。


ある意味で、過疎は仕方ない部分がある。子供の多かった時代に増え過ぎてしまった幼稚園が、今や定員の半分にも満たないとしてもそう不思議はないし、それを解消する方法は(一つの園ではともかく、自治体全体としては)ほとんどない。精々がところ、公立施設の閉鎖ぐらいだろう(それは既に実行されているようで、かの町には公立の幼稚園がひとつもない)。
対して過密は、なんとか対策のしようがあったのではないのだろうか。
次年度に入園可能な年齢に達する児童の人数は当然ながら行政の把握するところである。対して営業を認可している保育施設の定員についても認識している筈で、それらを付き合わせればどの程度不足があるのかは簡単に把握できる。
小中学校と違って義務ではないから全員入園するわけではないし、また学区もないからある程度園によって集まりに差は出るだろうが、それは居住地域や前年の傾向を考慮に入れれば予測可能な範囲だ。とすれば、事前に対策を取るのはそう難しいことではないように思われる。
過密エリアに仮設の保育施設を設ける、遠隔地への通園に行政が無料送迎バスを運行するなどすれば、受け入れ人数の調整は可能である。もし絶対数が足りないのだとすれば、近隣自治体の過疎施設への越境通園を検討しても良い。足りない自治体と余る自治体、双方にとって悪い話ではない筈だ。


人口は自治体の財産である。人数はそのまま税収に直結すると言っても過言ではないし、そもそも自治体の構成要素は住人そものもだ。そして子供は将来の人口を担う貴重なリソースである。もう少し、そのリソースが集まり易くなるよう配慮があるべきではないかと思う。


児童過疎過疎自治体の財源として越境通園用に近隣自治体との境界ぎりぎりの場所に保育施設を建設するというのはどうか。受け入れ人数に応じて近隣自治体から補助金を受け取るビジネス。