ZORKを紹介します

ZORKは古くから有名なアドヴェンチャーゲームで、未だにその先進性で並ぶ物が無いと言っても過言ではないほどの傑作です。しかしながら、あまり日本での知名度は高くありません。
日本でも古くは初期のパソコン版で、あるいはセガサターン/プレイステーション版で日本語ローカライズされた物が発売されていましたが、残念ながら現在では入手困難です。
ですが、幸いな事にオンラインでプレイ可能なものが存在しています(ただし英語版のみですが)。


ZORKの特徴は「選択肢の存在しないアドヴェンチャーゲーム」であるということ。グラフィックも無く、状況を説明する文章を読んで行動をキーボードからタイプします。
たとえば、先ほどのページから一番上の「Dungeon」を開いてみましょう。古いコンソールを模した黒地に緑字の画面で文章が表示されます。

Welcome to ZORK.(ゾークへようこそ。)
Release 12 / Serial number 990623 / Inform v6.14 Library 6/7
West of House(家の西)
This is an open field west of a white house, with a boarded front door.(ここは白い家の西側の空き地です。正面のドアには板が打ち付けられています。)
There is a small mailbox here.(ここには小さな郵便受けがあります。)
A rubber mat saying 'Welcome to Zork!' lies by the door.(ドアの前には「ゾークへようこそ」と書かれたゴム製のマットが敷いてあります。)

ここで示される情報はたったこれだけ。選択肢は一切表示されないので、プレイヤーは自分で状況を理解しすべきことを考えて、下の入力欄に行動を宣言します。
ためしに「open mailbox(郵便受けを開ける)」と入力してみましょう。すると、

>open mailbox(郵便受けを開ける)
You open the mailbox, revealing a small leaflet.(あなたが郵便受けを開けると、小さいリーフレットが見えました。)

続いて「get leaflet(リーフレットを取る)」

Taken.(取りました。)

「read leaflet(リーフレットを読む)」と……まあ、このようにしてゲームが進行するわけです。
全編英語とはいえ、説明文はなるべく誤解のないよう平易に書かれていますから、単語さえ分かれば結構理解できます。入力の方は基本的に「動詞+目的語」だけで成立するので、これもそう難しくないでしょう。コピー&ペーストだって可能なわけで、必要なら翻訳サイトで意味を確認する事もできます。


ZORKの凄い所はなんと言っても、行動入力に対する反応です。ゲーム的には無意味な行動であっても無下に「何も起こりません」や「理解できません」のような素っ気ない反応は返さず、極力対話になるような返答をしてきます。「水を飲む」「ちょうど喉が渇いてまして」とか。


謎解きはかなり難易度高めです。なにしろ選択肢総当たりというわけにも行かないので、本当に考えて解くしかない。このあたり、ちょっとMYSTなんかに似てます。ヴィジュアルがまったく表示されないという違いはありますが、根底にあるものは同じ。


ひとつだけ忠告。とある場所から地下に降りる事ができます(というか地下世界が冒険の中心です)が、照明器具を持っていないと闇の中に放り出される事になります。闇の中で行動しようとすると、闇に潜んでいた怪物が忍び寄って来て殺されてしまうので注意。
まあ死んでも冒険は続くんですが。

ゾーク・ワン

ゾーク・ワン