TV番組をWebで公開する件

ハッチポッチステーションを見ていて思ったこと。
この番組、生身で出演しているのはグッチ祐三のみ、声の出演もレギュラーメンバーはわずか4〜5人というコンパクトさ。これほど関係者の少ない(裏方はともかく)番組制作が可能なのは、これが子供向け教育番組だからか、そう言えば「できるかな」なんて2人だけだ。


たしかWebで映像を公開しない理由のひとつに、「Webでの放映を前提として契約していなかったから」というのがあったように思うのだが、それは単に再契約すれば済む話なのではないかと。
出演者が不特定多数な番組、たとえばヴァラエティやニュースなどでは困難かも知れないが、アニメや演劇のようなキャスト固定作品の場合は数人〜数十人への確認のみで完了するわけで、1番組単位ではやろうと思ってできない話ではない。
それでもやっていないのは、単にその理由が建前であって本音は別のところにあるからだろうと思う。多分、独占により得られる利益を手放したくない、といった程度の(獲らぬ狸のなんとやら、だ)。
それならそれで放映終了した番組を次々にDVD化するとか、会員制の有料サーヴィスとしてストリーミングするとか、いくらでも手があろうものを結局死蔵するだけというのは、海賊版より酷い著作物への冒涜に思えるのだが。


とこき下ろすだけでは不毛なので、ちょっとした提案なども。
Youtubeをはじめとする動画共有サーヴィスでは、TV番組その他の「権利者の了承を得ていないコンテンツ」がかなりの量流通している。
権利者側にしても、作品が広まること自体は基本的にプラスである筈だ。でもそれを、「著作権侵害の黙認」という形で行なうのは色々と問題がある。たとえば裁判沙汰になったときに、「これまでも毅然とした態度を取っていた」と主張するのと「今までは黙認していた」と主張するのでは随分と展開が違う。そうした打算もあって「全面不許可」を打ち出している部分もあろうかと思う。
けれどそれではいたちごっこが続くだけだ。権利者よりもアップロードするユーザの方が遥かに多いし、たとえ裁判で差し止めるにせよ国外まではなかなか手出しもできない。全体に、権利者側が不利と言える。


そもそも利用側は著作権を侵害したくてそうしているのではなく、単に興味を共有したいだけだ。だから既にそれを満たすコンテンツさえあれば、徒に劣化した画像をアップロードしようとはしない。
それでは、最初から権利者自身がコンテンツをアップロードしてはどうか。たとえば「お墨付き」コンテンツを特例枠として用意(これは動画共有サーヴィス側が)、そこにコピーライトの入った由緒正しいコンテンツをアップロードする。無理に分割されず、ディティールが飛ぶほどの圧縮もかからない、クリアな公式コンテンツだ。なんなら前後に宣伝ぐらい入れても良いかも知れない。
そんなものがあれば、ユーザとしてもわざわざ法を侵してまで動画アップロードしようとすることは少なくなるだろう。やるとしてもパロディ系作品ぐらいになってくる。その上で、必要な部分には厳しく対処すればいい。
ついでに著作権侵害画像の通報ボタンでも実装してもらえば、あとは問題のありそうな画像はユーザから自主的に報告が来て対処しやすくなり、侵害件数は更に減るだろう。
要は飴と鞭の使い分けだ。