深巳琳子「沈夫人の料理人」(ISBN:4091854931)

実に2年越し、待望の第一巻である。
腕は良いが小心な料理人が食べることが何より好きな夫人に雇われ無理難題を押し付けられる話。実に旨そうな料理の描写もさることながら、この退屈した捻くれ者の夫人が純真で気の弱い料理人をいたぶる様がなんとも笑いを誘う。いやまあ、彼はいつ夫人の機嫌を損ねて指を落とされはしないかと必死で、笑いごとではないのだが。