区間急行

3/18よりダイヤが改正された東武鉄道伊勢崎線に、新たに「区間急行」なる区分が。急行?ということは準急より停車駅の少ない区分?しかし次の準急停車駅には停まるようで、どの区間を急行運行するのか良く解らない。普通「区間」車両は都市部を飛び飛びに停車し郊外を各駅運行するものだが、この辺りを準急運行するということは一体どこを飛ばして移動するのだろう。
何故か東武鉄道のサイトにはどこにも新区分の停車駅について説明がないので、ネットの海から検索してみる。
一番解り易かったのがhttp://train.g.hatena.ne.jp/kagero-yoko/20060124/1138096699。要するにこれまで概ね3駅程度ごとの停車スタイルを「準急」、一部区間のみの準急運行をして「区間準急」と呼称していたものを、新たに「急行」区分を設け*1半蔵門線直通の車両にこれを割り当てたらしい。
更に話をややこしくするのが、「区間」の意味変更。従来のパターンであれば「区間」は新越谷以北の各駅停車運行に対して用いられるので、半蔵門線直通車両のうち新越谷以北各駅停車車両は「区間急行」となるのが順当だが、新ダイヤではこれを「準急」と称する。要するに半蔵門線直通の「急行」に対して同一ルートを通り速度で劣るものが「準急」となったわけだ。名実共に浅草方面ではなく半蔵門線直通渋谷方面こそが主力ルートとなったことの現れだろうが、その結果として従来区分と名称の上で大きなずれが生じてしまった。
そして「区間急行」「区間準急」はいずれも浅草方面車両に割り当てられ、北千住以南を各駅停車するかどうかで切り分けられる。


何故こんな名称にしたのだろう。どう見ても従来のように行き先+各駅区間のセットで「急行/区間急行」&「準急/区間準急」に分けた方が解り易かったと思うのだが。
急行と準急をセットにしたい心境は解る。そうであれば、例えば通勤急行と通勤準急とか、これまでの名称を引き継ぐ形で制定した方が混乱もなかったと思うのだが。行き先に応じて「区間」かそうでないかが分かれるのは明らかに変だ。


これに関して取り立ててアナウンスを受けた覚えがないのだが、乗客に混乱はなかったのだろうか。

*1:正確にはこれまで急行料金を取る列車として存在した急行区分を普通乗車券のみの区分に格下げし、従来の急行は特急に格上げされた

前線任務比較論

フロントミッション5thを終えて、ネット上での評判などを見るにつれ過去の作品をやっておきたくなったので、4thを入手してみる。
ざっとプレイしてみた感じでは、4thと5thは非常に良くにたシステムであるにも関わらずまったくの別物である。
如何に類似点と相違点を挙げる。

AP制とリンクシステム

AP制は2ndで既に導入されていたものらしく、それ自体大して目新しいものではない。しかし3rdまでのAPが移動と攻撃のマネジメント、もしくは反撃回数の調整程度の意味であったのに対し、4th以降はリンクシステムの導入によって能動的な複数回攻撃の意味合いを持つようになった。この違いは大きい。
しかし4thのAPバランスは(恐らく)旧来のものを受け継いでいると考えられる。
これまでは複数回の攻撃と言っても反撃が発生するのみであり、1ターンに消費する攻撃APは多くても3回分程度であったので、それを考慮してかAP上限は少なめに、AP消費量は多めに設定されていた。
例えば4thの主人公(アサルト)はAP12程度、攻撃のAPはショットガンで3、マシンガンで4(通常は2回攻撃するので6〜8)であり、自分の攻撃終了時に残るAPは1射〜2射分、つまり反撃にせよリンクにせよ1回の追加行動で終了する程度の量である。集中砲火と言っても高が知れているし、だからこそAPを1しか消費しない格闘の重要性は非常に高かった。
対して5thではリンクによる複数回行動が戦術の基本になっている。1回の行動で消費するAP量が減少し(射撃回数に関わらず1回行動でAP消費)、1ターン中に全力行動+2〜3回の射撃が珍しくない。
全体として5thはダメージコントロールを、4thはリソースマネジメントを主体としたシステムになっており、どちらが良いというものではないが、5thの方がややランダム要素が強く爽快感とスピード感があり、4thの方が堅実さと計算高さを要求される作りになっているようだ。


この違いはリンクシステムにも現れている。4thのリンクシステムは、スキル購入の際に入手したリンクポイントを消費して予め攻撃時/反撃時それぞれにリンクするキャラクターを設定しておくようになっており、事前に考えながら設定する必要があるが、5thのリンクは「リンクスキル」を装備しておくと対応武器装備時に自動的にリンクするという簡単なものだ。4thの少ないAPを有効に活かすためにはリンクの貼り方にも配慮する必要があるが、5thでは有り余るAPによってその辺りに気を配る理由がない。

武器のバランス変化

格闘の重要性が低下したことはAPの項で述べた通りだが、それ以外にも幾つか武器のバランスに変化が生じている。特に著しいのが肩武装で、5thではリンクできないことと合わせ重要性が極めて低下した。
4thではミサイルの弾数は8発程度。補給無しにも序盤を戦うに充分な量である。しかし5thでは3発程度に低下、両肩分を使っても尚補給が必須な量となってしまった。
またグレネードやロケットの威力も相対的に低下。特にロケットは、4thでは絶望的なほどの射程距離と威力を誇り、絶対安全圏から大火力を降らせる畏怖すべき敵として君臨したが、5thではグレネードと大して射程が変わらず、命中がランダムな分使い難い兵器となってしまった。
4thでは威力と回避困難さで恐るべき存在であったバズーカは、その特性こそ変わらないものの最低射程が設定されたことで対処が楽になった。但し爆風により複数機攻撃が可能になったことで、重要性は変わっていない。

火力と回避、及び回復のバランス

4th→5thで一番大きく変わったものの一つが、回復の扱いではないだろうか。4thでのリペアパックは指定した1パーツの回復しか行なえない。従って複数パーツに大ダメージを受けると、保全のためにどうしても複数回の回復を要する。リンクシステムにより火力の集中するシステムでありながら回復能力が決して高くないということは、必然的に消耗戦を強いられることを意味する。
実際、終盤のシナリオでは5機中3機がリペアパックを背負っているにも関わらず脱落者が出た。
対して5thでは、リペアパックは全パーツ一括回復機能を有する。これによりパーツ損壊さえなければ一気にダメージを回復することが可能になり、生存性は飛躍的に向上した。それでも、より回数の多いリンク攻撃の集中により1ターン撃破も起こりうる。火力、回復共に派手になっていると言えよう。
ダメージバランスを考慮してか、回避率もかなり変化した。
4thでは出力・耐久力共に高いが回避率が-30〜50%と鈍重な胴部や、逆に40%を超える回避率を誇る脚部などが存在し、回避率の変化が著しい。やろうと思えばパイロットの能力と合わせ50%以上の回避力を付加することも可能であり、集中攻撃を受けてもかなりの部分を避けて無傷に留めることができる。但し脚部を破壊されると回避不能になるため、脚部パーツの重要性は非常に高い。
しかし5thでは、回避率が総じて低いために脚部の重要性はポジション確保以上の意味を持たなくなった。とは言えこの点に於いては、誤射の存在により重要度が増してはいるのだが。
総じて4thでは回避が、5thでは回復が重視されていると言える。

システムの進化と退化

これまでのシリーズでは回を追うごとに新システムが追加され、より複雑さを増す傾向があったが、5thでは初めて、部分的なシステムの単純化が図られている。例えば天候や時間による射界の変化/命中率の変化がなくなり、地形による移動力修正も単純化された。また、リンクシステムやスキルも単純化されたほか、バックパックリンクなどの要素が無くなっている。
では単純にシステムが劣化したかというと、そうでもない。
例えば誤射。4thでは射線上に他の機がいる場合、それによって射線が制限され命中率の低下や攻撃不能に陥ることはあったが、攻撃そのものは攻撃側と反撃側にしか影響しなかった。それに対し5thでは誤射の概念が導入され、射線上にいる他の機に攻撃が命中するようになっている。これにより直接攻撃目標にしないことで反撃をさせないようにしたり、敵越しに攻撃して反撃を誘うことで味方を撃たせたりといった新たな戦術が形成されている。惜しむらくは誤射が同一小隊内でしか成立しないことで、複数の部隊が入り乱れる状況などでは2機に攻撃したつもりが一方は無視されるなどの誤算が生じる場合がある。これについては6th以降に期待したい。
新たに追加された機体ランクと改造の要素については、パイロットの成長要素が単純化された分を補う要素として登場したのだと思われるが、個人的にはリアリティを著しく損なう*1結果になっておりあまり歓迎しない。

AIの行動パターンと難易度

5thでは地形と天候による影響がなくなったことで、マップは単純化されてしまった。結果的に少々単調な感が否めない。
しかし最も大きな影響はAIの行動パターンだろう。
4thのリンクシステムはそれほど火力が集中しなかったので、敵機は次々に接近して来て休む暇を与えてくれなかった。これは数的優位にある場合の戦術として適切と言える。
しかし5thでそれをやってしまうと、数に劣るプレイヤー側は決して勝てない。そこで、基本的に1小隊づつ行動する思考ルーチンにより各個撃破を容易にしている。しかし本来、そうした制限はマップの構成などによって行なわれるべきで、思考をわざと愚鈍にすることで表現されるべきではない。この点は改善を要する。

インターフェイスの変化

1st以来ずっと、ゴシック体の英字によるインターフェイスが導入されて来た。これが漢字の使用制限が厳しいスーパーファミコンに合わせたものだったのか雰囲気のための演出だったのか解らないが、このインターフェイスが作品の雰囲気を担っていたのは確かである。一方で英文主体になることでの視認性の悪さや解り難さがあったことも否めない。
5thではそれらのデザインを一新、太字の明朝を主体とした日本語でのインターフェイスに切り替えた。また会話文の表示なども従来のウィンドウ表示から映画字幕を意識した下部黒帯に白字の手書き風文字での表示と、大きく雰囲気を変えている。
見栄えの問題だけではなく、メニュー構成も一変。例えばヴァンツァーセットアップ時、従来は「Shop」で新パーツ購入/売却を、手持ちのパーツとの交換は「Setup」で行なっていたが、5thではこれが一つのメニュー内で行なえる。パーツ性能の比較は現在装備中のものとしかできないので、二つのメニューを行き来しなくて済むようになったのは非常に合理的と言える。

*1:同一機体であってもランク差により全く性能が異なるのは納得いかない

感情論の否定について

私は理想論として「感情ではなく理性に基づいて判断が下されるべきだ」と考えているので、基本的に感情面については一切考慮していない。無論、感情に基づく反応というものがあると言うことを否定はしないし、感情的であることが「悪」だとは言わない。が、私は自らの立場を理論面に置くし、またその立場から時に感情論を「理論的でない」という理由で批判することがある。


感情論は悪ではないが、理論的に見て「望ましくない」。何故なら、感情は正確に「共有」されないからだ。特に、善悪のような判断を行なう場合、感情に基づき判断するのは非常に危険なことだ。
ある事柄について「悪い」と断じる場合、その理由が感情に根ざしたものであるならば、その感情を共有できない他人は同じく自身の感情を理由にその言説を否定することができる。感情は根本的なレベルで共有できない*1ので、「自分はこう感じる」以上の言とはなり得ず、よって全ての感情論は等価であって絶対に決着しない(決着するとすれば、それは「多数決」という感情ではないものの一種に基づいて行なわれる時だろう)。
繰り返すが、感情論に基づく表明自体が「悪い」わけではない。しかし、他人に共有可能な根拠がない以上、それに基づいて行動を決定することを正当化できない。善悪の判断とそれに基づく行動は、特に判断を誤った場合の影響が大きい分野であるから、感情に基づく判断はこれを推奨できないことになる。


要約すると、「感情論は構わないが「それが感情論であること」を自覚しろ」ということ。いや感情から来る言説であっても理論的な補強がきちんとできていれば何も問題はないのだけれど、どうしても感情論から出発するとその辺破綻し易い。

*1:漠然と共感することは可能であるが、全ての感情は発生原因が個人に帰属するものなので完全な共有はあり得ない。このことの理論面に言及すると長くなりそうなので、必要ならば別項にて