カルドセプトと言えば15年も前から高い評価を受けコアな固定ファンをガッチリ掴んでいる名作だが、同時にあまり客層を増やすことのないゲームでもあった。
しかし今回、3DS版を任天堂が全面的にバックアップし注目タイトルとして大プッシュしたことで、未経験ユーザが多数生まれているようだ。
- 出版社/メーカー: 任天堂
- 発売日: 2012/06/28
- メディア: Video Game
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3DS版ではそうした未経験者のために非常に丁寧なチュートリアルとサポート機能を充実させてきたので、「とりあえずやってみる」のはすごく簡単になった。とはいえゲームの性質上、他のゲームにはない専門用語や憶えなければならない要素が多く、複雑という印象は免れない。
そこで、経験者の立場から「最初はここだけ押さえておけばいいよ」という方向で、なるべく楽に遊ぶためのアドヴァイスをしてみようかと思う。
註:この文章はカルドセプトの魅力やゲームルールを伝えるのが目的ではなく、「チュートリアルに従ってプレイしてみて、遊び方はわかったけど勝ち方がよくわからない」人に「なんとなく勝ち方がわかったかも」と思ってもらうためのものだ。まだ遊んでいない人は、先に最初のシナリオをクリアしてから読んだ方がいい。
最初に:ゲーム理解のために
多分、始めたばかりのセプターが認識しているのは、だいたいこんな感じじゃないかと思う。
「総魔力を稼ぐゲームだというのは解った。総魔力はクリーチャを置いたり土地を奪ったりすると増える。魔力は周回や通行料で増える。あと土地レベル上げておくと防御力高くなって通行料もたくさん貰える」
間違ってはいないんだけど、足りない。このゲームは「カードで戦って勝つゲーム」ではなくて「早く総魔力を目標値以上にして城に戻る」ゲームだ。だから、「何をすると魔力が増えるか」を知らないと効率良く勝てない。
総魔力の増やし方
総魔力は「手持ち魔力に領地や護符の価値を足したもの」のこと。つまり、たくさん魔力を得れば増えるし、領地や護符の価値が高まれば増える。
手持ち魔力は、主に(1)周回ボーナスや砦通過ボーナス(2)他人からの通行料 によって増える。つまり、たくさん土地を確保して素早く周回することで増やし易い。一周した時に貰える金額は決まっているが、それに自分の領地1につき40が加算されるので、領地が多ければ多いほど得だ。
対して、総魔力の方はちょっと難しい。
土地を増やすと総魔力は増えるんだけど、実はそれで増える量は微々たるものだ。
土地の価格は(マップによって違いがあるけど、通常)100。つまり、土地を1増やしても総魔力は100しか増えない。しかもクリーチャーを召喚するために魔力を減らしているから、実際にはもっと少ない。なるべく安いクリーチャーで土地を支配することで増やせるけど、逆にクリーチャーのコストが土地の価値を上回る場合は総魔力が下がるようなことだってある。特に戦って奪う場合、性能の高いクリーチャーほどコストも高いし、アイテムを合わせると一気にコストが跳ね上がるので注意が必要だ。
土地の価値は増やせる。
領地に投資すると、土地の価値が上がる。その分だけ通行料も防御力も上がって、良いことづくめに思える。
でも実は、ここで上がる価値と投資した額はイコールだ。つまり手持ち魔力を減らして土地の価値に変えているだけで、合計は増えてない。
じゃあどうやって総魔力を増やすかというと、「土地の連鎖を作る」必要がある。
2連鎖、つまり同じエリア内に同じ色の領地を2箇所確保すると、それぞれの価値は1.5倍になる。4個なら2倍。最大で5連鎖2.2倍(これ以上はどれだけ増やしても増加量に変化ない)。
土地のレベルは上げれば上げるほど投資額が増えるけど、それはつまり連鎖時の価値増加量もそれだけ増えることを意味する。1Lv→2Lvに費やした魔力が200なら、2連領にすると×1.5=300に価値が増えて、総魔力は+100になる(実際にはもう一つの土地も1.5倍になるから、総魔力はもっと増える)。これが5Lv=+1500だと、増加量は+750だ。
連鎖させればさせるほど、連鎖した土地全部の価値が一気に増えるから、総魔力の増加量は桁違いに跳ね上がる。
つまり、わざわざ高いコストを払って侵略したり土地の色を変化させることにも、自分の連鎖を増やしたり相手の連鎖を減らせるなら充分に意義が出てくる。
土地魔力表
土地Lv | 単領 | 差分 | 2連鎖 | 差分 | 3連鎖 | 差分 | 4連鎖 | 差分 | 5連鎖 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 100 | 50 | 150 | 30 | 180 | 20 | 200 | 20 | 220 |
2 | 200 | 100 | 300 | 60 | 360 | 40 | 400 | 40 | 440 |
3 | 400 | 200 | 600 | 120 | 720 | 80 | 800 | 80 | 880 |
4 | 800 | 400 | 1,200 | 240 | 1,440 | 160 | 1,600 | 160 | 1,760 |
5 | 1,600 | 800 | 2,400 | 480 | 2,880 | 320 | 3,200 | 320 | 3,520 |
総魔力には、他にも護符なんかも影響するのだけど、それはもうちょっと慣れてからでもいいと思う。基本的には土地の連鎖さえ押さえておけば、護符はなくても勝てる。
土地を売るなら
【注意!】3DS版で売却価格が8割に減少したことを考慮に入れていなかったため、この項の内容は以前と違ったものになっている。
高い通行料を奪われるなどして、手持ち魔力がマイナスになってしまった場合、領地を売らされる。
この時、高額領地ほど守って通行料奪取の拠点として残したくなるので、安い土地から売りたくなる。ところが、売却によって連鎖数が減少してしまうから、実は残った領地の価値も減少し、総魔力が減ることになる。そうすると、連鎖で価値が高まっているうちに高い方を売って手元に魔力を残した方が有利にも思える。
単純な話、売却による総魔力損失を最小にしようと思ったら安い領地を売った方がいいが、連鎖による総魔力損失を最小にするためには高い方を売った方がいい。
じゃあ実際にどっちを売るのが得なんだろうか、計算してみた。
以下の表は、土地を売却した時の損失額を表したものだ。まあ単に連鎖×Lvによる土地価格の2割、という単純な表だけれど。
土地Lv | 単領 | 売り損 | 2連鎖 | 売り損 | 3連鎖 | 売り損 | 4連鎖 | 売り損 | 5連鎖 | 売り損 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 80 | -20 | 120 | -30 | 144 | -36 | 160 | -40 | 176 | -44 |
2 | 160 | -40 | 240 | -60 | 288 | -72 | 320 | -80 | 352 | -88 |
3 | 320 | -80 | 480 | -120 | 576 | -144 | 640 | -160 | 704 | -176 |
4 | 640 | -160 | 960 | -240 | 1,152 | -288 | 1,280 | -320 | 1,408 | -352 |
5 | 1,280 | -320 | 1,920 | -480 | 2,304 | -576 | 2,560 | -640 | 2,816 | -704 |
ひとつ前に掲載した、連鎖数による地価の変動表と比べてみると、次のようなことがわかる。
- 2連領→単領の場合、売却による損失よりも連鎖減少による損失の方が大きい
- →高い方を売るのが正解
- 3連領→2連領、あるいはそれ以上の場合、売却による損失が連鎖減少による損失を上回る
- →総魔力だけ見ると高い方を残した方が若干有利
ちょっと難しい結論になってしまった。この辺、調整前は(直感には反するものの)明快で解り易かったんだけど、初心者と上級者の溝を埋めるべく調整が行なわれた結果として、即座に判断できないものになってしまったのは少々残念だ。
5連領(5Lv×4、1Lv×1)を売る時に、5Lvをひとつ手放した場合と1Lvを手放した場合を考えると、
- 5Lvを売却
- 売却損失:704G
- 連鎖損失:320×3+20
- 合計:1684G
- 1Lvを売却
- 売却損失:44G
- 連鎖損失:320×4
- 合計:1324G
となる。総魔力では1Lvを手放した方が360Gのプラス。
つまり、現在トップで総魔力を落としたくない状況なら、安い方を売るべきと言える。
ただ、安い方を売ってマイナス分を補填するということは手元に魔力がほとんど残らないということでもある。また次に払わされると更に売却を強要されるわけで領地数がどんどん減ってしまうし、手元に潤沢な魔力があれば別の領地を一気に上げることも可能だと考えると、総合的には多少の損失を承知の上で高い方を売るべきかも知れない。最大でも360の差しかないから、2連領でも+720(1Lv→4Lv程度)、4連領なら+360程度の増資で取り戻せる範囲だ。
侵略戦術と拠点戦術
「カードで戦って勝つゲームではない」とは言ったけれど、土地を押さえてコツコツレベルを上げるのはなかなか地味な仕事でカタルシスに欠ける。このゲームの醍醐味はやっぱり戦闘だろう。
敵の高額領地を攻め落とせば、クリーチャー+アイテム程度のコストで多額の投資済み資産を入手できる。相手の総魔力が大幅に減少し、自分の総魔力が一気に高まる逆転のチャンスだ。
逆に、相手が踏み込んできたのを守り切れば一気に高額の通行料を奪うチャンスにもなる。手持ちの魔力を使い切れば土地資産を売るしかなくなり、それだけ危険な領地が減らせるし、潤沢な手持ち魔力を投資して新たな高額拠点を作ることもできる。連鎖していれば投資額の1.5〜2倍以上の総魔力増加にもなるので、一発で大きく順序が変動することも珍しくない。
なるべく危険を避けるためにはダイス操作スペルで高い領地を確実に飛び越え、敵の侵攻から拠点を護るために無効化防具などを用意し、あるいは踏んでしまった時に奪えるよう高火力武器や即死能力を切り札として用意しよう。
戦闘のコツ:憶えておくのは「敵のアイテム」
カルドセプトはなにかと要素の多いゲームだが、実は大半の情報はいつでも調べることができる。下画面を見ればプレイヤーの順位、手持ち魔力と土地や護符を合わせた総魔力、自分の手札一覧やマップ上の土地所有者が確認できるし、自分の番に下を押して「情報」を見ればもっと詳しくプレイヤーごとの情報や護符の価格などがわかる。
手札を詳しく見たければYボタンで手札確認モード、マップ上のクリーチャー能力などを見たければXでマップ確認モード。Lボタンを押すと各マスの通行料情報から現在HP/MaxHP、攻撃力、土地レベルと順次切り替わる。
でも参照したい時に参照できない情報がある:それが「敵の手札」だ。
戦闘時、攻撃側も防御側も1枚だけアイテムを使うことができる。それらはクリーチャーの能力を変化させたり、特殊効果を発揮したりする。アイテムのない状態のクリーチャー能力は戦闘前に計算結果が示されるし、両者の能力を見ることはできるからクリーチャー自身の特殊能力による効果は予想できるが、使われるアイテムがわからなければ最終的な結果が予想できない。
でも、相手の手札にあるアイテムがわかっていれば、「どれを使うか/使わないか」だけに情報が絞られる。例えば「たしか武器は最大+30までしか持ってなかった」とか「今防具しかないはず」とか判っていれば、それが使われる前提で数字を計算した上でどうするか考えればいい。
だから、まずは手札の中にあるアイテムの効果を憶えるところから始めよう。そして絵を見ただけで性能が思い出せるようになれば、プレイがかなり楽になる筈だ。
それでも全部は憶えられないと思ったら、「今やりたいこと」に関係しそうな部分だけ憶えよう。例えば「この高額領地踏んじゃったら攻め落とせるかな……」という時は持ち主の防具を。あるいは「自分の高額領地を攻め落とされないように守りたい」ならそれぞれのプレイヤーが持つ一番強い武器を憶えておく。
戦績分析とアドヴァイスを見る
順位発表の後、上画面に総魔力変動グラフ、下画面に戦績アドヴァイスが表示される。これは主に「領地の確保数」「連鎖数」「侵略の成功率」「防衛の成功率」「通行料を奪った回数と総額」などを見ているのだが、例えば侵略失敗が多いようであれば攻撃力を強化するとか、防衛失敗が多ければ無敵防具を増やす、領地や連鎖が少ないなら確実に空き地へ止まるためのスペルや土地変化系などで確実な連鎖を狙うなど、ブック調整の指針として役立てよう。
仕上げは対人戦で
基本が解って「なんとなく勝ったり負けたりする」状態から一歩踏み出せれば、その先はもう慣れの問題だ。カードの種類は多いが、いつの間にか全部憶えてしまう。段々と強いカードや組み合わせの妙が見えてきて、自分なりの戦術が出来上がってくる。
そうしたら対人戦で遊ぼう。周りにやっている人がいなくてもネットで対戦できるし、ストーリーを進めれば3DSダウンロードプレイで「初心者に教えながら一緒に遊ぶ」ことだってできるようになる。
一人でも対CPU戦で遊ぶことはできるけど、やっぱり限界がある。生身の人間と戦うより面白い遊びはない。是非、プレイ仲間を増やして一緒に遊んで欲しい。