理想のSRPGが見えてきた

ポイズンピンクをやっていて、随分「理想的なSRPG」について考えを深めた。ある意味ではそれほど、ポイズンピンクが理想に近かったと言っても良い。
いや本当に、市場評価の低さが信じられぬ程秀逸なゲームではあるのだ。操作性を中心に未熟な部分ばかり目立つことと、アピールすべき対象層を間違ってしまった事が惜しい。


ポイズンピンクの長所は端的に言えば

  1. ダメージ固定による与ダメージコントロール
  2. 敵=資源という発想の拡張
  3. ZOCの存在

であろう。
フリーバトルのないシステムであるため、経験値稼ぎの手段は限られる。基本的にはダメージ量に応じ経験値が増減するが、とりわけ最後の一撃でHPを越えた分が大きく影響するので、ギリギリまで削ってから最大の一撃で葬りたい。またとどめの一撃でオーヴァキルHPを越えた敵は拘束状態となり、更に一撃を与えて経験値を増やすか、回収しリソースとして活用することが可能となる。
普通のゲームであれば「いかに大ダメージを与えて素早く撃破するか」のみに向けられる努力が、ここでは「いかにダメージ量を調節して死なないギリギリまで削るか」となるため、難易度がはね上がる。惜しむらくは、そんなシステムであるにも関らずアクション選択段階では与ダメージ量が表示されないことだろう。自AT/敵DFは確認できるので計算式を知っていれば算出可能*1だが、そういう問題ではなく、これは行動選択自に表示されるようにすべきだった。


捕えた敵を売却しアイテムの材料としたりスキルを抽出したり、また使役する(あるいは潰して使役のためのリソースポイントとする)というアイディアは面白い。ただ使役する敵は成長しないため固定戦力としての利用は難しく、結果として有効に活かされていないのは残念である。「女神異聞録ペルソナ」のように付け替えて常時利用する戦力としてしまうとか、合成し上位魔神に変換できるようにするなどの措置が欲しかった。


ZOCはオーソドクスな強制移動停止型だが、これによって移動範囲がかなり制限され戦いが難しくなっている。ただウォーゲームなどとは異なりバトルフィールドの設計そのものが恣意的に行動力を制限する傾向にあるため、強制停止は効果として強力にすぎ、たった1体で渋滞を引き起こし戦力の半分が満足に運用できなくなるのは善し悪し。AP制ではないため行動の制限管理が難しいところだが、「ZOC範囲内では移動力を1マスあたり2消費する」といった処理でも良かったかも知れない。理想を言えばAP制で「ZOCに侵入するとAP減少/APさえあれば複数回行動可」なのだが。


長所に付随する「至らぬ点」は書いたので、次は欠点についても少し。
全体的なインタフェイスの不備(装備購入中に付随効果内容が確認できない、購入と装備を同時に行なえない、戦闘中のパラメータ画面でスキル効果が確認できないなど様々な)はゲームの本質部分ではないので捨て置くとしても、ウェイトターン式かつ行動順を上げるスキルが存在するにも関らず、選択行動の結果として順序がどう変化するのかを知る術がないのは問題だ(知る限り、それを実現しているのは唯一「ステラデウス」ぐらいのものだが)。逆に言えば、それさえ実現すれば「行動順の最適化」が可能となり、戦術性は一段と高まるだろう。
またゲーム中、「囚われていた人」を救出し街でそれらと対話するシステムがあるのだが、ここは単なる会話回数で結果が決まるだけの代物でゲーム的面白さは皆無、かつ絵も文章も明らかに本編とは乖離しており違和感だけが際立つ。
どうせなら戦闘結果次第で救出人数が変化し街が徐々に発展してゆく(その結果ショップが増えたりアイテムが増えたり)とか、なにかゲーム本編と絡むような作りにすれば良かったのではないか。


こうして見ると、私が理想とするシステムの特徴が見えてくる。

  1. ダメージコントロール
  2. 行動順コントロール
  3. Zone of Control
  4. 複数行動と行動実行順の任意性

コントロールばかりだが、要するに「プレイヤーの意思決定を重要視」したいということだ。ブラックボックスになっていて結果は運まかせ、ではゲームとして弱い。最終的に確率任せであるのは構わないが、それならそれで行動次第で確率がどう変わるのかを明示せねばならない。

*1:説明書にはどこにも書いていない。攻略本は未確認、攻略Wikiに記載あり、ただし一部