カルドセプト初心者のためのプレイング講座

昨日のブック構築講座に続き、プレイングを解説する。
ブック構築だけがカルドセプトではない。実戦投入し戦訓を元に調整を重ねてはじめて強いブックが仕上がるのだ。そのためにはまず、プレイの「定石」を知らねばならない。

マナは溜めない

マナは周回数を稼ぐほどに収入の増えるスペルなので、つい「1周してから」などと考えがちだが、実際のところ臨時収入以外に何の効果もないカードに枚数制限のキツい手札を占領させる理由は全くない。「あと1歩で城到着」なんて状況でもない限りはその場で使ってしまうのが良いだろう。
そもそもブックに入れて良いものかどうかも考え直すべきである。周回重視のコンセプト、あるいは援護ブックのように資金繰りが厳しいブックならいざ知らず、そうでもないのに8%もの枚数を「ちょっと総魔力を増やすだけの」カードに費して良いものかどうか。

コストパフォーマンスを考える

カルドセプトは「戦って勝つ」ゲームではなく、「素早く目標魔力を稼ぐ」ゲームである。
稼ぎ方には

  1. 土地の占領
    1. 連領による価値上昇
    2. 高Lv領地簒奪
  2. 護符価値上昇
  3. 通行料収入
  4. 周回ボーナス
  5. その他カード効果や祠効果による臨時収入

があるが、このうち1についてはちょっと注意が必要である。
土地の価値はマップによって異なるが、概ね1Lv80〜100ほどに設定されている。単純にこの価値だけで総魔力上昇を狙う場合、実質的な魔力増減は「+領土価値-召喚コスト」となる。つまり高額なクリーチャを召喚した場合、魔力がほとんど増加しない、もしくはマイナスになることすら有り得るというわけだ。この点ではゴブリンのような低性能0コストクリーチャにも充分な存在価値を見出すことができる。

連領効果

土地のレベルと連領の関係は以下のようになっている。

レベル 1連領 2連領 3連領 4連領 5連領 投資額
1 100/20 150/30 180/36 200/40 220/44 召喚コスト
2 200/60 300/90 360/108 400/120 440/132 100(+100)
3 400/160 600/240 720/288 800/320 880/352 200(+300)
4 800/480 1200/720 1440/864 1600/960 1760/1056 400(+700)
5 1600/1280 2400/1560 2880/2304 3200/2560 3520/2816 800(+1500)

連領のない土地では、費したコストに対し+100しか増加していないのが判る。対して連領にした場合、2連だけでも+50%とかなり上昇効果が高い。つまり、総魔力の上昇に重要なのはレベルアップではなく連領化であると言える。
無論レベルアップが無駄ということはなくて、地形による防御効果を利用した要塞化や通行料収入の向上という重要な側面を担っているのだが、単独の高額拠点ではどうしてもコストパフォーマンスが悪い。最低でも2連領は確保できるようにすべきだろう。連領を作り易い構成としては、ドリアードやワイバーンのような「空き地に移動できる能力」の積極活用が効果的である。
また、連領効果から判ることのひとつに「手放すなら高額領地から」という教訓がある。一見すると苦労して構築した大型拠点の放棄は大きなマイナスにも思えるものだが、その実連領を1減らすだけで済み、手元に多額の現金を残すことができるため他の領地に注ぎ込み直すことができる利点がある。

攻めのプレイング

カルドセプトの基本システムは概ね「モノポリー」系の陣取り双六であるが、それらとの大きな違いが「戦って奪う」ことと言える。
高額領地に止まってしまっても、勝てば通行料を払わなくて済む。それどころか敵が多くのリソースを費して育てた資産を、ほんの100〜200程度の召喚+アイテムコストのみで我が物にできるのだ。2Lvの単領ですら資産価値は200。1Lvでも2連領になるなら実質+200であり、これは高いクリーチャ+高いアイテムを支払うに見合った収益である。
全体にカルドセプトのゲームバランスは「獲って獲られて」を前提に作られており、完全な防御はかなり難しい。一般的なクリーチャのHPは30〜40、5Lv領地にいるとしても80〜90点程度に過ぎない。これはST30程度のクリーチャであっても+30強打アイテム程度で撃破できてしまう数値であり、防具なしでの防衛は覚束ないと言える。
逆に言えば強打は非常に効力の高い能力であり、可能であれば各属性/種族に対する強打を1枚程度は入れておくと効果的だろう。STが高い上に強打を持つ、例えばエルフのようなクリーチャを使えば、場合によって120点以上のダメージを叩き出すことも不可能ではない。
また、どのようなブックであれスクロールの1〜2枚は常に携行すべきである。カルドセプトには攻撃を無効化するようなクリーチャやアイテムが複数存在するが、いずれもスクロール攻撃には弱い。また地形効果を無視できるため拠点攻略にも役立つアイテムである。

対策

攻めのプレイングに対しては低レベル領地分散投資が比較的効果的である。奪っても大した収益にならないため、比較的高額高性能カードを多用する攻めのプレイングでは採算が合わない。一方でどこに止まっても少しづつ魔力を奪われるため、徐々に身動きが取れなくなり、知らぬ間に動きを封じることができる。

守りのプレイング

カルドセプトに於いて領地簒奪の比重が高いことは述べたが、逆に言えばそれだけ防御が重要ということでもある。多くのリソースを注ぎ込んだ領地を奪われたときのダメージは非常に大きく、なんとしても避けるべき損失と言える。
また高額領地群を構築して多額の通行料を奪取できれば、それだけで敵は多くの拠点を放棄せざるを得ず、結果的に戦わずして危険を回避することにもなる。
防衛のために効果的なのが所謂「無敵防具」類である。ダメージを完全無効化するガセアスフォーム、カウンターアムル、ホーリーグレイル、属性シールド。あるいは無敵能力を持つジーニー、オルメクヘッド。
また「死後復活する」クリーチャーもある種の無敵状態と言ってよい。破壊されるとゾンビ化するネクロスカラベやドラゴンフライに生まれ変わるミルメコレオがこれに当たる。

対策

無敵クリーチャと雖も攻撃魔法には弱い。また無敵防具はHP上昇効果を持たないため、これにばかり頼るとスクロールに対応できなくなる。
逆にHP高めの壁クリーチャ+硬い防具で固めてくる場合は即死能力が効果的。ただ、こうした能力は大抵は攻撃成功時発動なので、無敵相手には通用しないのが痛いところ。

2択とブラフ

互いの手札が見える完全情報ゲームであるカルドセプトでは、事前に相手が使うであろう手を読んで対策を講じることができる。侵略側は事前に記憶にある相手の手札と自分の手札を比較して侵略するかどうかを決められるが、先に手札を晒し、かつ相手の手札を見る前にアイテム選択を迫られる分不利となる。
基本的にランダム要素を含まないカルドセプトの戦闘に於いては、相手の手が完全に読め、かつ対策可能なカードが手札にあれば100%負けることはない。
これを打破するのが「2択」である。アイテムAとBで必要な対策が違う、例えばST+30強打を使ってくるなら完全防具で防ぐべきだが、スクロールの方だったら+30防具を使わねばならない。読みを外したら死あるのみ。
これは攻防どちらにも言えることで、侵略側にしても(多くの場合は高額領地を踏んでの戦闘であろうからして)命懸けである。どうせならより高いアイテムを使わせるべきか、それとも自分のアイテムコストを抑えるべきか。それとも裏をかいて……
また、2択を利用し安いコストで相手のアイテムを潰すための侵略も有り得る。敵領地に移動侵略し強力な武器を見せびらかして「防具使わないと取られちゃうよ」と迫っておきながら自分は使わず空打ちさせれば、次回侵略ではアイテムを有効に使える。言わばメタな2択である。

足止めの危険性

ケルピー/オールドウィロウは「足止め」により強制的に多額の魔力を奪う常勝パターンのキーカードだが、これが通用するのは対AI戦時のみと心得るべし。
AIは行動パターンが常に「次の1手」しか考慮できないため、「今引いたマジックボルト1発で撃破できる領地」を優先してしまったり、「この道の先に絶対止まらされる領地があるから回避」のような判断ができないなど、対人戦では有り得ない行動を取りがちである。このような状態では足止めは強い。
しかし対人戦では逆に「確実に戦いを挑める」=確実に高額領地を奪取できるまたとない機会を敵に与えかねない。とりわけ多人数戦の場合は敵が多い=こちらの防具を凌駕する攻撃がくることに繋がるため、完全防具を以てしても防衛は困難である。
どうしてもこれらクリーチャを使うなら、2〜3回凌いだ時点でクリーチャ交換し、以降戦闘を避けるような運用が望ましい。

イビルブラスト/メテオのデメリット

半数以上のクリーチャを1撃で葬り去る大火力直接攻撃スペル「イビルブラスト」や対象領地のレベルを引き下げ費した魔力を無駄にする「メテオ」はその強力さ故についブックに組み込みがちだが、実はこれが最大限有効に機能するのは唯一、1対1での対戦時のみである。イビルブラストのコストは120、メテオは200+手札と、その威力に支払う代償は決して少ないものではない。然してこれらスペルの効力は「相手に損をさせる」ことにあるのであって「自分が得をする」ようにはできていないため、多人数戦で最も得をするのは打たれた相手でも打った自分でもなく「何の損もしなかった」それ以外のプレイヤーであることに注意せねばならない。
同様のことは単一プレイヤーのみを対象として損益を与えるだけのあらゆるスペルに共通して言える。マルチプレイに於いては、自分を含め全員に影響を与えるスペルを用い(、自分だけは影響軽微に済むようブックを構築す)るか、自分だけが利益を得るようなスペルを用いるのが適切である。

参考

色々書いてみたが、正直こんな駄文読むより下記をじっくり読むべきだと思った。
重力制御:目次一覧(Ver.2ex)
PS2版のカルドセプト2nd EXのものだが、基本的にすべてのカルドセプトにそのまま通用する。