カルドセプト初心者のためのブック構築講座

もうすぐ発売日を迎えるカルドセプトDS。今回一番の特徴はなんといってもWi-Fiによる全国でのネットワーク対戦だろう。ネットワーク対戦そのものはDC版セカンドやXbox360版「サーガ」で既に実現されていたが、DCの頃はまだモデム通信だったしサーガは制作下請けの技術不足から致命的なバグ多数で使いものにならず、実質的に本格的ネットワーク対戦環境が普及したのはこれが初めてといって良かろう。
このシリーズ初代から10年来のプレイヤーとして、この機に新規プレイヤーの増えんことを切に願うものだが、同時に知識の差からくる勝率の壁を乗り切る必要も感じている。
そこで、はじめてカルドセプトに触れる人のための(簡単な)ガイダンスを書いてみたい。


カルドセプトの醍醐味はブック構築にある。400種近いカードの中から1種4枚以下総計50枚の「ブック」を編集する行為。カードを蒐集するに従って可能性は飛躍的に増大し、カードの組み合わせによって高い相乗効果を生じる。
だが、その境地に至るには幾多の戦いを潜り抜けねばならない。いや負けたってカードを得ることはできるのだが、勝った時より少ない枚数しか得られないし、ストーリーは先に進まないし、何よりやる気を削がれる。
攻略に詰まった時、前のマップに戻ってカードを集めるのも重要だが、ちょっと立ち止まってブックのコンセプトを見直してみると良いだろう。


序盤は単に新規入手した中から使えそうなカードを数枚採用、有効利用率の低かったカードを削る程度の調整になるだろうが、この方法はいずれ限界が来る。何故なら、様々なカードが場当たり的に採用されてゆくことで、ブック全体の統一性が失われ「弱みもないが強みもない」ブックになってしまうからだ。
ブック構築にもプレイングにも言えることだが、基本的に「リスクを避けて分散投資」より「一点豪華主義」の方が強い。コンセプトを外すと悲惨なまでに転落するが、一度嵌ると突き抜けるような強さを発揮するのだ。
従って、暫くプレイしてみて壁に突き当たったと感じたら、一度ブックを捨て1から構築し直してみることが肝心である。
この時、できれば新ブックの軸とするべきカードをひとつ選んで欲しい。使ってみて強かったカードでも単に気に入ったカードでも構わない、ただできれば「他と組み合わせることが可能な」カードであると良い。例えばイビルブラストは強力な攻撃魔法だが、単体で完結してしまうので組み合わせようもない。
さて、軸を選んだら、次にそれを最大限活かせるカードをリストアップする。例えば即死80%だが後手のイグニズファツィを活かすために先制アイテムを使うとか、単体でST70のサーベルクローを更に強化すべくST上昇効果のある防具や道具を探すとか。
そうして一群のカードリストが出来上がったら、今度はそれらを活かせるカード群を探す。これを繰り返すと、相乗効果のあるカードの山ができる筈だ。
このように相乗効果を意識して作られたブックはそれぞれカードが複数のカードを強化可能であるため、手札の中で無駄になることがない。また全体として概ねひとつの方向性を持っていることで、その戦術が有効に機能する場であれば高い効果を発揮することが可能になる。


以下に、実例として序盤で使い易いブックコンセプトを挙げる。

先制ブック

「攻め込んだ側がまず殴る」形式のカルドセプトに於いて、「防御側でも先に殴れる」先制能力はかなり強力だ。先に殴れるということは、武器が防具を兼ねることを意味する。
水風ブックで始めた人なら、初期ブックで既にハーピーリザードマン、2種の先制クリーチャーが入っている。また風クリーチャーには先制付きが多いので、ゴザ砂漠あたりを中心にスパーリングすると効率良く集められるだろう。


先制ブックの利点は3つ。アイテムを武器に特化できること、かなり攻められ難くなること、敵の先制付き拠点に強いこと。
特に1は重要。武器だけで済むということはそれだけアイテム数を少なくできるということで、その分クリーチャーが出易くなり、序盤の領地確保が容易になる。また敵にとっては攻防ともに武器の影響を考慮せねばならなくなるというプレッシャーがある。
逆に欠点は、先制クリーチャーの侵攻に弱いこと。攻撃力で撃退することを前提に防具を持たないので、先に殴ることのできない状況では抵抗のしようがない。


アイテムとしては基本的にSTを上昇させる武器類に特化し防具を捨てる。できれば属性/種族強打アイテムは1枚づつは入れておくと対処能力が劇的に向上する:例えばエルフやダークエルフなどST40の先制クリーチャに+30強打アイテムを持たせると、それだけで105ダメージ。両脇が自陣で固められていれば135ダメージにも達する。HPの高い防御クリーチャーが属性の一致する5Lv領地に陣取って尚撃破され得るダメージ量だ。
また、変形として攻撃成功時効果付きクリーチャに先制アイテムを持たせるという方法もある:例えばイグニズファツィ+ウィングブーツ=先制80%即死、とか。

援護ブック

先制と並ぶもう一つの強力な能力が「援護」である。クリーチャをアイテム代わりにST/HPを合算する能力。これさえあれば武器も防具も必要なし、普通のアイテムでは到達し得ぬほどの数値を叩き出すことすら可能。
地属性の入った初期ブックは序盤から援護付きクリーチャが入っている。また水、地には援護持ちがやや多い。


援護ブックの利点は、なんと言っても武具要らずなこと。STやHPの高いクリーチャをそのまま武器や防具代わりに利用すればいいので、アイテム不足に悩むことはない。またアイテムが少なく済む分クリーチャを増やせるので序盤から領地確保が容易になる。援護付きクリーチャ以外は全体に基礎能力の高いクリーチャで固めるから、そのまま配置しても充分に活躍できる。
欠点はコストが高いので資金繰りが難しくなること、数値に出ない能力付きクリーチャを活かし難いこと。特に資金繰りはかなり重大な問題で、ちょっと戦闘が続くとすぐ手持ち資金がなくなってしまう。マナ4枚積みは必須、できればその他スペルも周回系に特化すべきだろう。


アイテムはあまり考えなくて良いが、援護用の大型クリーチャの単体運用を考えるなら拠点化を前提に防具だけ足すもの良いだろう。
もしくは、各属性の基本援護クリーチャーが巻物強打付きなので、巻物を数枚入れておくのも効果的だ。基礎能力でHP40を越えるクリーチャは多くなく、45点ダメージは充分に致命的たり得る。可能なればST40のヘルブレイズや50のフュージョン、あるいは毒付与のブラッドスポイルを入れれば、それ以上の重量クリーチャすら凌駕するだろう。