サイクリング用の地図が欲しい

現代は趣味領域がかなり多様化している。一因には人数の多い団塊世代の退職を機とする「趣味ブーム」のようなものがあるのではないかと思うが、ともあれ「時間のかかる」ものと「健康的な」ものが隆盛であるように思えてならない。
他方、昨今のガソリン高騰などの影響もあってか、このところ自転車界隈が賑わっている。適度に健康的、適度に経済的、適度に素朴である自転車は所謂「スローライフ」あたりとも相性が良く、雑貨カタログなどにも自転車での雑貨店めぐりが特集されたりする。


多様化した趣味に合わせ、様々なガイドブック類が登場している。
書店の地図コーナーを見ると、主に自動車向けの道路地図だけでなくバイク用のツーリングマップやウォーキング用のマップなどは数多く存在する。またエリア観光ガイド類も、主な名所名店類だけではなくカフェや雑貨店など焦点を絞ったものが増えている。中には「階段めぐり」なんてマニアックなものも。
それなのに、意外なほどに自転車用の地図やガイドブックが少ないのだ。自転車用地図は、私の発見した範囲では唯一、「シティサイクリングマップル東京」のみである。

これは携帯用のコンパクトな東京23区全域地図で、自転車向けに駐輪施設やトイレ利用可能施設、自転車専門店、坂の斜度がマッピングされた仲々の優れものではあるが、如何せんカヴァ範囲が東京23区に限られること、紙面が小さく視認性が悪いことなどの問題もある。


この他に以前地元の書店で川沿いを中心としたサイクリングガイドブックを見掛けはしたのだが、荒川や多摩川といっても長い。気軽に走れる範囲はかなり限られてしまい、いまいち実用性に乏しい。
また県単位でのガイドブックもあるのだが、これはこれで少々扱いに困る。

埼玉・千葉自転車散歩

埼玉・千葉自転車散歩

というのも、埼玉県というのはやや特殊な構成で、平坦であるにも関らず東西方向の連絡に乏しいのである。道路も線路も基本的に東京都心を中心に放射状に伸び(た一部が埼玉県を通り抜け)るもので、県内でも系統の違う沿線同士の行き来は一度東京都へ出て折り返すような形になる。従って県単位でガイドされても半分以上が活用できないことになってしまう。
むしろ埼玉よりは東京の方が使い手がありそうな気はする。
東京・下町 自転車散歩マップ (自転車生活ブックス01)

東京・下町 自転車散歩マップ (自転車生活ブックス01)


今一番欲しいのは、ターミナルから一定範囲のガイドブック/マップである。エリア中心の構成ではなくアクセス中心の構成。
その方向性で感心したのが「災害支援マップ」。

震災時帰宅支援マップ 首都圏版 2008

震災時帰宅支援マップ 首都圏版 2008

「歩いて帰る」をコンセプトに、掲載エリアを鉄道沿線に限定、縦長の紙面を線路が縦方向となるようにカヴァする構成。「どの方向に行くか判らない」地図だからこそ北が上という不文律が有効なのであって、明白なランドマークが存在する場合はそれに合わせて方角を変化させる方が使い易い。
残念ながら幹線から離れられないという制限があるので自転車で走るにはちょっと不向きだが、それはコンセプトの違いであるので止むを得ない。


また、実用性の程は不明ながら、「サイクリング地図」を目的としたオンライン地図が立ち上がりつつあるようだ。記入や切り出しが容易であるという利点と携帯性に欠けるという欠点を併せ持つ電子地図なので便利やら不便やら難しいところだが、今後に期待しよう。
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