はてなアイデア予測市場

株価制が導入され、より一層不可解さを増したはてなアイデアについて。

はてなの思惑

id:jkondo:20050613:1118614487あたりを読むに、これは所謂Silent Majorityの扱いに苦慮した結果の発案なのではないかと思う。
はてなで要望を出すユーザーは、程度の差こそあれ積極的に運営に関与する姿勢を持った人物である筈だ。そして、そういう人物はユーザー総数の1%にも満たない。言い換えれば、表面化する要望の調査母体自体が偏っている可能性がある。
そこで残りの99%の要望を引き出そうという思惑がアイデアポイント制であり株価制なのだろう。

私の見解

私個人は、本当にこの方法で沈黙する多数の声が引き出せるのかどうかは怪しいものだと思っている。何故なら、結局のところこの市場に参入するユーザーは1%の内側だからだ。それどころか、要望に関わらず単にポイントゲーム目的での参入が行われる可能性もある。
保有ポイントの増加という観点のみから見れば、そこにユーザーの意思を反映する理由は全くない。重要なのははてなの動向を先読みすることだけだ。過去の公聴会では(積極的な)ユーザーとはてなの見解に乖離があることが明らかになったわけだが、このシステムでは結果的にはてなの意見をはてな自身にフィードバックし、その差をより広げることになりはしないだろうか。

民主主義というシステムの限界

はてなアイデア直接民主制(=ユーザーがはてなに直訴する)による処理が量的に破綻したために作られた、間接民主制選挙システムである。実際の選挙より優れているのは一人1票でなく重み配分が可能なことだが、対立候補の概念が希薄なためにその辺りが曖昧に処理されるきらいがある。ポイントを重視すれば、「意見を通すために金に物言わせる」ユーザーの意見が強く反映され得る結果となり、それは民主主義からはほど遠い。
また、実際の選挙に於いてもそうある通り、結局のところSilent Majorityはこのシステムに於いても沈黙を守り通すため、民意の反映は覚束ない。

Silent Majorityは本当にMajorityか

jkondo氏は予測市場「他のユーザー=物言わぬ人々の気持ちをいかに考えられるか」という問題の解決法として捉えておられるようだが、これにはちょっと無理があるように思う。ケインズ美人投票理論は所詮、投票した人の中だけで通用する話であり、Silent Majorityとは周囲で見ているだけで投票を行わないが「絶対こっちの人の方が美人だよな」と密かに考えている人である。
はてなに関与するユーザー層の偏り(の可能性)を根拠に実装されたアイディア投票システムも、その偏った層を基準に運営せざるを得ない以上実際にSilent Majorityの意見を取り込むことはできない


氏はまた、10人のユーザーからある要望に対して賛成票が投じられているけど、実はそれを望んでいるのは25万人のうちその10人だけで、他のユーザーは現在の機能で満足している、という場合も考えられると述べて居られるが、この問題はポイント制によって解消されるどころかむしろ強化されてしまう。一人の強い要望による1000ポイントベットも、100人の緩やかな要望による10ポイントづつのベットも、同じ1000ポイントである。
必ずしも1000ポイントに達した要望のみが処理されるわけではないし、要素として人数を考慮していないとは思わないが、少なくとも思想と実装に差が感じられるのは確かだ。

単なる投票システムに戻そう

結局のところ、「声なき声は声でなし」ということだと思う。選挙に於いてはカネ絡みの問題で民意が無視される傾向にある(と考える人が多い)から無言による非力な抵抗を行う層が存在するが、はてなではその理由がない。
むしろ、民意が表出しないとすれば、それははてなに声を届かせる方法を知らないからだ。今やるべきことは複雑化するシステムによる調整ではなく、単純で直感的なシステムを広く認知させることである。
だから、要望の集約はリストと賛成/反対投票による処理で充分だと考える。賛成多数が必ずしも良い要望とは限らないし実装可能とも限らないが、それははてなによる説明で処理できる筈だ。
予測市場システムはそれはそれで面白いが、今この形でやるべきこととは思えない。

参考:http://nikki.g.hatena.ne.jp/hkt_o/20050615

要望してみる

まず採用の見込みはないと思うが、はてなはてな自身の意向を押し通すのではなく本当にユーザーの意見を吸い上げてくれる可能性を信じてはてなアイデアに自身の変革を要求してみる。
idea:2659
類似アイデアに乗っかった方が良かったか?一応、それより一歩踏み込んだ要求ではあるのだが。
予想通り却下。まあそりゃそうだろうな。作ったばかりなのだし、当面は調整しながら様子を見るだろう。