淀川工業高校グリークラブ

先週のプロジェクトX放映分で、弟の要請でヴィデオ録画しておいたものを、今日やっと観る。
普段の内容と違って日本の技術についての話ではなく、工業高校に発足した男声合唱団の話である。


一般に、中学〜高校あたりでは男子生徒の音楽(就中伝統的な分野の)に対する印象は全体にマイナスである。これは、共学校の合唱部であってもほぼ男女比1:10程度と圧倒的に女生徒数が多い事実からも伺える。とりわけ女性の居ない工業高校ともなれば、その風当たりは相当にキツかろう。
そのような中にあって淀川工業グリークラブは女性の多い合唱団では成し得ない圧倒的声量を以て創部5年にして全国合唱コンクールで金賞を獲得、今や押しも押されぬ金賞の常連校である。其処まで至る苦労はまた並大抵のものではなかっただろうが、そういうお涙についてはプロジェクトXに一任するとして、彼らの歌う「ファイト!」について触れておこう。


「ファイト!」と言えば中島みゆきの歌う虐げられたものたちへの応援歌であるが、淀工グリーのそれは実に「泣ける」演奏である。
静寂の中、ドラム演奏に乗せて静かに響くユニゾン。ピアノ伴奏が(最初は控えめに)それに加わり、徐々に音を増すとともにユニゾンの声量も徐々に上がる。しかし決して豊かな和音を響かせることはない。
終盤、歌詞は虐げられる人たちの話から、傷つきながらも川を遡る魚の話に変わる。ここで初めてハーモニーが出現、急激に音の厚みが増す。パワーを得たメロディは一気にラストのサビへ雪崩れ込み、聴き手の感情が最高潮に達しようという時……突如伴奏は止み、アカペラで最後のフレーズが大きく響く。
そして静寂と余韻-----。


彼らは定期演奏会で常にこれを演奏しているそうで、手元にあるのもそうした録音盤の一曲である。多分プライヴェートに近い版なのだと思うが、制作元が販売している可能性もあるので、興味を持たれた向きは探してみると良いだろう。


http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200505230046.htmlで件の番組について事実と異なる部分があったという話。
元々クサい感動の演出を多用する誇張の激しい「愛国」的番組であることは周知の事実かと思っていたが。
日本PTA全国協議会が発表した、小学5年生と中学2年生の保護者を対象にアンケートした「子どもに見せたい番組」では1位というのは正直、ちゃんと判断できてるのかと疑問に思ってしまったり。