読了:メイン・ディッシュ(北森鴻、ISBN:4087474240)

実は以前読んでいるのだが、桜宵を借りたときにまた読みたくなって一緒に借りたもの。
こちらも料理を絡めたミステリーで、その美味しそうな描写は随一。
短い話を繋げて一つの流れを語るのだが、今回はまるで無関係な話(に見える)が平行して交互に進むのが、最後の方で(2重の意味で)繋がってくる。
北森鴻の作風が「螺旋を描いて遠いところから真実に繋がる」もので、長編では冗長だが短編では思わぬところから真実に繋がる小気味良いどんでん返しが楽しめる、というのは以前から主張しているところだが、本作では短編同士のつながりによって生まれる長編ストーリー自体に同様の構造があり、それが故に小気味良い短編の構造を2重に楽しめるようになっているのは特筆に価しよう。