初めてカルドセプトを遊ぶ人のためのスタートガイド

ここまでカルドセプト新作「リボルト」の初心者向けに基本的な定石などを紹介してきたけど、どうやら初セプターの中にはもっと手前の段階でつまづいている方が少なからず見受けられるようだ。そういえばヴェテランになると見落しがちだけど、カルドセプトはなかなかにルールがややこしく、チュートリアルで色々言われても憶えきれないぐらいの情報が詰まっているのだった。
まずはごくごく基本的な情報の解説記事が必要だな、というわけでざっと説明してゆこう。

https://topics.nintendo.co.jp/export/sites/nintendo_topics/images/article_img/00000306_05.jpg

これはカルドセプトのプレイ中に表示される、下画面の情報。
大きく分けると、一番上の帯に表示される「終了/勝利条件」、左半分に表示される「現在の魔力と順位」、右半分に表示される「手札」に分かれている。
個別に詳しく説明する。

下画面の見方

終了条件:ラウンド数と勝利条件:目標魔力

一番上の帯は勝利条件、つまり「このゲームに勝つために満たすべきこと」が表示されている。
左側の、この画像では「1/40R」となっている部分は、「現在のラウンド数/最大ラウンド数」。このゲームの場合は40ラウンドで終了し、今が第1ラウンドであることを示している。
ラウンドというのは「プレイヤー全員が順番に行動を終えるまで」の区切りだ。つまり40R制限なら、ゲームが終わるまでに最大40回行動できるということになる。全員が行動すると次のラウンドへと進み、40/40Rになったラウンドが最後まで終わると、そこでゲームが終了する。
右の「目標魔力」は、ゲームに勝利するために目指すべきことが書かれている。この画像の例なら8000G、これ以上の総魔力を貯めて砦に到達すれば、その時点で勝利だ。

総魔力については、次の項で説明しよう。

魔力と順位

(最大)4枚のパネルは参加プレイヤーそれぞれの色を示している。その右端に大きく表示された数字は現在の順位だ。
その左にある四角い枠と英字は「砦通過フラッグ」。字はマップ上の砦に対応し、黒い字はまだ通過していない砦を、白い字は通過した砦を示す。砦を通過すると定額の魔力ボーナスが得られ、すべての砦を通過すると「周回ボーナス」としてまとまった量の魔力が手に入る(周回ボーナスを得ると砦通過フラッグはリセットされる)。
名前の下に2行に並んだ数字は、「現在魔力」と「総魔力」を示している。
魔力、というのはつまりお金だ(けれど単位Gはゴールドじゃなくて「ゲイン」)。現在魔力は手元にある「現金」、総魔力は購入した土地の価値などすぐには現金化できない財産を含めた「総資産」。この総魔力の方を、目標以上に貯める(そしていち早く砦へ戻る)のが、セプターが目指すべき勝利条件となる。

どうやって総魔力を増やすか、は後で説明する。

手札リスト

右側にあるのは現在の手札だ。自分の番には上画面で手札の中身を確認できるが、他プレイヤーの番でもカード名と種類だけは確認できる。属性アイコンの付いたカードはクリーチャー、稲妻か吹き出しのマークはスペル、その他の剣や鎧などのアイコンはアイテムカードだ。
また、左のプレイヤーパネルにタッチすれば他人の手札リストも確認できる。いずれにせよ名前しか見えないから、そのカードの性能は憶えておくしかないけど、敵の行動が予想できるようになるのでとても重要な情報だ。

カードの見方

個別のカードについても、情報を整理しておこう。まあアイテムカードとスペルカードは特殊な制限などもないので、クリーチャーだけの説明に止める。

クリーチャーカード

https://pbs.twimg.com/media/CldjjHIUkAA20Wq.jpg
なるべく多くの情報が載っているカードを探したら、ずいぶんアレなクリーチャーになってしまった。
一番上はカード名。右側に「R」とあるのはカードのレアリティ、つまり入手しやすさを示す。もっとも入手しやすいのが「N」ノーマル、やや手に入りにくいのが「S」ストレンジ、かなり珍しいのが「R」レア、この他に特定条件を満たしたときだけ出現する特殊カード「E」エクストラ、がある。
その下はカードの種類。これは火属性クリーチャー。
「G 20(火)」とあるのはこのカードを使うためのコスト。数字の方は消費する魔力で、属性アイコンは領地コストといって「この属性の土地をこの数だけ占領していないと使うことができない」という意味だ。つまりこのリーチの場合、あらかじめ火属性の土地ひとつ以上を占領した状態であれば魔力20を消費して召喚ができる、ということになる。この他に、カードを示すアイコンがある場合は「手札コスト」、そのカードを使うために手札を捨てなければならないことを示す。
STとHPは攻撃力・防御力。戦闘の時にはこのSTに応じて相手にダメージを与え、HPが0になると破壊される。
STの下にある×付きの属性アイコンは「召喚制限」、この属性の土地には召喚することができない。HPの下のアイコンは「アイテム制限」、戦闘の時にこの種類のアイテムを使うことができない。

STとHPはクリーチャーのもっとも基本的な性能を示すデータだ。HPが高ければ敵の攻撃で破壊されにくく、土地を守るのに向いている。STが高ければ戦闘で敵を破壊しやすく、敵の土地を奪うのに向いている。
魔力コストが高いカードは現在魔力に余裕がないと使えないし、土地を占領しても総魔力が増えにくい。領地コストがあるものは序盤で使えないので枚数を入れすぎないよう注意が必要だ。召喚制限があるカードはいざ戦闘になった時に使えず、アイテム制限があると戦闘の時に困るかもしれない。

総魔力の増やしかた

では、カルドセプトの勝利目標である「総魔力」を増やすにはどうすればいいのか。

基本的には「土地を占領する」「土地のレベルを上げる」の2つが重要になる。

土地のレベルアップ

土地にクリーチャーを召喚すると、その土地は自分の所有物になり、自分の色の枠と「通行料」を示す数値が付き、またその価値が自分の総魔力に加算される。
土地の基本価値は1つあたり100だから、土地を占領するために使用したクリーチャーの召喚コストとの差だけ総魔力が増えることになる。

占領した土地には(クリーチャーの「ダウン状態」が解除されれば)「領地コマンド」を使ってレベルを上げることができる。これは、いくらかの魔力を消費して、消費分以上に土地の価値を引き上げるという仕組みだ。こうして手持ちの魔力を土地に投資してゆくことで、総魔力を引き上げることができる。

自分の土地を誰かが踏むと、通行料をもらえる。通行料は土地の価値とレベルによって決定され、レベルを引き上げるほど高い通行料を奪うことができるようになる。

通行料を支払いたくない場合は、戦って土地を奪うことになる。手札からクリーチャーを召喚し、攻撃して土地を占領しているクリーチャーを倒すことができれば、その土地は自分のものになる。
ただし防衛側のクリーチャーは、(クリーチャーの属性と土地の属性が合っていれば)「地形効果」を得られる。土地のレベル×10がHPに足されるので、レベルの高い土地ほど防御力が大きく上がり、奪われにくい。

レベルアップのやりかた

自分の手番で、ダイスを振って移動した後に、クリーチャーを召喚するか「領地コマンド」を使用するかを選ぶことができる。領地コマンドは、自分の領地にいるクリーチャーに命じて何らかの行動をさせるものだ。隣の土地へ移動させるか、手持ちのクリーチャーと入れ替えるか、土地の属性を変更するか、土地のレベルを上げることができる。
レベルを上げるには一定の魔力を支払う必要がある。1Lv→2Lvは80G、2Lv→3Lvは160G、3Lv→4Lvは320G、4Lv→5Lvは640G必要だ。魔力が足りるなら一度に2レベル以上引き上げてもいい。

土地のレベルアップ まとめ
  • レベルアップによる利点
    • 「総魔力の増加」
    • 「通行料の増加」
    • 「防御力の増加」(ただし土地とクリーチャーの属性が一致している場合に限り)

土地の連鎖

上では「土地のレベルを上げて総魔力を増やす」と書いたけど、実際には単独の土地だけだとレベルを上げても総魔力はあまり増えない。たとえば価値100の土地に80を支払って価値200にしても、総魔力としては+20にしかならない。
そこで重要になるのが「連鎖」だ。
連鎖とは「同じ属性の土地を2つ以上占領する」こと。こうすると、連鎖した土地同士の価値が上がる。
連鎖しない土地は、1Lvだと価値100だ。これが2連鎖だと150になる。2つとも150なので合計300。3連鎖なら180(合計540)、4連鎖では200(合計800)、5連鎖だと220(合計1100)になる。6連鎖以上では価値は上がらないけど、新たに取った土地が100→220になるわけだから価値は大きいし、ひとつ奪われてしまっても他の価値が下がらない。
連鎖なしの場合に比べて5連鎖だと2倍を越える価値を持つから、レベルを上げた時の価値もそれに応じて高くなる。でもレベルを上げるために必要な魔力は同じだから、投資に対してより大きな総魔力増加につながるわけだ。たとえば単独5Lvは価値100→1600(+1500G)に対してコスト1200Gがかかるので差し引き+300Gだが、5連鎖だと同じコスト1200Gで220→3520(+3300G)だから差し引き+2100Gになる。

連鎖のためには「止まる土地の属性をなるべく合わせる」「領地コマンドでクリーチャーを移動させる」「領地コマンドで土地の属性を変更する」方法がある。土地の属性変更は、1Lvの土地なら300G(ただし無属性および複属性の土地は100G)、以降レベルが上がるごとに必要魔力が100Gづつ増えてゆく。できればレベルを上げる前に属性を変更しておきたい。

カルドセプト リボルト:序盤戦を乗り切るために

カルドセプトは接待してくれない。
序盤の敵はブックこそ強いカードの入っていない弱敵仕様だが、ダイス目操作もカードドロー操作もないガチ戦だ。まあAIの判断はときどきおかしくて、明らかに勝てない敵に突っ込んでみたりすることがあるのは馬鹿ルーチン入れてるのかランダム処理の結果なのかよくわからないが、少なくとも「わざと手を抜く」ようなことはしない。
一方、プレイヤーのブックも初期は大したカードがないので、戦闘力では似たり寄ったりだ。となると運と判断力が勝敗を分けることになるわけで。

判断力の鍛え方

前作から継承した「アドヴァイスカーソル」機能は、(必ずしも最良とは言えないものの)順当な手を案内してくれる。これに従えばカルドセプト経験のない初心者でも、少なくとも敵AIと同等程度の判断力が保証されるわけだ。
ただ、この機能は「オススメの選択肢」を教えてくれるだけであって、「なぜそれがオススメなのか」は教えてくれないから、これに従っていても「なんとなく勝てる」だけで「勝ち方がわかる」ようにはならないという問題点もある。
結局、判断力は知識と経験で培うしかなく、育つ前にやめてしまう人も多そうだ……というわけで、判断力を育てるべくセオリーをざっくり紹介する。

戦闘より通行料より移動力より資産運用

カルドセプトはカードを集めて自分だけのブックを構築して戦う、いわゆるTCGの系譜だから、つい戦闘力を重視してしまう。
でもカルドセプトの勝利条件は「相手のライフを0にする」とかではなくて「総魔力を目標以上にして砦に戻る」だ。そこを忘れると「戦いには勝ってるはずなのにゲームに負ける」ようなことにもなりかねない。

また、高レベルの領地を踏むと魔力をがっぽり奪われる。これは確かに脅威だし、奪った分を一気に投資して拠点を増やされると厄介この上ない。
けれど拠点を作ってもダイス目で越えられては無意味だし、踏ませても奪われてしまっては無意味どころかマイナスだ。土地のレベル上げは「通行料を奪う」ことが主目的ではなく(それはそれで敵の行動を制限するので悪くはないんだけど)、「総魔力を増やす」ための行為だということを意識しよう。

あるいはダイス目が良ければ敵の領地もどんどん越えられるし周回ボーナスももらえる。スゴロクのようにも見えるから、つい大きな目を期待してしまう。
しかしカルドセプトはレースゲームではないから、速く動くだけでは何にもならない。周回ボーナスによる総魔力の増加なんて目標額からすれば微々たるもので、それだけではあまりに心許ない。

結局のところ、勝つためには総魔力を増やさねばならない。そのためには「領地を増やす」「領地の属性を揃える」「領地に投資してレベルを上げる」必要がある。

詳しい計算の話などをするとややこしく感じられるかと思うのでその辺は別項で説明するが、とりあえず属性を揃えて連鎖を増やす(そのためにはブックの属性を絞り、属性の合う土地を集中的に占領する)こと、その上で連鎖の多い土地をレベルアップすることが重要になる。
たとえば連鎖のない土地を5Lvに上げても総魔力は300しか増えない(投資1200G:価値100→1600G)が、2連鎖にするだけでも総魔力の増加量は+1050にもなり、4連鎖なら+1800……と劇的に増加する。

というわけで、まずは「資産を増やす」ことを意識して進めてみよう。それだけで勝ちやすさが変わるはずだ。

カードの効果を憶える

どんなTCGでも同じだが、相手がどんな手を使ってくるのかわからないようでは勝てない。まずはカードをある程度憶える必要がある。
カルドセプトTCGとしてはかなり特殊で、他人の手番に手札が見えるので何を持っているか調べようがあるのだが、リボルトでは下画面をタッチすればいつでも手札が確認できるようになった。これにより不意打ちはほとんどなくなったが、しかしカード名から効果が把握できなければ意味がない。
とりあえず序盤戦では武器/防具の増加量を把握しておくといいだろう。

  • 武器
    • ST+20
      • メイス
      • マグマハンマー(強打)
      • ストームスピア(強打)
      • ドリルランス(貫通)
    • ST+30
      • ロングソード
      • イーグルレイピア(先制)
      • ムーンシミター
    • ST+40
      • バトルアックス
  • 防具
    • HP+30
      • チェインメイル
    • HP+40
      • スケールアーマー
    • HP+50
      • プレートメイル
    • その他
      • スパイクシールド(ダメージ半減・反射)
  • 巻物
    • ティアリングハロー(貫通、ST実質45)
    • スパークボール(貫通、ST40)

全アイテムではなく序盤で遭遇するもののみ抜粋した。数値だけでなく、強打や先制など計算を狂わせる可能性のある能力には注意。
戦闘に入る前に結果が計算できるようになると、たとえば「敢えて高額領地を踏んで奪う」とか、攻撃を受けて「これは防具付けても無駄だから手札を温存する」といった判断が効くようになる。

ブックの鍛え方

1戦終えると、上画面に総魔力の変動グラフが、下画面に色々なデータが出る。これを見ると、上手くいった部分と駄目だった部分が見えてくる。
たとえば侵略の成功率が低い場合、ブックに攻撃力が足りていない可能性が高い。防御の成功率が低いなら防御力不足。カードを集めて不足を補いたい。
また、序盤の魔力増加率が低いようならうまくクリーチャーを召喚できていないか、召喚コストが高く資産増加に結び付いていない可能性がある。たとえば召喚に制限のあるカードが多いとか、クリーチャーの枚数が少ないブックだと、序盤に召喚できないままダイス振って移動するだけ、ということになりかねない。まあ「出目がぴったり特殊地形か敵領地にしか止まらないので召喚できない」みたいな不運はどうしようもないが、そちらはホーリーワードなど移動系スペルで補おう。

とりあえず、まったく役に立たないスタチューの入れ替えから始めるといいだろう。
ブック火地で始めた人はキングバランを入れるといい。ST60の高火力クリーチャーで、マグマハンマーを持たせればST120の強烈な攻撃が可能になる。HPも50と高いので、奪取拠点の防衛にも十分な性能を発揮する。ただしコストは少々高め。地属性を増やすなら同じく高STで先制無効も付いたグレートタスカーもいいだろう。
ブック水風の人は先制持ちで水・風どちらにも置けるサーペントフライやアイテムを遠慮なく使えるケンタウロストリトンあたりがいいかも知れない。
またアイテムではレア度Nのクリーチャーに持たせると強いプラックソード、落とせない拠点を踏んだ時に通行料を0にするムーンシミターなどがおすすめ。
いずれもレア度Nから選んだので入手はしやすいはずだ。

アイテムはあまり枚数を増やさないこと。戦闘の時にしか使わないカードなので、枚数が多いと手元でダブついて無駄に捨てるはめになる。相手から攻撃を受ける可能性を考えれば防具は切らしたくないが、武器はそれほど必要な場面は多くないので、必殺の武器をほんの2〜3枚でいい。
クリーチャーはブックの半数よりちょっと多いぐらいがいいだろう。

連鎖と資産と通行料の関係

上ではさらっと流したけど、連鎖するとどんな良いことがあるのか、具体的な数値で示しておこう。

土地の価値

土地を連鎖=同じ属性を2つ以上占領すると、それだけで土地の価値が上がる。
土地魔力表

土地Lv 単領 差分 2連鎖 差分 3連鎖 差分 4連鎖 差分 5連鎖 差分
1 100 +50 150 +30 180 +20 200 +20 220 -
コスト(差分) +100 -80(20) +150 -80(70) +180 -80(100) +200 -80(120) +220 -80(140)
2 200 +100 300 +60 360 +40 400 +40 440 -
コスト(差分) +200 -160(40) +300 -160(140) +360 -160(200) +400 -160(240) +440 -160(280)
3 400 +200 600 +120 720 +80 800 +80 880 -
コスト(差分) +400 -320(80) +600 -320(280) +720 -320(400) +800 -320(480) +880 -320(560)
4 800 +400 1,200 +240 1,440 +160 1,600 +160 1,760 -
コスト(差分) +800 -640(160) +1200 -640(560) +1440 -640(800) +1600 -640(960) +1760 -640(1120)
5 1,600 +800 2,400 +480 2,880 +320 3,200 +320 3,520 -

ちょっとわかりにくいかも知れないが、縦が「同じ連鎖数で土地レベルが上がった時の価格変化(およびレベル上げに費した魔力との差分)」、横が「同じ土地レベルで連鎖数が上がった時の価格(および魔力の増加量)」。
土地レベルが同じでも、連鎖すると土地価格は上がる。2連鎖だと1.5倍、4連鎖なら2倍。連鎖した複数の土地が一度に上がるから、総魔力は結構大きく上がる。たとえば単領の1Lv×5なら資産価値は100×5=500だが、5連鎖だと220×5=1100となって+600。
一方、レベルを上げることでも資産価値は上がる。土地レベルアップに必要なコストは土地の基本価格の80%だから、投資価格から見れば25%だけ資産が増える計算になる。5Lvにまで引き上げるには80+160+320+640=1200Gもかかるので、そうまでしても単領だと資産増加たった300(100→1600G)と全然見合わない感じがするが、2連鎖にするだけで150→2400Gと差し引き1050の増加、3連鎖なら180→3200Gで1820Gもの増加。これぐらいになると投資魔力を完全に上回る増加が見込めるのですごく割が良い。
もちろん連鎖を増やすためにも実際には召喚コストがかかるのだから、連鎖による総魔力増加はこの表より若干少なくなるはずだけれど、明らかにそれを上回る価値があるので連鎖は積極的に作ろう。

土地の通行料

上のは土地そのものの価値の話だが、次に説明するのは土地の価値を上げることによる通行料の変化だ。

土地Lv 単領/通行料 2連鎖/通行料 3連鎖/通行料 4連鎖/通行料 5連鎖/通行料 割合
1 100/20 150/30 180/36 200/40 220/44 ×0.2
2 200/60 300/90 360/108 400/120 440/132 ×0.3
3 400/160 600/240 720/288 800/320 880/352 ×0.4
4 800/480 1200/720 1440/864 1600/960 1760/1056 ×0.6
5 1600/1280 2400/1920 2880/2304 3200/2560 3520/2816 ×0.8

通行料はレベルによって地価に対する割合が変化する。地価そのものが上がるので連鎖すればその分だけ通行料も上がるが、5連鎖するよりレベルをひとつ上げた方が通行料の上昇割合は高い。防御力も上がるから、足止めクリーチャーなど通行料で戦うブックコンセプトなら連鎖が低いうちから積極的なレベル上げも悪くない戦術だろう。

一応、入門的記事として「カードバトルで勝とうとするな」「スピードアップで勝とうとするな」「通行料で勝とうとするな」ということを書いたが、それはあくまで「基本戦術ではない」というだけの話で、必ずしも常にそれが悪いやり方だというわけでもない。ブックの構成次第では基本から外れた戦術だって充分にアリだ。ただそれは、基本を知った上でやるべきことではあるが。

Kindleの整備

iPadをAir2からPro9.7に買い替えた。初めてiPadを導入したminiの時は、即日購入できるモデルということで32GBを選択したところ容量が全然足りなかったので、Air2では最大の128GBを買ったにも関わらずKindle端末として本格利用を開始したら容量の大半を喰い潰してしまった(Kindleだけで72GBほどある)ので、Proかどうかの問題よりも容量を倍にしたかったというのが主な動機である。

機種変更の際には色々と設定やデータの移行が必要となるが、基本的にはアプリのデータなどはほぼ全てiTunes経由かクラウドで同期可能なので、あまり問題はない。
しかし毎度ながら深刻なのがKindleだ。無論こちらもサーバ側に購入情報がすべて保存されており、アカウント認証さえすれば同期できるのだが、なにぶん量が多い。とはいってもまだ1500冊まで行かないぐらいだが、これらを順次ダウンロードし直さねばならない。

kindleには自動での同期機能がないので、ダウンロードは手動である。コレクション単位では一括のダウンロードが可能なので「メンテ用」と名付けた、(期間限定無料本などの不要分を除いた)全タイトルコレクションを作ってあるのだが、これはこれで運用が難しい:なにしろ一括ダウンロード開始はできても一括停止機能はないのだ。
Kindleサーバからのダウンロードは決して速くはなく、光+Wi-Fi(5GHz)の高速回線であってもコミック1冊(およそ40MB程度)に1分強かかる。明らかにkindle側のサーバ回線がボトルネックなのだろう。常時多数のユーザが接続しているのだから致し方ないとはいえ、1冊1分で1400〜1500あると単純計算で丸々24時間程度かかることになるわけで、よほど時間に余裕がある時でもなければ厳しいものがある。
たとえばダウンロード中に優先して読みたいタイトルができたとしても、既にダウンロード予約されている分を手動でひとつひとつ取り消してゆくか、諦めて全部ダウンロードされてくるのを待つしかなく、そう考えると一括DL用メンテコレクションはあまり良い方法ではない。
また、何故か一括ダウンロードしておくと少なからぬ割合で「データの壊れた」本ができてしまう:開こうとすると「削除してダウンロードし直してください」というアラートが出るので、これも手動でメンテせざるを得ないが、実際に開いてみるまでわからないので面倒だ。
結局、一括は諦めて「読む時にシリーズまとめてダウンロード」という運用にシフトしつつあるのだが、こちらも例えば検索したものを一括ダウンロードする機能などはないので、手動でどうにかするか、あるいは冊数の多いシリーズなどは個別にコレクションを作る必要がありそうだ。

NERFに装飾を

f:id:DocSeri:20160618140641j:plain
何度でも書くけどNERFは塗装すると見違える。というわけでNERFリペイント・プロジェクト第三弾は8銃身ショットガン「ROUGHCUT」の銃身装飾。

(なお第一段と第二弾はこちら。)
d.hatena.ne.jp
d.hatena.ne.jp

前段

きっかけはこの写真だった。
https://img0.etsystatic.com/048/0/9910733/il_fullxfull.672839814_6vu8.jpg
金属色に塗られたボディに、手掘りの蔦模様。あまりの渋さに、それまであまり興味を持っていなかったROUGHCUTが俄に魅力的に思えてきて、しかし既に国内正規販売がなかったのでオークションで入手。

さて、どうやって装飾を施すかが問題である。直接彫り込んでゆくのが一番手軽かも知れないが、それでは上の写真でやっていることの真似でしかないし、それに彫刻の心得はないので綺麗に彫れる自信はない。
そもそも銃身彫刻というのは確かに「平滑な面を鑿で彫り込む」ものではあるのだが、線を彫り込むというよりは「線を残して周囲を彫り込む」感じが一般的で、つまり装飾部分が立体的に残るイメージになる。また別の素材(たとえば金など)を象嵌して元の平面より盛り上げて装飾する場合もある。
どうせならそういう立体感も出したい。

そういうわけで、既存の装飾を切り貼りすることを考えた。既製品が使えるなら形の揃った綺麗な装飾が可能になるし、一石二鳥だ。
問題は、そういう装飾に心当たりがないことで。スーパーで扱ってるオードブル盛り合わせとかの載ってるペラペラの樹脂にメッキしたような皿とかに蔦模様っぽい装飾あったりしなかったっけ……と業務用品の通販などを検索してみるも、いい感じのものが見当たらない。
妻に助言を求めたところ「そういう装飾用の飾り紙があるよ」と紹介してくれたのが、ドレスデンペーパーあるいはドレスデントリムスと呼ばれる、箔押しの厚紙をエンボスして打ち抜いたものである。
zakka-minimini.com
様々なデザインのある中から蔦模様として使えそうなものをいくつか購入してみた。

工程

さて、NERFをバラして下加工してゆこう。
分解と塗装の基本的な情報は下記を参考にされたい。
http://www.saba-navi.com/2015/05/28/nerf_repaint_custom_02/www.saba-navi.com
塗装にあたり大きな懸念になるのは可動部品の摩擦による塗料剥がれである。ROUGHCUTの場合、可動部品はスライドグリップとトリガーの2点だ。
トリガーについてはこれを見越してパワーのある米国仕様のオレンジトリガーモデルではなく国内向けのグレイトリガーモデルを購入しておいたので、無塗装で済ませるつもりである。
問題はスライドするフォアグリップの方で、中古であったため既に本体のフォアグリップと当たる部分に擦れが生じているのが確認できた。この部分については何らかの対策が必要だろう。そこでサイドに直線的な溝を彫ることにより直接の接触を避け、またフォアグリップ側も僅かに削って隙間を確保することにした。ついでに側面の滑り止めは時代的なイメージに合わないので、これも削り落としておく。

ドレスデントリムスは部品ごとに切り抜き、大きなものから先に箇所を決めて瞬間接着剤で貼ってゆく。それから隙間を細かい模様で埋めて、バラバラの模様が一つながりに見えるように配置してゆく。
片面ができたら、ほぼ対称になるように裏面を貼る。側面は見比べないので細かな違いがあっても大丈夫だが、上面は比較しやすいのでなるべく位置を合わせる。
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形状の加工がすべて済んだら、塗装のために表面へ黒のサーフェイサーを吹いて下塗りとする。

塗りの前に塗料をチェック。しばらく使っていないものは揮発して固まっていたりするので、検品を兼ねて適当な紙に色を塗って発色をチェックし、使う色を決める。ついでに木目の塗り方についてもテストしてみる。

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フォアグリップの木目塗り。下地を黒で塗ったのでミディアムグレイをドライブラシして全体的な木目の流れ方向を作りつつ面相筆で黒を細く乗せておく。
その上からクリアオレンジを筆塗りしたのが右の状態、さらにクリアレッドも塗ったのが左。マホガニーっぽい仕上がり。

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銃床の方は色を変えたかったので塗り方を変えてみる。バフで下塗りした上にレッドブラウンとブラックで細い木目を引いてゆき(右)、その上からクリアオレンジを塗る(左)。
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更にスモークグレイを重ねたのが左の状態。クリアオレンジまでの右、クリアレッドを重ねたフォアグリップ(中)との比較。

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本体の塗り分け。元々の塗装イメージに合わせ、青だった部分はブロンズで、白だった部分をフラットアルミで塗り潰す。

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貼り込んだ装飾部分にリーフゴールドを乗せてゆく。

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フラットアルミで銀色に塗った帯の部分には面積の広い装飾を多く貼っているので、すべてをリーフゴールドで塗ってしまうと銀色っぽさが出ない。そこでやや白っぽい色合いのチタンゴールドを塗ってみたが、それだと下のフラットアルミとのコントラスト差が弱い。というわけで最終的にリーフゴールドで縁取った。

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微細な模様を浮き上がらせるためにスミ入れ塗料を塗る(左)。無加工(右)に比べ色合いが落ち着き、凹凸が強調される。

タミヤ スミ入れ塗料 (ブラック)

タミヤ スミ入れ塗料 (ブラック)

一通りの塗装が終わったら、仮組みして全体のバランスをチェック。ここで最終的な修正を終えたら仕上げにトップコートを吹いて表面を保護する。
組み上げて動作テストしたら、作業完了。
事前の表面加工に1日、ドレスデン・トリムスでの装飾に片面2日、塗装に1日を費した。

完成

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前装式 金銀象嵌銃、銘「乱切」二連四射(Engraved-Gun-like, NERF RoughCut 2x4 Blaster mod)。

Macでファイルを便利にアレコレする

仕事の都合で、大量のファイルを一気に処理せねばならないことがある。ひとつひとつ手作業でやると退屈すぎて注意力散漫になるのでミスも増えるし、時間もかかる。なるべく一気に自動で済ませてしまいたい。
アレコレ、といいつつ2つしか書いてないのは、とりあえず自分に必要なのがこの2点だったから。

画像の圧縮

Web用の画像ではわりとピクセルサイズやファイルサイズが指定されることが多い。もちろん少数ならばPhotoshopでちょいと書き出してやれば済むのだが、点数が多くなってくるとなかなか面倒だ。アクションを作ってバッチファイルで自動処理させる手もあるのだが、ピクセルサイズの変更はともかくファイルサイズの方はちょっと困る:Photoshopのファイル保存機能はなぜかファイルサイズ指定で圧縮率を調整しても、設定としては圧縮率しか保存できない=異なる画像を同じ圧縮率で保存することは可能でも同じファイルサイズで保存する機能はないのだ。

そんなわけで「指定ファイルサイズに収まるように再圧縮する」フリーウェアを探してみたところ、Windows用に「縮小専用。」というソフトを発見、そのAdobeAir版がMac上での動作に対応していた。
縮小専用AIR | i-section.net
ウィンドウへのドラッグ&ドロップで複数ファイルの一括加工が可能。ただしフォルダごとのドロップには非対応のようで、やってみたら考え込んだまま動かなくなってしまった。
定型サイズへの変形(長辺を指定サイズに)や圧縮率指定、画像へのフィルタ加工などの機能もあるが、ここで重要なのはファイルサイズ指定機能。元サイズがどうであれ指定サイズ以下に圧縮し直してくれる。
加工済みファイルは頭または尻に文字列を付加して元フォルダに保存するか、あるいは設定したフォルダ名で新規フォルダを作ってそこに保存してくれるので、元ファイルを上書きしてしまうことはない。

ファイルのリネーム

多数のファイルを扱う仕事では、ファイル名の付け直しに追われることも少なくない。ひとつひとつ手作業でやるのは面倒なので、ある程度の規則性があるなら一括で処理したいところだ。
ファイルリネームのためのアプリではこの「Shupapan」が随一だろう。
Sunskysoft - Shupapan|Shupapan
ファイル名を連番に変更、あるいは連番付きに変更、日付の付加、拡張子の変更、大文字←→小文字や全角←→半角、ファイル名の文字数を頭または尻から指定字数削除あるいは字数残し、指定文字列の置換では正規表現に対応、更には機種依存文字の削除やファイル名文字化けの修復と至れり尽くせりの機能性である。
ドラッグ&ドロップはフォルダごと可能、階層も保ったまま読み込める。ファイル名は処理前に結果をプレビューでき、必要に応じ対象/対象外をチェックボックスで切り替えも可能。

世紀末NERF伝説

NERFといえば、米国のトイガンである。安全性の高い大型の低圧弾を使用するため国産のエアガンに比して発射機構が大振りで、そのぶんメリハリの効いた「ゲームや漫画にしか登場しないような」雰囲気が魅力的である。

最近ではラインナップを拡充して、機能面では従来の製品を改良し飛距離・精度を高めた「ELITE」、通常より大型サイズの弾を使用する「MEGA」、通常弾よりも飛距離の出るディスク弾を使用した「VORTEX」、ゴルフボールのようなディンプル付き球弾を使用する「RIVAL」、各パーツに互換性を持たせ組み換え可能な「MODULUS」、(その他に水鉄砲シリーズ「Super Soaker」、)またデザイン面では女の子をターゲットにした「Rebelle」、それにポストアポカリプスなデザインの「ZOMBIE STRIKE」と「DOOMLANDS 2169」がリリースされている。

注目したいのは最後の2ラインナップだ。
従来のNERFはわりとSF的な「未来のハイテク銃」路線でデザインされていた。ELITEはその路線を引き継いだ正当ラインだしVORTEXは光線銃的なイメージだ。
それに対してZOMBIE STRIKEとDOOMLANDS2169は「現代文明が災厄により崩壊した後の世界」を生き抜くための銃としてデザインされている。つまりMAD MAXとか北斗の拳とか、そっち方面だ(いやZOMBIE STRIKEの方は名前通りゾンビものサバイバル世界なんだけど、まあやることに大差はない)。

たとえばSlingFireはトリガー下部のレバーによるコッキングで次発を装填する「レバーアクション」と呼ばれるタイプのメカニズムを備えたブラスターだ。19世紀末に好まれた機構だが、現用銃ではほとんど使われない。
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/B00ILD5AJO/wissenschaft-22www.amazon.co.jp

[REVIEW] Nerf Zombie Strike Slingfire Unboxing, Review, and Firing Test
こんな風に派手なアクションによるリロードが楽しめる。

また、SlingFireと外見も名前も似ているSledgeFireの方は中折れ式で、専用カートリッジに通常のダーツを3発込めて同時発射する、一種のショットガンである。
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/B01G81FMIY/wissenschaft-22www.amazon.co.jp


Nerf Zombie Strike Sledgefire Review and Shooting

極めつけはDoominator、「破滅の支配者」である。これは6発装填のシリンダーをレバーアクションで切り替えて24発連射できる代物で、引き金を引いたままフォアグリップを引いてコッキングすれば連射も可能なスラムファイア対応。
www.amazon.co.jp

Nerf Zombie Strike Doominator Unboxing and Review

派手なギミックは射撃部分だけではない。CrossCutはなんと銃身の左側に丸ノコを装備、発射トリガの下にもうひとつあるトリガで回転する。
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/B01G81FMGQ/wissenschaft-22www.amazon.co.jp

NERF - 'Zombie Strike Crosscut Blaster' Official T.V. Spot
このように、結構激しく回転する。まあウレタンなので当っても痛くはないのだが。

どうですこの一連のギミック。ちょっと欲しくなっちゃいませんか。
いかにもオモチャ然としたカラーリングがイマイチ、という向きにはご自分で再塗装されることをオススメする。きっと見違えるから。
https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/736x/4f/ce/ed/4fceed79882974826a2fba3cda5c76cf.jpg
http://img01.deviantart.net/cb5a/i/2014/250/b/d/nerf_slingfire_zombie_custom_by_billy2917-d7y9byh.jpg
http://img10.deviantart.net/518e/i/2013/307/a/8/nerf_sledgefire_by_billy2917-d6suoou.jpg
https://s-media-cache-ak0.pinimg.com/736x/2e/72/8c/2e728ccb6d1c128a5fd6cb53ebd40220.jpg

なお、世界設定の近いDOOMLANDSの方は12発ドラムマガジンのカービンとか手動ガトリングっぽいロングバレルブラスターとか、こちらもなかなか格好良いのだが、差し当たって国内展開がなさそうで残念。こちらは特有のギミックとして「アウターパーツ半面がクリアになっており内部動作を鑑賞できる」という特徴があるのだが、雰囲気を出すならこの部分は塗り潰さざるを得まい。

カルドセプトの構造的問題と解決策を探る

カルドセプトは、発売当初からその面白さが高く評価され、爆発的なヒットこそしないものの、ほぼ全タイトルでファミ通殿堂入りなど着実に注目を集めてきたタイトルである。
その一方では、「面白いのにユーザが増えない」という苦悩を抱えるタイトルでもある。面白いのだが、面白さが理解されにくい。あるいは何らかの「いまいち面白いと感じられない」要因がある、ということだろうと思われる。

新作カルドセプト リボルトではスタートダッシュVer.が先行配信され、購入特典以外にもマイニンテンドーのプラチナポイント500で入手可能とあって体験版的に新規ユーザが入ってきているようだが、実際Twitterなどでの反応でも「やってみたけどイマイチ」的なものがちらほら見られる。
もちろん万人に受けるゲームなどは存在しないので合わなかったという人がいるのは致し方ないことではあるのだが、引っ掛かるポイントが明白ならばそれを改善できないか考えるのもまた重要なことだ。
ざっと拾ってみると、おおよそ次のような点に不満が見られるらしいことがわかってくる。

  • 1プレイに時間がかかりすぎ
  • ダイス目が悪いとストレス
  • 戦闘で勝てない

プレイ時間の問題

これはまあ、以前から問題視されてはいて、だからこそリボルトではルールの変更を含めた改善を行なっているわけだが、しかし本質的に対戦ボードゲーム、とりわけプレイ人数の多いもので時間がかかるのは、ゲーム構造上致し方ない。
一人あたりの手番が30秒で済むとしても4人いれば1ラウンドあたり2分を要することになる。短かめのゲームでも20ラウンド前後はかかるので1戦40分。白熱すれば考える時間も長引き、あるいは激しい攻防で一進一退して、その分だけゲーム時間も増え、1時間ぐらいは見込まざるを得ない。
ボードゲームとしては1戦あたり60分程度はごく標準的なプレイ時間で、特段に長いということはないのだが、コンピュータゲームとしては一区切り1時間というのは結構長く感じられてしまうだろう。
ボードをコンパクトにしたり目標額を下げるなどすれば多少は短かくできるのだが、そうすると多人数では競争が激しくなりすぎて後手番が出遅れるし、体勢があまり整わないうちにもうゴールに至ってしまうので「実力を発揮して勝った」というよりは「運が良かった」感じになってしまうだろうと思われ、ゲームとしてはむしろ改悪になりかねない。
あるいは1on1を標準にしてしまうというのもいい。4人戦と比べて待ち時間は1/3になるわけで、体感的にも実質的にもかなり軽くなるはずだ。
いずれにせよ、根本的には「ボードゲームだから時間がかかる」ので、短縮には慎重にならざるを得ず、体感の圧縮以上の改善は難しい。

他人の手番で受ける影響について
この件、


という指摘があり御尤もと思ったので追記。
ボードゲーム界隈でも、昔から「手番が回ってくるまでのダウンタイム」は問題として挙げられていたが、これは主に「手番以外ではアクションを起こすべき変化がほとんどない」ことによるもので、不利が問題になっているわけではない。たとえばこの問題に「手番処理中に他プレイヤーもリソースを得られる(場合がある)」ことで応えたカタンでは、「泥棒」による不利益の生じる可能性もあり、一概にプラスの影響が重要というわけでもなさそうだが、ともあれ「主にプラスが生じる」のではある。
対して他人への干渉が強いゲーム、たとえば対戦型TCGなどでは手番外に自分の資産への干渉とそれに対するリアクションが求められることでダウンタイムがあまり「ただ待つだけ」にはならない。他人の手番で発生する影響はほぼ確実にマイナスであるにも関わらず、それがネガティヴなイメージになっている感じはない。

カルドセプトの場合、丁度その中間にあって「他人の手番で自分へマイナスの影響が生じる」けれどもリアクション権が「戦闘時のアイテムにしかない」というバランスが、ダウンタイムに対するネガティヴな印象を強めているのは否めない。
解決策のひとつは「スペルによる干渉をなくす」だろうか……自分への強化はできても他人への妨害はできないようにしてしまえば、ネガティヴさは弱まる。あるいは逆にスペルへのリアクションを用意する方法もあるが、今度は最大3人からの干渉があり得て面倒になる。
ただスペルの干渉効果を弱めると直接戦闘以外での変化が弱まるのでゲーム展開は些か単調になるかも知れない。難しいところだ。

ダイス目の問題

「ダイス目が悪い」にも2種類あって、ひとつは「高額領地を踏んでしまって負ける」、もうひとつは「目が低くて周回に時間がかかる」。
前者については「奪えるようにブックを組む」あるいは「ダイス目をスペルで固定して運の問題でなくする」のが適切な改善策であって、ゲームの側でやれることがあるとすれば戦果でブックの解析を絡めてアドヴァイスを出す程度だが、後者は要するに「スゴロク風であること」が根本的に抱える問題と言える。
スゴロクというのは要するにレースゲームだから、基本的には「大きい目を出すほど良い」。カルドセプトでも周回ボーナスなど「早く回る方が有利」な面はたしかにあるので、余計にその感覚を強めているのだが、しかしカルドセプトの本質は実のところ陣取りと資産運用のゲームであり、周回は単に手持ちの魔力が増える程度の効果しかない。この「見た目の印象と実態に乖離がある」のが、ダイス目(が小さいこと)に必要以上の悪印象をもたらしているように思われる。

実際にはカルドセプトでの小さなダイス目はむしろ連鎖を得やすくなる分だけ有利に働くとすら言え、(飛び越えたい場所を踏んでしまう時以外では)悪いものではない。特にラウンドゲインがある分だけ魔力のやりくりが楽になったリボルトではその傾向が強い。
いっそ「小さい目の時には魔力ボーナス」とかあれば目の印象も違うのかも知れないが、それでは小さな目が強くなりすぎてしまうか。
あるいは周回をダウン回復・HP回復効果のみにして周回ボーナスの概念をなくし、その分を分散してラウンドゲインにしてしまうというのはアリかも知れない。

戦闘問題

これもデザイン上の誤謬なのだが。
前述の通り、カルドセプトは陣取りと資産運用のゲームだ。「連鎖を得ること」「連鎖した土地のレベルを上げること」が最も重要な要素で、ある意味それ以外はすべて装飾に過ぎない。
しかし楽しさの比重は明らかにブック構築にあり、ブックの機能の大半は戦闘にある。だからどうしても「戦闘力の高いブック」を組んでしまいがちだし、またそれが時折有効に機能して高額領地を奪って逆転したり拠点防衛でがっぽり分獲れたりという成功体験をもたらすものだから、「もっと重要なこと」に気付きにくく、だから「なかなか勝てなくて苛々する」ことになる。

ここはチュートリアルの不足が問題であるような気もする。前作でも今作でも、「連鎖を作れ」「レベルを上げろ」ということはもちろん言われているのだが、「連鎖がどれだけ重要か」は軽くスルーされてしまう。
レベルアップコストが土地価格の8割になった今作でこそ「単領でもレベルを上げれば総魔力が(投入した魔力の25%だけ)増える」のだが、前作までは単領では一切増えなかったし、その一方で連鎖は「2連領でも価値は1.5倍」「4連領なら2倍」と劇的だ。たとえば単領では1Lv土地(100G)→5Lv土地(1600G)には1200Gの投資に対し総魔力の増加はたった300G(投資分の1/4)に過ぎないが、2連領になっていれば土地価格は150G→2400Gになるので実質魔力増加は+1050Gと、単領の3倍以上になる。3連なら土地価値は1.8倍、5連領にもなれば2.2倍だから増加割合は更に増加するわけで、単に「通行料を高める」「防御を固める」以上に大きな意義がある、という点はもっとプッシュされるべきだろう。