サタスペ:情報戦ルール改訂案

RPGに於いて情報収集は核となる部分である。目的とする情報を入手できれば話はもう半分終わったも同然。
単なる宣言と乱数処理に陥りがちな部分にサタスペは巧く独自の処理を取り入れているが、得られる結果がほぼランダムになってしまう辺りもう一工夫欲しいところだ。
またプレイヤーサイドが一方的に情報を得る処理としては優れているのだが、亜侠同士が諜報戦を繰り広げるような使い方は想定されていないように思われる。
というわけで情報収集ルール改訂案。

目的情報の「場所」を探る

ルールブックに拠ると最初にDDが目的カテゴリと深度を宣言、それに向かってブランチツリーを伸ばすべく収集して回るもののようだが、目的カテゴリそのものを探るというのはどうだろう。
6カテゴリ×6タグの表を元に、それぞれのキャラクターが収集した情報ノードのカテゴリ列/タグ行が目的とする情報のそれと一致するかどうかをDDが告げる。どちらか一方のみ一致であれば「類似」両方一致であれば「一致」。各自の得た情報を繋ぎ合わせることで目的情報ノードが判明、あとは深度を掘り下げるだけだ。
目的情報は複数あってもいいと思う。一部だけでも目的達成とするのか、全部集める必要があるのかはDDの判断次第だが、これによって目的の割り出しが複雑化し更に面白みが増す。

リンク判定の変更

元ルールでは成功度に応じ複数本のリンクを得ることになっているが、リンク先はランダムのため必要深度で目的ノードに到達できる保証がない。
そこで、深度に応じ調査ノードと同一または隣接ノードへ移動できるルールを追加する。深度と同数の成功度を消費することで、ランダムリンクの代わりに同一または隣接する指定ノードへのリンクを得ることができる。あるいは2階層深い情報へランダムリンクを張るか、情報イベント表を振っても良い(ただしこの効果は深度に関らず1調査判定につき1回限り)。残った成功度は普通にリンクまたは情報イベント取得に使用できる。

金による調査難易度修正

深度×1の支払いにより調査判定の難易度を1下げることができる。「サイフ値より2以上低ければ」の原則に従い難易度を2以上一気に引き下げることは可能だが、深度以下に下がることはない。

情報戦

PCが情報を収集しようとするのに対し、敵はそれを隠蔽しようと画策することがある。
また、場合によってはPC側が情報収集される立場になることも考えられる。その場合、PC自身がこうした妨害テクニックを利用しても良い。
隠蔽テクニックとしては2種類考えられる:

妨害

流通情報への圧力などにより情報そのものを入手し難くする工作。情報深度の2倍を支払い、深度+5を目標とする犯罪判定で成功度が深度を1上回るごとに指定ノードに於ける難易度を1上げることができる。
妨害は必ずしも目標となる情報そのものに仕掛けなくても良い。それ以前の段階で、真の情報へと至るべきルートを押さえることで妨害することも可能である。まあ特定深度の全ノードを押さえようとすれば36×SL×2ものコストが必要となるわけで、それだけ人の口に戸を立てるのは難しいというわけなのだが。

攪乱

目的とする情報の深度より浅いところにニセの情報を仕掛ける工作。必ず真の情報と同一または隣接ノードの、1以上浅い階層に置かれる。
このニセ情報に到達してしまった場合でも情報戦は終了となり、間違った情報が与えられる。回避する術は基本的に、ニセ情報を飛び越えて深いノードからアクセスするしかない。
ニセ情報を仕掛けるには対象となるノードの情報深度の二乗を支払い、深度+5を目標とする教養判定で情報深度以上の成功度を得なければならない。
なお、このコストは深度ごとに分割して支払っても良い。例えばSL4に仕掛けたいと思った時、まずSL1相当の価格1、次にSL2相当の価格4から支払い済の価格1を弾いた3、更にLS3で残り5、LS4で残り7と支払うこともできる。支払い主もその度に代わって良い。

SRPG探求

時々無性にSRPGの類がやりたくなる。元々思考型遊戯志向が強いのでウォーゲームとか非アクションパズルとか、そういう即時性を要求されないゲームを好む性質なのだが、世間一般にはむしろアクションの方が好まれるし、静的ゲームというと大半がRPGだ。あれはあれでストーリの牽引力という魅力はあるもののレベル上げがウザいとか戦闘が単調になりがちとかいった問題を抱えるので個人的な評価の低いジャンルである。ストーリを楽しむならRPGの本質であるAVGの方が上だし、私の好むところでもあるが、これはこれでシナリオライタの手腕にすべてがかかってしまうので良作がほとんど得られない。


SRPGの成立はどうやら1990年「ファイアーエムブレム」にまで遡るらしい。以来様々な作品が現れては消え、それぞれが独自のシステムを発展させたが、ストーリやキャラの成長周りのシステムを取り除いて純粋な戦闘処理のみを取り出してみると然程進化が見られないように思われる。取り分け近年の作はむしろストーリを楽しむ手段として戦闘が付随的になり下がっている感さえあり、純粋に様々なシチュエーションでの戦闘を楽しみたい向きには不満があった。
が、ここにきて漸くシステムそのもののオリジナリティを問う作がいくつか登場してきたようだ。
ともあれ戦術指向の強いSRPGを探してみようかと色々検索して、特徴的なものだけピックアップしてみた。

ポイズンピンク

POISON PINK ポイズン ピンク

POISON PINK ポイズン ピンク

非常に評価の低いSRPG。ゴシックテイストでダークなファンタジーで、魔物を虐殺し毒液を得たり、捕縛し毒液を与えて使役したりとノリがちょっと特殊な感じである。「オーヴァキルすると経験値が増える」のは目新しい。
グラフィック、サウンドはかなり評価されているものの肝心のシステムには不満が多いらしい。ただ、不満の大半は「戦闘エフェクトをONにすると読み込みが長い」「OFFにするとキャラが棒立ち」「フリーバトルがないのでレベルアップが厳しい」といった辺りに集中しているようなので、私にとってはあまり問題にならないような気がしている。その一方で、販売元・製作元が私の個人的な評価の低いキャラゲーサモンナイト」シリーズと同一なので期待できないかもしれない予感もある。


公式サイトの作りはちょっと面白い。メニューごとに同一の大きな画面上を移動する構造。Webデザイン手法として参考になる。


中古で送料込み1500ぐらいで入手できたので買ってみた。後日プレイして感想を描く。

偽りの輪舞曲

偽りの輪舞曲(ロンド)(特典無し)

偽りの輪舞曲(ロンド)(特典無し)

DS用のSRPGを探していて辿り着いた。ちょっと普通のSRPGとは違う感覚のゲーム。

普通のSRPGは移動を移動力の消費のみで処理しており、要するに始点と終点しか考慮されないが、このゲームではタッチペンにより自由なルートを指定でき、その間に触れたすべての敵に連続で攻撃してゆく。また途中で味方に触れれば支援を受けることができる。
なかなか斬新なシステムだが表現力が些か貧弱で、どこまでノれるか心配でもある。
公式サイト

JEANNE D'ARC

ジャンヌ・ダルク PSP the Best

ジャンヌ・ダルク PSP the Best

レベルファイブ制作のPSPSRPG。今日紹介する中では一番タクティカルな感じを受ける。
システム上の新機軸はふたつ。
攻撃成功時に敵を挟んで攻撃者と反対側のマスに出現する「バーニングサイト」。これに入ったキャラは攻撃力が上昇する。またバーニングサイトは効果を保持したまま移動可能であるらしく、バーニング状態のキャラの攻撃により生じたバーニングサイトは更に効果が高くなる。つまり後半になると全般にかなりダメージが高くなるということか。挟み討ちにすると味方同士の攻撃が互いの攻撃力を強化していい感じ。
もうひとつがコネクションガード。キャラの周囲8マスのいずれかに味方がいると防御力が高まる効果で、人数に応じて上昇量が変化する。つまり密集陣形を組めばそれだけ攻撃に耐え易くなるということだ。


システムから予想する限りはかなりシビアな戦闘になりそうで期待が持てる。手元にPSPがあったらまず間違いなく買うんだが。
公式サイト

7(セブン)〜モールモースの騎兵隊〜

7(セブン) ?モールモースの騎兵隊? PlayStation 2 the Best

7(セブン) ?モールモースの騎兵隊? PlayStation 2 the Best

この辺からはついでに経験済みゲームの中からも少し紹介。
SRPGの範疇からははみ出す作品だが、思考性の強いRPGとして紹介しておく。
3列×5のマスに7人のメンバを並べるフォーメーションバトル。前列は攻撃し、中列は前列をサポートし、後列は回復する。
戦闘中、ローテーションにより前列を後列に下げ残りを1列前に出すことができる。こうすることで傷ついた仲間を回復し新たなメンバで攻撃するわけだが……
実はクラスごとに能力にはかなり差があり、攻撃・サポート・回復にそれぞれ発揮する能力が違う。攻撃系クラスは攻撃力を強力にサポートし、また自身の打撃も強い。魔術師系は攻防ともに高いサポート能力と列全体の回復能力を持つが、自身を回復することはできないし、攻撃能力そのものは非常に低い。
しかもこのゲーム、経験値による成長の概念がない。代わりにキャラクターは年齢で成長し、そして老いる。キャラクターごとに成長期、ピーク期、老化期が設定されており、成長期にあるキャラは能力が低いがどんどん伸び、ピークに達するとほとんど変化しなくなり、老齢に差し掛かると急速に衰える。そうなったら引退させ、成長してきたメンバを後釜に据えるのだ。
一見すれば絵本のような演出によるRPGなのだが、15時間もプレイすると終わってしまう。それもその筈、実はここまでは単なるチュートリアルであり、本番はその後に控える1000年間に及ぶ壮絶な戦争なのである。この部分は前述の通りのシステムによる部隊運用シミュレーションとも言える代物で、それぞれの戦闘そのものよりも周期的な魔物の発生に立ち向かえるだけのメンバを抽出し討伐する、そのマネジメントがシビアすぎる。恐らく初期のプレイでは20年も行けば快挙とすら言えよう、が目標は100年ではなく(最初桁の見間違いかと思ったものだが)1000年である。心してかかるよう。

Ring of Red

Ring of Red ベスト

Ring of Red ベスト

限りなくウォーゲームに近いSRPG。まあ元々SRPGというジャンルにしてからがウォーゲームにRPG的要素を絡めたものなのだから切り分けは難しいのだが、クラスごとの固定性能ではなくキャラごとの性能差が設定されている辺り紛れもなくSRPGではある。
第二次大戦の結果として南北に分割された日本の1960年代という渋い設定のロボットもので、登場するメカのデザインもまた大戦中の独ソ戦車を意識した渋いデザイン。ついでにキャラ絵もまた萌えの欠片もない渋さである。
マップ上での移動処理はごくごくオーソドクスなウェイトターン式スクウェアマップだが、スケーリングはウォーゲームらしいマクロなものである。1ウェイトカウント5分なので一二:〇〇行動の次は一四:三〇とか、そういう感じになる。そのため短かい作戦でも終了まで半日以上、長ければ数日に及ぶ(ゲーム内時間で)。
また攻撃はなんとリアルタイム。90秒の間に機体を前進または後退させて彼我の距離を決め、装填完了を待って主砲射撃姿勢に移行、また随伴歩兵に攻撃を指示する。
随伴歩兵こそこのゲーム最大の特徴であろう。ロボットは単体ではなくそれぞれ3班の歩兵を伴う。1班はロボットに搭乗して主砲装填と特殊砲弾を、残り2班は地上で対人・対装甲戦闘や特殊攻撃を担当する。どの兵種を載せ、どの兵種を地上に置くかで部隊としての能力は劇的に変化する。装填が早くなったり命中率の上昇が早くなったり、あるいは敵ロボットの移動を阻害したり故障箇所を修理したり。
総マップ数20にも満たない小品ながら1ミッションあたりのプレイ時間は3時間以上とヘヴィなミリタリーゲームである。そんじょそこらのヌルいSRPGじゃ満足できなくなった人向け。