江の島に行くのは3回目。初回は新江の島水族館目当てで島へは渡らず、2度目は船で島の裏側から上がってきたが、今回は橋を渡って正面から登る。
橋の右側に見えてくる円筒形の建物は温泉施設。
橋を渡ると、200年前のものだという青銅葺きの鳥居が見えてくる。その奥に見えているのは辺津宮へと至る、竜宮城をイメージしたという「瑞心門」。
途中には食事や土産物の店に並んで旅館の門も。ここは岩本楼、登録有形文化財となった「ローマ風呂」で知られる老舗である。元は鎌倉時代に開かれた宿坊であったという。
www.iwamotoro.co.jp
これが瑞心門。望遠で圧縮された写真だとすぐに見えるが、実際には上り坂を150mぐらい歩く。
これをくぐって階段を登れば辺津宮に行き着くが、ずっと階段を登ってゆくのは結構しんどいので私は上り専用の有料エスカレーター「エスカー」を使う。
辺津宮を抜け、ちょっと下った先に次のエスカーが。これを上れば中津宮に着く。
ここには水琴窟があり、近付くとセンサーにより水が流れ、水盤から零れた水が地下に埋められた甕へと降って水音を響かせる。
水が流れているうちはその音でかき消されやすいので、水が止まってからしばらく耳を傾けると、水滴が水面を揺らす柔らかな音と、それが甕の側面に反響する硬い音とが混じった、なんとも言えない音色が聴こえてくる。
最後のエスカーを登るとその先は、左に展望デッキ、右にサムエル・コッキング庭苑に挟まれたちょっとした広場が。たこせんべいに行列ができていた。
奥津宮だけは、他の宮と離れて江の島を二つに分ける断崖を渡った先にある。
この茶屋通り、実はまっすぐ富士山を望む向きに作られており、天候によってはなかなかの景色が望める。
江の島は古くからの観光地だけに、食事処も土産物屋も「古い」店が多いのだが、奥津宮までの通り沿いは古さを生かした新しいカフェなど雰囲気の良い店も入り混じってくる。上まで登ってからなにか食べるなら、そういう店をおすすめしたい。
このCafe Maduは白い壁に囲まれた、広いオープンテラスを備えるセルフスタイルのカフェ。
そのテラスからは近くの樹上に鳶の姿も。このあたりではかなり近い位置から、たくさんの鳶を見ることができる。食べ物を攫われないよう注意。
そういえば、広場のところで皆が上を見上げていると思ったら電線をリスが走っていた(素早く木を駆け登って消えたので撮れなかったが)。尾がかなり太いように見えたので、かつて飼育され台風で破損した小屋から逃げ出し住み着いたというタイワンリスだろうか。
一連の店舗群を抜けた先には奥津宮がある。
さて、今回の目的は江の島観光それ自体ではなく、サムエル・コッキング庭苑で行なわれるライティングイベント「湘南キャンドル」である。
enoshima-seacandle.com
なお「仏壇用のろうそく」製造企業としてよく知られるカメヤマローソクの協賛であった。
16:30からの入場チケットを予約してあるので、時間に合わせて戻る。
ちょうど夕日の時間帯に差し掛かり、展望デッキから染まりゆく海が楽しめる。
庭苑内の展望灯台「江の島シーキャンドル」もライトアップを始めたようだ。
空はまだ明るいが、苑内には既にキャンドルが灯されている。本物の蝋燭を係員が1本づつ着火してゆくらしい。
展望台下にはカフェがあり、その向かいにはキッチンカーも出ている。
空が暗くなってきてからが本番である。
ところで、苑内にある展望灯台「シーキャンドル」にも目を向けよう。
かつては剥き出しの螺旋階段で登る展望灯台があり、塔を運営する江の島電鉄の開業100周年に合わせて現在の形にリニューアルされた。更に元を辿れば戦前、二子玉川に設置されていた落下傘訓練塔の転用だったのだとか。
当時の姿は以下のサイトなどで知ることができる。
www.j-fab.co.jp
ともあれこの灯台、なかなかの人気で長蛇の列ができていた。昇塔券の販売がストップすることもあるので登りたい人はお早めに。
塔の基部から上を見ると、鉄管組みの躯体とエレベーターシャフトを取り巻く螺旋階段が楽しめる。
展望台は2層になっており、下はガラス張り、その上はオープンデッキになっている。撮影するならガラスの反射がないオープンデッキ一択。
灯台でもあるので、デッキの上には灯室が。
ここからは相模湾が一望できるが、夜なので陸の灯を見る方が楽しい。
魚眼で足元を撮ってみると、無数のキャンドルがこちらも星のように。
夜景もいいが、実は昇塔待ちの列とは別に2階のオープンテラスへ上ることができる。ここはソファなどが置かれゆったりと寛げる空間になっている。もう完全にデート空間だこれ。
さて、すっかり暗くなった苑内を暖色の光が照らす。
明かりだけでなく小物も配置されており、何も準備がなくても雰囲気ある写真が撮り放題。
こちらは木から吊り下げる形で展示されていた。作家もののキャンドルであるらしい。
小径の脇に並べられていたり、
植木の枝にかけられていたり。
箱を積んで高さを出している、フォトスポットエリアもある。
うまくローアングルで狙うと、キャンドルとシーキャンドルを一度に収めることも可能だ。
入口付近には、明治時代にこの場所に作られた温室の煉瓦積み遺構も。
このあたりには雫型のガラス器に入れられたキャンドルもあり、透かして光る色とりどりのボケが楽しめる。
苑を後に坂を下る。エスカーは上りだけなので、下りはひたすら坂と階段である。
夜の瑞心門。
土産物屋もすっかり閉店。
駅への橋から、海面に映る灯りを撮る。
行きは大船から湘南モノレールを使ったのだが、山を越えるダイナミックな路線でジェットコースターよろしく上下左右に振り回されるのには些か閉口する。懸垂モノレールなのに地面すれすれを走って地上駅舎だったりトンネルくぐったりする興味深い路線ではあるのだが、帰りは小田急を使うことにしよう。
小田急片瀬江の島駅……なんだこの駅舎。瑞心門と同様に竜宮城イメージであるらしいが……
快速急行に乗れば新宿までは1時間ちょっと。気軽に足を伸ばせる、素敵な観光地だ。