料理日記:鯛の兜煮、出汁味

鯛のアラを炊く。普通なら酒=醤油=味醂で甘辛く煮付けるものだが、最近は昆布出汁のみで炊くのがお気に入り。


鯛の頭を調理するにあたって最重要なのは鱗の処理である。少しでも残っていると口の中に薄く硬いものが貼り付いて非常に食感が悪くなる。
まず、薬缶に湯を沸かしてアラに満遍なく掛ける。すると身の表面だけ瞬時に火が通って締まり、皮が縮んで鱗が立ち、取れ易くなる。あとは丁寧に手で鱗をむしり取るだけ。逆撫でして鱗を起こしては引き抜く。
湯をかけるのは臭み抜きの意味合いもある。鍋に湯を沸かして湯通しするのでも良いのだが、全部漬けるのは結構面倒だったりするので薬缶で掛けてしまった方が早い。


鱗取りは結構面倒だが、下処理さえ終わればもう全部終わったようなものである。あとは鍋にアラを並べ、酒少々、白出汁、水を入れたら生姜か葱の千切りを振り掛けて落とし蓋をし、あぶくが立つ程度の火力で適当に煮込むだけ。概ね20分前後もあれば味が沁み透って出来上がり。


アラは程良く締まった白身部分とゼラチンたっぷりの部分を併せ持っており、最も旨味の楽しめる部位である。特に唇近辺の皮と眼球周辺のゼラチンは絶品。


食べた後に汁が残るが、これが適度に昆布の味と鯛の味が出ており、薬味が少々入っていて良い味になるので御飯を投入して雑炊にするも良し。その気なら予め身を少し加えておくと更に良い。