THE EYE OF JUDGMENTを解説する

THE EYE OF JUDGMENTというゲームがある。PS3の最初期に投入されたトレーディング・カードゲームで、色々と意欲的な作品である。


同梱のUSBカメラでカードを読み取り画面内に召喚するARゲームであり、ゲームデザインはTCGというゲームジャンル自体の開祖であるWizards of the Coast社、ゲームの販売元はSCE、カードの販売は米ハズブロ及びタカラトミーという、大手が名を連ねた体制。発表当時の紹介記事などを見てもかなり期待されていた様子が伺える。

しかし、期待とは裏腹にセールス展開は決して芳しくなかったようだ。PS3という高価に過ぎるプラットフォームを採択したためユーザ数が少なかったこと、USBカメラやプレイマット、カードなど付属品により販売単価が高額であったこと、なおかつ戦力増強のために追加投資が必要であることなどネガティヴな要素が多いことを考えれば当然の結果だろう。付属品の故に中古にも出回り難く(それを期待しての構成であるのかも知れないが)、その割にはカードの読み取り方式が粗い2次元バーコードに過ぎないため画像共有などで容易に複製可能であったこともカードの販売不振に繋がった可能性もある。


セールス的にはネガティヴでも、ゲームの質としては決して悪くはない。2010年には当時の開発資産を生かして紙製カード方式を排したPSP用カードゲームとして発売に至ったため、ARへの拘りさえなければ今でもこのゲームを楽しむことはできる。

基本ルール

ゲームの基本は3×3のフィールドの過半数占拠を争う陣取りである。
毎ターン2マナが供給され、これを使用してフィールド上にカードを召喚する。カードゲームとしては珍しいことに向きが存在し、攻撃方向、反撃方向、大きなダメージを受ける背面方向などを見て適性な位置に置いてゆく。
カードは召喚時のみ攻撃を行ない、以降は再行動コストを支払うことでのみ追加攻撃が可能となっている。向きの変更も可能だが、場所の移動は(特殊な効果を使用しない限り)不可能。
フィールドとの相性(地←→風/水←→火の4属性及び無属性)があり、同属性地への召喚でライフ+2、反属性で-2。つまり弱いクリーチャでも属性さえ合っていればそれなりに硬いし、逆に反属性に置くと弱体化、最悪召喚と同時に消滅する。
フィールドには裏表があり、特殊効果により反転が可能である。裏が反属性だったりすると+2〜-2とライフが4点も変動するため、戦況が大きく変わり得る。

ゲームの要点

ゲームの本領は各々の4枚目が置かれてからである。
9エリアの過半即ち5枚を確保してターンを終えた時点で勝利となるので、4枚目が置かれたら自分の番にどれかを撃破しないと敗北が確定する。しかしクリーチャーは属性さえ合わせておけば3以上のライフを持ち、これを一撃で撃破できる火力を持つカードは多くない。ではどうするか。
ひとつはスペルを使う方法。例えば土地を反転させライフ増強をなくしてしまえば1点で撃破可能になる。反属性であれば更に-2されるので、この時点で撃破となる可能性も高い。
もうひとつはクリーチャーの再行動。マナさえあれば配置済みのクリーチャーを再行動させ複数箇所から1枚を狙うことも不可能ではない。
しかしマナは1ターン2点しか供給されず、再行動にも別途コストがかかる。少ないリソースをやりくりして、相手を減らしつつ自分は減らず、先に4枚をがっちり確保できるようにプレイするのはなかなか難しい。先手番なら低コスト高ライフ系で固める手だが、後手番の場合は先に4枚押さえられないよう撃破する必要があり、両立は厳しい。
もちろん、他に攻撃力増強系のカードを使う手もある。味方の数や土地属性などを条件に攻撃力が高まるクリーチャーを使えば3点どころか2桁ダメージを叩き出すのも不可能ではないが、そういうカードは要求マナ数も高く切り札的にしか使えない。


流石はMagic;the Gatheringのメーカによるデザインだけあって、カードはシナジーを強く意識してデザインされている。例えばカードには色の他に種族と所属が示され、それらとの連携能力が用意されていたり、色ごとに能力傾向がはっきり分けられていたり。従って組み合わせにもかなりの幅があり、デッキ構築の楽しさが味わえる。

総評

ゲームルールが些か特殊であることやパラメータが多い(コスト:召喚/再攻撃/回転、ライフ/火力、攻撃範囲/反撃範囲/弱点方向、属性/種族、レアリティ/召喚制限/組み込み制限、それにカード別特殊能力が複数)ことなどから慣れるまでにやや時間が必要かも知れない。操作系もボタン割り当てがやや直感的でない面があり、またストーリーモードでは漫画的ムービー中は会話スキップなしの自動再生なのに対戦時会話は○ボタン送りだったり、微妙な統一感のなさがちょっと引っ掛かる。

元のゲームが日本よりも海外で売れたためか、キャラクターデザインそのものは日本ベースながら絵のタッチや効果音表示などは欧米的。ストーリーはそれなりの盛り上がりを持つもののカードゲームらしく簡素で、ゲーム全体がデッキの構築と対戦のために調整されている点は好印象。ただ、ストーリーミッション再挑戦時でも会話がスキップされないのでちょっと面倒。