以前「クラシックスタイルなデジカメ」についての記事を書いたのは2014年末のこと、それから7年近く経っているのでだいぶ状況が変わり、入手可能な機種も変化したので改めて書き直してみようと思う。
「クラシックスタイル」とは
「クラシックスタイルのカメラ」を改めて定義するならば、デジカメよりずっと以前、フィルム時代のカメラを彷彿とさせるスタイルを持つ機種、ということになる。
「クラシックスタイル」とひとくちに言っても、古くは「レンズを取り付けた木箱」から、蛇腹カメラやら二眼レフやら様々なスタイルが混在するが、「古いカメラ」の最も一般的なイメージというのは概ね「角張った銀色の金属ボディに黒の革貼り」ではないだろうか。
(https://pixabay.com/images/id-3480569/より)
最近のカメラとの違いを挙げるならば「プラスチックボディではなくメタルカラー」「曲線的ではなく直線的」「液晶ではなくアナログな計器や操作系」といったイメージだ。
勿論、現代的なカメラの形状変化にも様々な合理的理由があるのだし、一方でクラシックなスタイルは当時の事情(主に加工技術や材料、あるいはフィルムという物理的制約など)によって成立した、今となっては縛られる理由のない部分も少なくないのだが、合理性よりも好みを優先したいのが趣味というものでもある。
以前にも書いたが、カメラは単なる撮影の道具というだけではなく、ある種のファッションアクセサリという側面もあり、「趣味に合う外観」は決して無視できない重要な要素と言える。大いに拘っていきたい。
以前との変化について
前回の2014年記事時点と今回の大きな違いは、なんといっても「一眼レフからミラーレスへの全面移行」だろう。
これまではフィルムカメラ時代の構造を継承した一眼レフ機が高級デジカメの主力だったが、マイクロフォーサーズによる「ミラーレス」の啓開から10年が経過し、ソニーが「一眼レフに対抗できるミラーレス」を押し進めたこともあってミラーレスのメリットが一眼レフのメリットに勝り始め、ここにきて一眼レフの二大巨頭であったニコンとキヤノンが相次いでミラーレス専用の新規格へ移行した。
一方でレンズ一体型の「コンデジ」分野でも大きな変化が生じている。
ソフトウェア処理の発達によってスマホカメラの性能が急激に向上し、擬似的な「ボケ」の生成や自動的なHDR処理など、従来のカメラにはできない「完成された画を作る」ようになったことで「手軽に撮る」ためのカメラであったコンデジはその存在意義をほとんど失った。
センサーサイズの大きな高級コンデジは小型のミラーレス機と競合し、センサーサイズの小さな普及機はスマホの方が高性能になり、今や「超拡大マクロ」や「防水・耐衝撃」、「超望遠」など一芸に秀でたごく一部の機種以外はほぼ生き残っていない。
そういうわけで、クラシックスタイルのカメラについてもほとんどミラーレス一択ということになった。一応まだコンデジやトイカメラなどにもいくつか選択肢がないではないが、今回は割愛する。
カメラメーカーと機種
ではメーカーごとに主要なクラシックスタイルカメラを見てゆこう。
基本的に公式サイトを紹介するが、カメラのイメージを表示するためにAmazonへのリンクを併用している。
なお、クラシックスタイルのミラーレスを製造していない社は省略した。
ニコン
日本のカメラメーカーの代表格。一眼レフ時代はプロ用として真っ先に名の挙がるメーカーだったが、その分だけミラーレスに乗り遅れてしまった。
一時はどうなることかと思ったが、レトロスタイルの新機種に注目が集まり、だいぶ持ち直した感がある。
オリンパス(OMデジタルソリューション)
「フィルム規格に囚われない、デジタル時代の規格」として世界初のミラーレス一眼「マイクロフォーサーズ」を提唱した、ミラーレスのパイオニア。
常に「主流にはなれない」位置をひた走る孤高の存在だが、フィルムカメラ時代からスタイリッシュなデザインで知られた会社でもある。
OM-D E-M5・E-M10シリーズ
www.olympus-imaging.jp
www.olympus-imaging.jp
カラーはブラック1色と上下がシルバーの2パターン。シルバー塗装ではあるが樹脂なので少々安っぽくはあるが、なかなか精悍なスタイル。
E-M5とM10の違いは(性能差とそれに伴う操作部の差はあるものの)外観的にはそう大きくないので、好みのものをどうぞ。
最新型はE-M5 mark IIIおよびE-M5 mark IVなのだが、スタイルが若干現代的に変更されてしまったので個人的には前機種であるE-M5 mark II / E-M10 mark IIIの方が好み。
PENシリーズ
www.olympus-imaging.jp
fotopus.com
角張って無骨なE-P7はブラック&シルバーのみだが、現代的に丸みを帯びつつもクラシックの雰囲気を失わないE-PL10はホワイト&シルバー・ブラック&ガンメタルに加えブラウン&シルバーも用意されている。
なお現在は製造終了となっているが、かつての名機の名を継いだ最上位機種PEN Fも存在した。ダイヤルの並ぶ軍艦部は、同社のミラーレス機中もっともクラシックな印象を与えるデザインであった。是非後継機を復活させて欲しい。
富士フイルム
写真フィルムを本業とするが、写真事業の一環としてカメラも展開してきた。デジカメ黎明期にはセンサーの格子を縦横ではなく斜め45度に配置したハニカムCCDなどユニークな独自技術を投入、現在も通常のRG-GB型ベイヤー配列とは異なる独自配列のX-transセンサーを使用し、また 「フィルムの発色再現」にこだわりを見せる。