マイクロフォーサーズ マクロ撮り比べ

マイクロフォーサーズにもマクロレンズが充実してきたが、それらを比較した情報が見当たらなかったので、僭越ながら簡単に撮り比べてみることにした。
とはいえ全種買い揃えるほどの余裕はなく、さりとて借りる当てもないので、店頭展示品を拝借してのごく簡単なテストのみである点はご了承頂きたい。いちおう各レンズのマクロ作例も貼っておくので参考にどうぞ。

比較したのはオリンパス製3本、パナソニック製2本、ケンコートキナー1本の合計6本。それぞれに手持ちでなるべく最短距離での撮影を試みた。被写体には500円玉を使用、大雑把ではあるが撮影可能性サイズの比較を可能にしている。
AFで合焦可能な範囲で最短まで寄ったが、マニュアルフォーカスに切り替えてピント位置を最短固定すれば更にもう一段寄れると思われる。

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm f3.5-6.3 EZ

今回の比較中では唯一のズームレンズ。換算24mmの広角〜100mmの中望遠までカヴァーし、防滴も施された使い勝手の良い汎用レンズで、0.72倍のセミマクロ機能まで備える。
マクロ機能はボタンを押し込みながらズームリングをスライドすることで切り替え、焦点距離が42mm固定となる。

長辺に対する500円玉の幅およそ70%。マクロとしては決して強力とはいえはないものの、作例などを見ると日常的な撮影では充分な性能であることがわかる。
製品レビューと作例

M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro

OLYMPUS 単焦点レンズ M.ZUIKO ED 60mm F2.8 Macro

OLYMPUS 単焦点レンズ M.ZUIKO ED 60mm F2.8 Macro

換算120mmの望遠マクロ、マクロ性能も2倍と強力……のはずなのだが、どうにもクセの強い操作系で使い方がよくわからず、充分な性能を発揮させられていない可能性がある。一応参考値として。

望遠なのに最短撮影距離19cmと相当寄れる不思議なレンズ。
レビューと作例

LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.

手ブレ補正付きの中望遠2倍マクロ。最短撮影距離15cmと、「ちょっと距離を置いて」寄れるので、昆虫など直近まで寄れないものに良さそうだ。

「500円玉を大きく撮れる」から「500円玉の一部を拡大して撮れる」レベルに。
レビューと作例

LUMIX G MACRO 30mm/F2.8 ASPH./MEGA O.I.S.

こちらは手ブレ補正付き標準2倍マクロ。最短撮影距離10.5cmと、「レンズ前まで寄れる」。寄りすぎてレンズの影が被写体に落ちるのが悩ましい。
手ブレ補正は撮影距離が近いほど効きにくい……というか撮影範囲が小さい分だけわずかなブレも大きく影響してしまう。

45mmと同じ等倍のはずだが、さらに一段寄れる感じがある。
レビューと作例

M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro

マイクロフォーサーズの中でもっとも拡大倍率の高いマクロレンズ。なんと2.5倍。
焦点距離LUMIXと同じ30mmで、拡大倍率が2.5倍あるということは、「もっと寄れる」ということでもあり、レンズの影どころかレンズとの接触を気にせねばならぬレベル。

(本命につき多めにお送りしております)
ちょっとした顕微鏡ぐらいの拡大感。表面の傷や歪みまではっきり見える。あまりに被写界深度が浅いので全体像が見えない。
レビューと作例

TOKINA Reflex 300mm F6.3 MF MACRO

換算600mmの超望遠レンズ。マクロと名が付くように撮影倍率は高めだが、なにぶん最短撮影距離80cmにもなるので「寄れる」感覚はない。 またマニュアルフォーカスなのでピント合わせはなかなかシビア。マクロというよりは「ちょっと寄り気味に撮れる超望遠」である。

撮影倍率は換算で等倍なので、0.72倍の12-50mmマクロモードより若干大きく写せる。
反射レンズにつきボケがリング状や二重線状になる現象は、他のレンズでは得られないちょっと面白い効果である。
レビューと作例

Freewalker 20mm F2 4.5X Super Macro

中国製の接写専用マニュアルレンズ。2万円程度と安価でありながら撮影倍率4.5倍という非常に強力な接写性能が魅力的だが、その代わり無限遠は出ないので接写以外の撮影はできない。
店頭に現物がなかったため撮り比べはできていないのだが、特筆すべき性能のため紹介しておく。
マイクロフォーサーズ以外での作例

安原製作所 NANOHA x5

最後に紹介するのは、こちらも特異なスーパーマクロレンズ「NANOHA」だ。
Amazonで取り扱いがないのでメーカーのWebページを貼っておく。
安原製作所/NANOHA
撮影倍率なんと5倍。もはや顕微鏡の域で、そうなると被写体との距離も近くレンズの影が落ち撮影しにくい。そこでレンズ先端に3灯の白色LEDを装備。またピント面が文字通り「カミソリの刃のように薄い」のでわずかなブレも許容されず、そのためレンズ前に試料を固定するためのホルダーが付属する。
F値11と非常に暗く見えるが、これは「極めて狭い範囲の光しか取り込めない」ことを考慮した実効F値であるため、他社マクロのF値と比較するなら実質表記は1/6、つまりF値1.8に相当することになる。
特別企画:安原製作所のLED付き5倍マクロレンズ「NANOHA」(なのは)を試す - デジカメ Watch Watch