iMac復旧顛末記

導入から2ヶ月半にして正常動作しなくなったiMacの復旧が、なかなかに難物だったので、同様の症状に陥った人の助けになればということで顛末を記す。

症状

スリープからの復帰に失敗し、画面が真っ暗のまま反応がないところから始まる。
仕方なく電源ボタンを長押しして強制断したのだが、再起動したところ「修復が必要です」というアラートが出てパスワードを求められた。アラートは2つあり、ひとつは「Dropboxのアクセス権を修復する必要があります」、もうひとつは多分「パーティションの修復が必要です」だったか「ディスクの修復が必要です」だったか、そんなメッセージだったと思うが正確に憶えていない。今になって記録しておけば良かったと後悔しているが、修復してしまったので確かめようもない。
パスワードを求められているが、何故かキーボードは反応しない。ついでにDock内のアイコンが「?」になっていた。

確認と対処

キーボードの動作確認

まず最初に、キーボードの不具合を疑った。しかしログイン時のパスワード自体は入力できている。また、附属のBluetoothキーボードとは別にUSBキーボードを接続してみたが、それも「キーボードの種類を判定する」ためのキー入力には反応するのに、文字入力はできなかった。
マウスは使えたので、仮想キーボードがあればパスワード入力もできるのでは……と思ったがSierraで仮想キーボードを出す方法がわからない。とりあえずスルー。

FirstAid

キーボードのせいでないことが確定したなら、問題はOSの動作ということになる。
まず試みるべきはディスクユーティリティからのFirst Aidだ。起動ディスクは検証できても修復できないので、⌘+Rを押しながら再起動し、復旧モードからディスクユーティリティを起動する。
パーティションに破損があるようなメッセージを表示しつつも、修復が完了したらしいので再起動……してみたが症状は変わらず。

OSの修復インストール

FirstAidが駄目ならOSを再インストールするしかない。再び⌘+Rで起動し、今度は修復インストールを実行。
「残り時間:5分」とか出るが実際には表示上の1分あたり実時間で30分ぐらいかかる謎仕様である。「5分」が経過すると再起動が入って追加で30分ほどの後、インストール完了。……が、起動してみたらやはり症状が再発する。
ということは、どうもOSそれ自体の破損ではなく、ディスクに問題があるようだ。フォーマットしてクリーンインストールするのが最も話が早いのだが、生憎とHDD内に救出せねばならない業務用のデータがあるので、これの取り出し方法を検討してゆく。

外部メディアの認識

データを取り出すだけなら、外部記憶メディアを認識させるのが一番早い。しかし通常起動はおろか、Shift押しながらのセーフブートでも、USB接続メディアを認識する気配はない。
挿しただけでは認識されないメディアが、ディスクユーティリティを経由するとマウントできる場合もあるのだが、そちらも駄目なようだ。

インターネット修復

ここでAppleのサポートに相談、まずはインターネット経由での修復を提案される。ユーティリティ単体でのスタンドアロン修復よりも強力らしい。⌘+R起動からインターネット修復を試みようとしたのだが、何故か接続方法としてWi-Fiしか認識されなかった(当該のiMacはEtherで接続されており、社内にはWi-Fi環境がない)。
結局、実行しようがなかったので効力のほどは不明。

外部起動ディスクの作成

次の提案は「外部ディスクからの起動」だった。つまり、空のHDDを外付けしてMacOSをインストールし、それを仮の起動ディスクとして正常起動できる環境を確保、内蔵HDDを認識させてデータを仮起動ディスクへ退避ののち内蔵HDDをフォーマット、改めてOSを内蔵HDDにインストールし直して退避データを戻そう、という話だ。
しかし手元にある外付け可能なHDDはいずれもWin用で、接続してみたがディスクユーティリティからパーティションを変更できず、Mac用にフォーマットし直すことができなかった。
幸い、仮作業用に自宅からMacBookProを持ち込んでいたので、こちらにHDDを接続して「GUIDパーティションマップ」+「MacOS拡張(ジャーナリング)」でフォーマットしたものをiMacに接続してみたところ、正常に認識されOSをインストールできた。

Optionを押しながら起動して外付けHDDの方を起動ディスクに選択、OSを起動させると初期設定ののち移行アシスタントがデータのコピーをやってくれる。アプリケーションや設定ファイルなどの作業環境をそっくり引き継いだ上でユーザデータも全部コピーしてくれるので、イレギュラーな保存をしていなければ手を下す必要はない。念の為バックアップ忘れがないか、フォルダ内容を視認で突き合わせた程度だ。

移行が済んだところでディスクユーティリティから内蔵HDDのパーティションを切り直し、ディスクをフォーマットしてまたOSをインストールする。結果として最初の修復インストール、仮起動ディスクへのインストール、フォーマット後の内蔵HDDへの再インストールと、都合3回もインストールする羽目になってしまったが、これでようやく正常なHDDに正常にインストールされたOSが戻った。
再び初期設定と移行アシスタントでデータを書き戻し、すべて完了。
単にデータだけでなく、Twitterクライアントの設定からSafariで開いていたタブまで完全に、おかしくなる前の状態に復帰できた。

結論と対処

まあ「バックアップはしておけ」という話なのだが、いざ起動も修復もできなくなった時に備えてOSとデータが収まる程度の容量を持つ外部接続の記憶媒体を持っておくと安心である。しかし予めMac用にフォーマットしておかないと、今回のように偶々別の端末で認識できる状況でもない限り焦ることになりそうだ。