電書アプリに望む機能

それなりに本読みの人ならば誰しも「本の置き場」に悩んだことがあるだろう。物理的な場所を取らない電書は明らかに収納問題の救世主だ。
しかし現状、電子書籍には足りないものが多過ぎる。場所という絶大な利便性があるからこそ他のことには目を瞑っているが、改善して欲しい部分は多い。

貸し借り

本の貸し借りはとても重要だ。面白い本なら知人に読ませたくなるし、面白いと薦められれば読みたくなる。「買ってね」てのはまあ正論か知れんが、可処分所得には限度があってそうそう全部に手を出せるわけではない。貸し借りができないばかりに接触機会が減少するのは勿体ないし、借りて面白いと知った作品の続きや同作者の作品は購入可能性が高まるはずだ。特に限度額の小さい若年世代ほど貸し借りによる恩恵は計り知れないし、若いうちから良質な本にたくさん触れることが後に市場を支える消費層の土壌となるのも事実だ。
図書館での電書貸し出しも含め、電書が真に物理書籍に代わる本として普及するためには「貸し借りできる」機能はとても重要になる。

家族間共有

一般に家族は資産を共有する。無論それはデータにも及ぶ。
現状でも、端末に同一ユーザIDを登録してしまえば同じ本をダウンロードして読むことは可能だが、それでは購入者個々人の嗜好に基づく絞り込みなどにも支障を来す。本来ならば「個人がそれぞれ別にアカウントを持ち、それらを家族登録することで他の家族が買った分も共有できる」のが筋であろう。

プライヴェート管理

家族間といえども共有したくないものはある。たとえば子供に18禁を共有してしまうわけには行くまいし、成人であっても性嗜好が露骨に出るものを知られたくはないだろう。
18禁だけでなくとも「これは秘密にしておきたい」ようなものはあるはずで、他の端末と共有しない領域、見るために別途パスワードが必要な領域が用意されるべきだと思う。
また、これらは購入段階から別処理されねばならない(誤って家族間共有に表示されてしまわぬように)。もちろん18禁作品はデフォルトの動作が非共有であるべきだろう。

購入履歴からの削除

購入した作品のすべてが満足の行くものとは限らない。つまらなかった作品をいつまでも手元に置いておきたくはないし、期間限定の無料書籍など既に読めなくなっているものも同様に処分したい。しかし購入済みデータを非購入に戻すわけには行かないので、kindleなどでは全てが一列に並んでしまっている。こういった「不要」データの取り扱いを考える必要がある。

漫画の検索

これは個別の書籍データ側の問題かも知れないが、漫画は写植部分をテキストデータとして持たせていないようで検索ができない。物理書籍に対する明らかな優位性の半分を捨ててしまうのは勿体ないので、漫画も検索可能にしておくべきだと思う。
またテキスト選択してのラベルまでは非対応としても、ページ単位でのメモぐらいは可能にして欲しいところだ。

シリーズ単位での管理

特に漫画の場合、連載作品が多いため単巻での刊行は少なく、ほとんどがシリーズになっている。しかし電書アプリではこれをシリーズとしてまとめて管理する方法がない。
同一シリーズは「常に巻数順に並ぶ」「本棚ではまとめて『作品名(1〜n巻)』として表示可能」「全巻セットで1データとして扱い、1冊読み終わると閉じて次の巻を開き直さずにそのままページをめくるだけで次巻表紙に移行する」ようになって欲しいところだ。ただ長大なシリーズでは読む位置のジャンプなども大変になってくるので、巻数単位ジャンプが必要かと思う。
また、完結済みでない作品の場合、購入済みシリーズに新刊が出たことをお知らせし購入・ダウンロードが即時行なえるようにすべし。

購入先に拠らぬ一元管理

現状、各電書取り扱い元はそれぞれに専用のアプリをリリースし、それでしか読めない状態になっている。Amazonで買えばkindleだけで、koboで買えばkoboだけでと、アプリごとに読める先が違うので、複数ショップで購入すると本によって開くべきアプリが変わってしまう。なんで「どのショップにも対応したリーダー」が出ないんだろう。技術的には、それぞれのショップに対応したユーザIDを登録して全部一元管理できるアプリが作れないわけではない筈なんだが。