→目次
第一部
IV
- フローレンス:ナイチンゲール
- 看護教育の推進者、医療衛生の改革者、英国に於ける統計学の先駆者。国内の病院を調査し看護婦に対する専門教育の必要性を訴え、またクリミア戦争に従軍し兵舎病院の不衛生に伴う死亡率の高さを改善。統計手法による分析とデータの視覚化により改善すべき点を明示し、国内のみならず各国の病院統計のモデル形式を整えた。
- 三原則
- ワトソンの提案は無論、2058年の「ロボット工学ハンドブック」第56版にも記載されるアシモフのロボット工学三原則であるが、ナイチンゲール提案のそれに元があるかどうかは不明。
- ニコライ・イワーノフ・クラソートキン
- カラマーゾフ兄弟と同じスコトプリゴニエフスク出身。少年時代は子供たちのリーダー的存在で、アレクセイに心酔していたという。
- アラベスク
- イスラムの幾何学模様。唐草模様や直線の組み合わせと反復により、無限に続く複雑な模様を生み出す。神の無限性・普遍性を象徴するものとされる。
- 数理神学
- 神学理論を数理によって証明しようとする学問で、古くは古代ギリシャに於けるピュタゴラス学派に連なり、ギリシャ正教を経て東方正教会諸派にも伝わる。嘘。
- ウェッジウッド
- 18世紀半ばにイングランド中部で創業した陶磁器メーカー。王室御用達の高級陶器で知られる。
- perinde ac cadaver
- 「死人のごとき従順」、教皇及び上長への服従を意味する標語。
- イエスズ会
- 1534年に騎士イグナチオ・デ・ロヨラを中心に創設されたカトリックの男子修道会。「教皇及び上長への絶対服従」など軍隊あがりの厳格な規律と高い学識を持ち、ヨーロッパ全域に神学校を設立、プロテスタント拡大の流れを引き戻した。日本では初期の宣教師フランシスコ・ザビエルの所属会派として知られる。
- アサシン教団
- (この時点では)イスラム教シーア派の急進分派ニザール派と同定される、神秘主義的なカルト教団。しばしば政敵の要人を暗殺したとされ、またその際に麻薬を用いたとされる。
- ワハン回廊
- アフガニスタンから東に、英領インド帝国パキスタンとロシア帝国領タジキスタンの国境線沿いに長く伸びた地帯。グレート・ゲームの結果として英露の緩衝地帯たるべくアフガニスタンに組み込まれたもの。
- コクチャ渓谷
- ヒンドゥークシュ山脈に囲まれた渓谷で、標高3000m前後の岩肌に良質のラピスラズリを産する。
- アムダリア川
- パミール高原を水源とするパンジ川とヒンドゥークシュ山脈から流れるヴァクシュ川が合流したもので、北西へ向かいアラル海に注ぐ。
V
- ピクチャレスク
- 18世紀頃に流行した「風景を絵画として読み解く」審美理論で、絵画的センスを取り入れた造園などに発展した。
- シラノ・ド・ベルジュラック
- 17世紀フランスの作家。SFの先駆けとなった「月世界旅行記」、及び「太陽諸国諸帝国」が没後に出版された。
- 月世界旅行記
- ヴェルヌの砲弾宇宙船による月旅行SFに先立つこと200年、月という天体への的確な理解や火矢を束ね推進力を得る多段ロケットなど科学的知見から描かれた月旅行SF。全体としては荒唐無稽な面が多いが、これは政治的な風刺を含む文章を友人が改竄し出版したことに拠るとも言われる。
- グロテスク
- ローマ皇帝ネロの黄金宮に影響を受けた、生物の連続的変化モチーフなどを含む過度の装飾様式を意味する。転じて「奇怪」「不気味」などの意味となった。
- サウル
- イスラエル初代王。神に選ばれたが神に逆らったことで寵を失い、次の王たるダビデと対立。
- ライプニッツ
- 17世紀ドイツの思想家。法学、政治学、哲学、神学、数学、物理学など広範な学問の統一を試みた。業績は極めて多岐に渡るが、とりわけ論理学の型式言語化に於いて知られる。
- オノレ・フラゴナール
- 18世紀フランスの解剖学者。パリに於いて世界初の獣医学校教授を務め多数の解剖標本を制作するが、屍体への執着のあまり僅か6年で放逐。その後、主に珍奇趣味の貴族相手に「芸術的な」標本を販売することで生計を立て、生涯に渡り標本制作を続けた。標本の一部はフラゴナール解剖博物館に収蔵されている。
- アレクサンダー大王
- 紀元前マケドニア王。エジプト、中央アジア、インドにまで至る長大な遠征を行ない一代で大帝国を築いた。
- グレコ・バクトリア王国
- 紀元前の現アフガニスタン〜カザフスタン地域に存在したギリシア人の王国。
- バーミヤン
- アフガニスタン中央の古都。多数の石窟寺院や磨崖仏を有する仏教遺跡で知られる。
- ハザラ人
- モンゴロイドとコーカソイドの交雑したイラン系の民族。
- ポール・ブローカ
- フランスの外科医・人類学者(1824-1880)。失語症患者の解剖により、左前頭葉領域の病変部から最初の脳機能局在論の証拠を発見した。
- カール・ウェルニッケ
- ドイツの神経病理学者(1848-1905)。ブローカとは別の型式の失語型を研究、ウェルニッケ野の発見に至った。
- エクトプラズム
- フランスの生理学者シャルル・ロベール・リシェがギリシャ語で「外」を意味するectoと「物質」を意味するplasmを合成して命名。霊媒の身体から放出される、白〜半透明で粘性のある「半物質」。光に鋭敏で、闇の中でしか観測できないとされる。
- ブローカ野
- ブローカの発見に基づく、大脳の言語発話機能を司る部位。聞き取りには影響を与えないが、発語が障害を受け、単語同士を繋げて文章にすることができなくなる。
- レット・バトラー
- マーガレット・ミッチェル「風と共に去りぬ」に登場する、南部アメリカの軍人。
- ハダリー
- フランスの作家ヴィリエ・ド・リラダンが1886年に発表したSFで、アンドロイドの語を作った「未来のイヴ」に登場する人造人間の名。ペルシア語で「理想」を意味する。