図鑑カメラ

http://journal.mycom.co.jp/news/2010/08/31/051/index.html
学研「科学のふろく」アプリ。カメラ+メモ+図鑑という構成で、撮影画像にGPSによる位置・時期が記録され、また付属の図鑑データと照合し種名を特定できる。
たしかに特徴がはっきり見分けられさえすれば、照合による特定は容易だろうから、常に図鑑を携帯できるというアイディアはなかなか悪くない。ただ、問題はそもそもの分類がわからないような場合だ。
昆虫で言えばチョウのなかま、ガのなかま、コウチュウのなかま、トンボのなかま、セミカメムシのなかま、バッタのなかま、ハチ・ハエのなかま、カゲロウやハサミムシなど、クモ・昆虫以外の生物と大雑把に分類されているのだが、例えば短かい鞘翅しか持たず長い腹を晒しているハネカクシを甲虫の一種と見分けることができるかどうか。
まあ一応その辺への配慮もあってか、順に見ていくと分類を跨いでページが進むようにできているので、端から端まで見ればかなりの範囲がカヴァーできるだろうとは思うが。
また(主に生理的嫌悪に配慮してか)幼虫についての情報はほとんどないので、例えば芋虫を見分けるような用途には向かない。
昆虫の話ばかりになったが植物についても、季節及び草と木、野山と庭で分類されている。ただ主に花や実での見分けになるので、花も実もない季節だと些か厳しそうではある(まあこれはどんな図鑑でも生じることだが)。
昆虫200種、植物350種と決して収録数は多くないのでこれ一つですべてをカヴァーすることはできないが、常に持ち歩く簡易図鑑としてはなかなかだと思う。できれば今後、これでカヴァーできない苔類や茸、あるいは鉱物なんかもリリースして頂けると嬉しい。


ところで素人による図鑑だけでの同定が難しいものでも、生息地・時期、サイズ、それに写真があればその道に詳しい人があっさり答えを出したりするものである。今やそうした行為は某掲示板やSNSなど「同好の士」が集まるWeb上で行なわれるようになっているが、これら事例を単に流してしまうのではなく蓄積してゆくようにすれば、それだけで立派なオンライン図鑑が出来上がるだろう。
また昨今の画像解析技術を以てすれば写真の投稿時点で類似性の高い情報を一覧することも不可能ではない。その中に目的の情報があれば、そもそも人に訊くまでもなくなる。
読み物ではなく鑑別用としての図鑑アプリはいずれ自動解析+ソーシャル検索の形になってゆくのではないかと思う。
なお植物に関しては既にHugeDomains.com - Shop for over 300,000 Premium Domainsというソーシャル検索サーヴィスが存在している、が基本的に携帯からしか利用できないようで、少なくともiPhoneからではどうしようもないのが残念。