ラブプラス・エコシステム

ラブプラスについては漏れ聞くところでしか知らないが、DSの小さな窓を通して実在の彼女と交際するが如き代物であるらしい。
それがアーケードゲームとして登場すると聞いて、意味が理解できなかった。単純に考えればアーケードゲームなのだからゲームセンターに行きコインを投入した時だけ会える彼女、ということになろうか。しかしそれ、楽しいのか。DS以上の意義があるのか。
敢えてアーケードに実装する以上、アーケードでしか為し得ぬ何かをするつもりではあるのだろうと思う。考え付いたのは自分と彼女のツーショットが撮影可能なプリクラ、程度であったが、公開されている筐体のデザインからしてそういうものではなさそうだ。


まあ予想はその辺にしておいて、ラブプラス本来の性質から未来図を予測するならば、DSという小さな窓に隔てられることないデートのためにはウェアラブルなAR機材が必要と考えられる。コナミは是非、最初の実用的な全視界ARゴーグルを開発すべきだ。現実世界の風景に電子世界の彼女が重ね合わされる、完璧なARを。
そこに至って初めて、プレイヤー諸氏は彼女との恒久的接触を得ることになる。GPSとも連動し、実際の世界で彼女とデートを重ねる。時には彼女の薦めでファッションなんかもコーディネイトしてもらったり、逆に彼女にプレゼントしたり。


下世話な話をすれば、これは強力なビジネスモデルになり得る。つまり、彼女のお薦めファッションをタイアップしたメーカの製品で構成することによりコナミは宣伝費を、メーカは売り上げの向上を見るわけだ。また、彼女へのプレゼントも、(意匠権の使用料として)幾許かを支払うことで電子化された商品を手渡すことができる。逆に各メーカはゲーム内にリアル商品を投入するためにコナミに費用を支払う。
これはある意味で宣伝よりもアグレッシヴなマーケティングだ。本人から提供されたデータを分析し潜在的な需要を探るのが現行のパッシヴマーケティングモデルとすれば、需要そのものをラブプラスが喚起するアクティヴマーケティングモデル。ラブプラスがお薦めしラブプラスにお金が渡るマッチポンプシステム。
考えようによっては実のない代物による搾取構造だが、考えようによっては決して離れることのない彼女との生活保証である。


こんなものが実装された暁には色々と社会問題が出てしまうこと請け合いではあるが。没入感の高さ故に現実へ引き戻せなくなってしまう人、結婚して家庭生活を望む人。電子的に子供を得ることは不可能ではないが、流石に褥を共にする方は実装されまい。また物理的に家事をするわけには行かないので、脳内「協力的な夫」像+自動化家事装置群でなんとかするしかない。食事は出前連動で解消可能だろうか。しかしどのように補完してもいずれどこかで破綻しそうではある。そうなった時の反動いかばかりか。
いずれにせよ非婚少子化が益々進行するのは間違いのないところだ。かくなる上はラブプラス ガールズサイドを……