「小さな画像を美しく拡大する」SmillaEnlargerをテストする

「広く高画質として知られているバイキュービック法をしのぐ」と謳うオープンソースの画像拡大アプリをテストしてみた。
http://sourceforge.jp/magazine/10/02/25/0735216


テスト用の元画像は自分のフォトライフから、

を選択。
これをPhotoshop CS4のバイキュービック法とSmillaEnlargerで同縮尺に拡大し、画質を競う。

拡大画質の比較

最初に、元画像を5倍拡大してみた。左が元画像、中がSmillaEnlargerの結果、右がPhotoshopの結果。

「高画質」の捉え方次第ではあるが、少なくともディティールを良く保っているのはPhotoshopの方だ。
一部の拡大だと判り難い感もあるので、次は150pxまで縮小した画像から元の500pxまでの拡大をテスト。

Photoshopでは毛糸の帽子の編み目がなんとなく見てとれるが、SmillaEnlargerの方は完全にディティールが潰れてしまっている。


もっとも、SmillaEnlargerの売りは「なめらかに美しく拡大」なので、毛のようなランダムで細かい部分に特化していないのだろう、その意味ではSmillaEnlargerに不利な比較ではある。
また、上記の比較はデフォルト設定のまま行なっているが、プリセットだけで4種、また6種類のパラメータを自由にセットして画質を調整できるので、やろうと思えばもっとマシな画像を得ることは可能な筈だ。

機能解説

後の画像を使って、パラメータごとの差を見る。

全パラメータ0


「滑らかに拡大」といった感じ。良くも悪くもアプリの特徴が出ている。

Sharpness100


Photoshopのシャープネスが念頭にあるとピクセルが強調されてざらりとした硬調な仕上がりを予想するが、むしろエッジの直線性を強調する感じで油絵タッチ。

PreSharpen100


Photoshop的なシャープネスはむしろこっちの感じ。

DeNoise100


ソフトフォーカスという感じ。

Flattness100


DeNoiseと違って全体を均等にボカす感じか。

Dithering100


全体にガウスノイズを乗せる。のっぺりし過ぎて不自然な時にランダムノイズを加えて違和感を減少させるためのもの。

FractNoise100


軽く雲模様フィルタをかける感じ。これもDitheringと同じく不自然さの減少用。

総評

PhotoshopもCS3あたりからは単純バイキュービックではなく独自調整を加えているようで、リサイズに伴う劣化はかなり抑えられている。従って、ユーザは「高画質に拡大」のためにこのアプリを利用する意義はない。
そんな高価な業務用アプリを使えないという向きには、これはこれで悪くはない。ただ些かパラメータが判り難い印象はあるので、弄り倒して好みの設定を見付けるか、さもなくばデフォルトセッティングのままでの使用に専念するか。