ダン←ダムをクリアしたので色々書く

なかなか面白いゲームだったが不満がないではない。
「ここをもっとこうすればいいのに」という話を書く。
主にシステム面のネタバレ含むので注意。

職業バランス

明確に、職業の優劣がある。
HP0でも死なないシステムなので回復はほとんど用を為さず、むしろ火力偏重して速攻の方が被害を抑えられる。この点でまずヒーラー、ガードナイト、シェフの意義は薄い。
また後衛でガードに徹する職は前衛にしか置けない点で既に使い勝手が悪い。一部後衛系の職では前衛で能力が落ちるものがあるが、使えないわけではないという点で大きな差がある。
汎用職/特化職といった別があるでもなく、単にヴァリエーション増やしてみたかっただけ、みたいな感じ。

転職

転職前後でどちらも使える職業というのがほとんどない。ファイター→サムライ/ガードナイトと学者→砲術士ぐらいか。

最大火力でもダメージの小さいストライカーは槍術士育成以外の目的ではあまり必要性がない。
逆に上級職が使い難いクラスも多い。職人はそこそこの攻撃力と採掘能力、補修能力が魅力的だが、シェフ/大工は採掘を、シェフ/鉱山士は補修を失う。ポーターはトレーダー/探検家になることでアイテム保有数拡張を喪失、シーフはクノイチになって罠解除を喪失。
せめて火力にかなりの差が出るか、新たに得る能力が後半のシナリオ攻略に於いて必須と言えるほどのものであれば使いようもあるのだが、これでは転職の意義が薄い。上級職は基本職の能力を保持した上で追加性能を得る形でも良かったのではないだろうか。
ウィザードはエンチャンターに転職すると極端に能力が下がる。後衛なら前衛防御支援、前衛なら攻撃になるのだが、明らかにウィザードのままでいた方が強い。ボムマジシャンだと横範囲攻撃になるので、質の良い爆弾さえあれば見違える。ただ爆弾の入手がランダムで製造不可というのが痛い。
アーチャー→ガンナーは決して弱くないのだが、銃の製造がかなり後まで不可能であるため長期にわたり戦力外になってしまうのが辛い。

武具の製造制限

何故か一部の武具は迷宮探索時の宝物として出現するのみで製造できない。各クラスは専用武装を使用するため、そういうクラスは武器なしでの戦闘を強いられる。「代わりに強力な能力」というわけでもなく、この措置は謎すぎる。

武具の非共通性

何故かクラスごとに使用武具がはっきり区別されている。戦士+ガードナイトのみ共通して剣を使用するが、それ以外はクラスごとに別の武装だ。そんな妙な仕様ではなく、武器カテゴリごとに特性を付けて「相性の良い武装だと能力が高まる」などとすれば良かったんじゃないだろうか。
鎧では布・軽・重を分けて職種ごとに相性を処理しているのだから、武器だって同じようにしても良かっただろうに。

属性の扱い

属性の影響が異様に大きく、特に中盤の大ボスやその後の敵が水属性で大ダメージ/それ以外ではノーダメージに近いという極端な差があるので魔法使いは事実上ウィッチワンドが最強武装。それはちょっとバランス悪すぎ。
ここは単純な火力差でない形で属性の使い分けができる設計/敵ヴァリエーションにすべきだった。そこんとこ巧くやってればエンチャンターももっと使えるクラスになっただろうに。

ここまでは不満点。ここからは次回への要望など。

RTS方向へ振る

ジャンル的には防衛ゲームに分類される本作だが、ゲームの質的にはRTSにかなり近い。リアルタイムなのは戦闘中だけで他はターン進行だが、戦闘だけでなく採掘・生産・補修・開発も考慮したマネジメントが求められるあたりの感覚では似ていると思う。
折角なので、もう少しハードなバランスにしても良かったのではないか。戦力を余裕持って分散配置できるシステムではなく、「侵攻したいが火力に乏しいのでまずは採掘→生産を強化せねばならない」「採掘したいが防衛で手一杯」「開発投資したいが修理・手当て・訓練・武具支給に優先支出割り当てせざるを得ないので見送り」というような苦しさが欲しい。
まあこれだけでは単なる長時間マゾゲーになりかねないが、そこは「低レヴェル戦闘員の多数配置か少数精鋭の育成か」のような二極化戦略を見出すような方向性で処理しようがある。このとき重要なのは、短時間のトライ&エラーで最適化のバランスを探れるような作りにすること。

フォーメーションの拡張

現状は前/後段、右/左列しかないのでヴァリエーションに乏しい。3*3ぐらいにして、射撃系や補助系は直接打撃に弱く後方に配置するとか、前衛で重装甲系が壁となって後ろから援護を受けるとか、そういう広がりが欲しかった。

重傷と死

戦力喪失や長期の使用不能状況がないと回復系/防御系の存在価値がない。HPが0になったキャラは原則死亡する、ダメージ程度に応じて回復速度が異なり大ダメージを受けたら長期入院する、などの処理により回復の存在価値を大きく上昇させると共に、余りがちな隊員数を満遍なく活用できる。