TRPGシナリオ分類について考える

シナリオの構成については私が語らずとも多くの研究事例があるかとは思う。古くは舞台の構造による分類(ダンジョンアドヴェンチャー/シティアドヴェンチャーなどといった)が中心的だったが、これは舞台以外の点では構成が似ていた(その背景にはシステム自体の構成についての類似がある)からだろうか。
近年の事例を見るにシナリオ構造というかシステム構造に伴うシナリオ型による分類が多いようだ。それだけシステムがシナリオ型に合わせ特化してきたということだろう。ダンジョンアドヴェンチャーに特化したシステム(迷宮キングダム)や人気のストーリー主導型に特化したF.E.A.R.の各システムなど、RPGの形そのものが多様化している。
今回はあまりシステムに依拠しないシナリオ構造の大雑把な分類枠を考えてみた。

ストーリー主導型

1本のストーリーを中核に置き、PCたちがそこに絡む形。ストーリーさえ決まれば作り易い、プレイヤーがストーリーを予測することでPCを動かし易いなどの利点がある一方、ストーリーから脱線する展開に弱い、ともすればNPC同士の語りを傍観するだけになり易いなどの欠点も。
傍観化に関しては、近年はPCを物語の主要ポジションに指定する、プレロールドキャラクターを適用するなどの方法で回避する工夫が進められているようだ。
正直苦手なタイプなので研究不足。ストーリー主導型でプレイヤーに制御を委ねると破綻や手詰まりが多発しそうな気がするが、どうか。ある意味で「プレイヤーがマスターの意図をどこまで汲めるか」が鍵になる気がする。

箱庭型

PCを囲い込んだエリアを用意し、「どこに行くと何が起きるか」だけを用意して放置。プレイヤーは制限範囲内で自由に行動でき、ゲームマスタはそれに対応して結果を返す。プレイヤーの"自由度"、つまりプレイヤーの自主性割合が高く、ストーリーに依拠しない利点があるが、状況説明以外はプレイヤーに全面的に委ねることになるのでプレイヤー負担が大きい、手詰まりになると話が進行しないなどの欠点も。
またゲームマスタは予め全エリアで予想される行動パターンを洗い出してリアクションを決めておく必要があるため、準備が大変なわりに活用割合が少ない点で敬遠されがち。ただしシナリオのストーリーに応じたNPCの反応など以外の部分については同じセットを何度も使い回せるので、例えばPCのホームタウンなど活用頻度の高いエリアについてはひとつ箱庭を用意しておくと後が楽になる。設定を煮詰めるのは結構楽しいので、マスターが大まかな設計を終えた後はプレイヤー全員で集まって余白を埋めて行くのも良いかも知れない。迷宮キングダムなどではそこまでシステムに盛り込んでしまっている。

迷宮キングダム 王国ブック

迷宮キングダム 王国ブック

迷宮キングダム 迷宮ブック

迷宮キングダム 迷宮ブック

ダンジョンものなどは(ダンジョン突入後は)完全に箱庭型と言える。またシティアドヴェンチャーでも街の外に行けない/行く理由がない状況を作ることで同様のことができる。シナリオ集/サプリメントとして街ひとつ用意した製品もある。

時系列型

これは上記2パターンの折衷的形式。
メインとなるストーリーを用意し、それに従って時間経過に伴う展開を用意、場面単位で状況を区切る。
ストーリー主導との違いは「プレイヤーが何もしなくても状況は進行する」こと。基本的には、何もしなければ最悪の結果になることを予想させ、それを覆すよう行動を促すのが望ましい。
場面ごとに「予想される行動とそれに対するリアクション」を用意しておくことでプレイヤーの自由度を保証。この辺の手法は箱庭型に近い。
時間を制限することで緊迫感を生み、また強制進行により「手詰まりで動きが停滞する」ことを防げる利点がある。ある意味で2者の良いところを取ったような形式だが、急き立てられる構造のためサスペンス/ホラーなどのジャンル以外には不向き。
「深淵」ではプレロールドでストーリーを見せる「構造型」と、参加者の形質に関らず大いなる運命が進行し否応なく周囲を巻き込む「渦型」にシナリオを分類しているが、前者はストーリー主導、後者は時系列型と言える。