gooとの往復書簡3

前回、長々と119行に渡る回答を頂いたが、内容は実に簡素で「ガイドラインに抵触しないので当社は関知しない。当事者間で裁判でもやれ」ということであった。
これを踏まえての返信は以下の通り。

長い回答を頂きましたが、要約すると「ガイドラインに抵触しない限りは感知しないので当事者間で裁判でもやってくれ」ということですね。
そう言われてしまっては仕方ありませんので、裁判の準備としてまずは改めて規定の書面にて個人情報の開示を請求することと致します。
よもやこの請求までも「ガイドラインに抵触しない」などの理由で棄却されることはありませんよね?
「個別の事情は判断しない」とし、「当事者間で裁判で解決せよ」と仰る以上、個人情報を開示頂く以外に本件を解決する方法はありません。もしこの上個人情報の開示もできないということになるのであれば、御社はこの行為をそもそも嫌がらせであるとすらお認めにならないということになります。


ところでgoo ID利用規約を読みますと、第9条(禁止事項)第17項に

(17)チェーンレター、スパミング等その他、他人に迷惑をかけることを目的としてgooIDサービスを使用すること。

とあります。今回の件は「他人に迷惑をかけることを目的としてgooIDサービスを使用する」に相当しないのでしょうか。
また、17項に該当するかどうかを判断する場合、トラックバックを多数送信するなどの定量的判断が可能なもの以外に於いては個別の「特殊事情」を判断せざるを得ないように思うのですが、御社はこれらに対しても判断を放棄されているのでしょうか。
更に言えば21項には

(21)その他、当社が不適切と判断する行為。

とありますが、今回の件は不適切な行為ではないと認められたということでしょうか。
とすれば由々しき事態です。gooブログを利用する限りは、今回と同様の手法による嫌がらせがやり放題になってしまいます。
まあ、嫌がらせではないと判断されるのであればこれらも問題にはならないということかも知れませんが、回答の如何では(結果として)嫌がらせを行なうユーザを保護することに繋がってしまうということはご自覚頂きますよう。

gooからの回答

<1>
『まずは改めて規定の書面にて個人情報の開示を
請求することと致します』との点につき、回答致します。

個人情報の開示を請求されるとのことですので、
弊社としては、以前ご案内申し上げました通り、
プロバイダ責任制限法上の発信者情報開示請求書
及び公的身分証明書の写しの郵送をお待ち致します。

<2>
『よもやこの請求までも「ガイドラインに抵触しない」などの理由で
棄却されることはありませんよね?』との点につき、回答致します。

プロバイダ責任制限法上、発信者情報の開示は、
権利侵害が明らかな場合であるなど、
極めて厳格な要件の下でしか認められておりません。

したがいまして、一般的に、プロバイダ責任制限法上の
発信者情報開示手続きをご利用の場合は、
開示に至る可能性は極めて低い点、
予めご了承くださいますようお願い致します。

なお、繰り返しとなりますが、
かかる運用は弊社独自のものではなく、
あくまで公的なルールに基づいたものとなり、
弊社としてはかかる公的なルールに沿わない
独自の運用を行うことは不可能となります。

したがいまして、発信者情報の開示に至らない結果の
お客様の不利益につきましては、弊社では配慮致しかねますので、
その場合なおお困りの際は、弁護士等の法律専門家へ
直接ご相談いただきますようお願い致します。

また、このように、当該発信者情報開示手続きが
弊社独自のものではなく、公式に定められたものとなりますので、
当該手続きに関する詳細なお問い合わせにつきましては、
公平性の観点から、弊社では応じかねます。
当該発信者情報開示手続につきご不明な点がございましたら、
すべて弁護士等の法律専門家へ直接お問い合わせくださいますよう
お願い致します。

<3>
『もしこの上個人情報の開示もできないということになるのであれば、
御社はこの行為をそもそも嫌がらせであるとすらお認めにならないということになります』
との点につき、回答致します。

上記の通り、実質的判断の上で発信者情報を開示しないとの
結論に至った場合、それは、嫌がらせがない、すなわち、
権利侵害がない、と判断することによるものではなく、
権利侵害が明らかな場合ではない、と判断することに
よるものとなりますので、その点も予めお間違えのないよう
お願い申し上げます。

<4>
『(17)チェーンレター、スパミング等その他、
他人に迷惑をかけることを目的としてgooIDサービスを使用すること。』
『(21)その他、当社が不適切と判断する行為。』
との点につき、回答致します。

今回の件に関しましては、プロバイダ責任制限法及び
そのガイドラインが明らかに適用される事案となります。

そして、前回のご案内の<9>においても申し上げましたが、
プロバイダ責任制限法及びそのガイドラインは、
プロバイダやポータルサイト運営者が、情報発信者様と
それにより被害を受けたと主張される方との間で
板挟みにあうことのないよう、公平な立場を保つ機能を
有するものとして設けられたものでございます。

そうだとすると、プロバイダ責任制限法及びそのガイドライン
利用規約などにより弊社独自の判断において、
適用範囲を狭めたり広めたりすることは、情報発信者様と
それにより被害を受けたと主張される方のいずれか一方のみを
有利又は不利に扱うことになり、弊社が公平な立場を保てなくなり、
プロバイダ責任制限法及びそのガイドラインのかかる機能・趣旨に
反することになります。

したがいまして、このようなプロバイダ責任制限法及び
そのガイドラインの趣旨に鑑みますと、かかる事案においては、
原則としてプロバイダ責任制限法及びそのガイドラインの適用のみが問題となり、
ご指摘いただいた利用規約条項の適否は原則として問題となりません。

以上、ご了承くださいますようお願い申し上げます。

いやもう、全く以て予想の範疇を一歩も出ない回答であった。個別の要素についてのみ判断し、個別の要素について独立した事象として回答を返し、結果として総体で矛盾する結論を出すことを顧慮しない。「関知しないので当事者同士裁判でもしろ」と言っておきながら「多分開示できないだろうけど」との回答。まあガイドラインを固持しそれに外れた事例を判断しないと明言しているわけだから、その線に沿った結論としてはむしろ納得できるぐらいだが、肝心の問題は一歩も解決に近付いていない。
むしろ規約に定めた禁止事項の一部さえガイドラインの前に放棄を宣言しちゃってるわけで、解決どころか悪化している。
まあ最初から解っていたことではあるが。愈々gooに期待するだけ無駄ということが明らかになってしまった。


こうして一連の問題を見るに、つくづくとはてなのユーザフレンドリな姿勢には頭が下がる。個人情報登録騒ぎとか開示に絡む争議とか色々やらかしもするが、基本的に「ユーザに便宜を図る」ことを主旨として動いてくれる。spam対処なども早いので、結果として全ブログサーヴィス中でも群を抜いてspam率が低い。
「情けは人の為ならず」とは商売全般、とりわけサーヴィス業に強く言えることで、ユーザの利益最大化を念頭に行動することが、結果としてユーザの獲得に繋がってくるだろうと思う。
少なくともこの件を含めたいくつかの事例から、「NTT系列だけは止めておこう」という印象を強くした。流石は官営企業の系譜というべきか。