ボードゲームのデザインとして、雰囲気というのは結構重要な要素だ。
純粋にルールの面白さだけで遊ぶ「アブストラクト」というジャンルもあるが、やはり雰囲気のあるモティーフを採ったゲームの方が全般に人気が高い。
多くのゲームは多分、最初にシステムありきでデザインされるのではなく、再現したいモティーフがあってシステムを考案するのだと思う。常にシステム案をストックし続けるプロの場合はそうとも限らないが、それでもモティーフにシステムが引っぱられる部分は少なからずある筈だ。
シミュレーション/ウォーゲームの類はもっと積極的に「モティーフの再現を意図して」システムが作られる。その結果として多少バランスに問題があるとしても、運用でそれをカヴァするような造り方が多い。例えばエースパイロットは飛び抜けて能力が高く有利であったりするわけだが、その代わりに対戦相手の側の機数を増やすことで均衡を取るようなデザインとなる。
これをもっと推し進めるとRPGとなってくる:ここに至ってはキャラごとの有利不利はあまり重要でない。特定の誰かが活躍し過ぎてしまうのは少々問題だが、幅広い状況を扱うゲームなので常に一人だけが活躍するようなことはないし、プレイヤー全員の協調制なので多少の凸凹があっても「全員の勝ち」な終わり方になるからだ。
さて、Wings of Warはウォーゲームの中でもプレイヤーが個人を担当する点でかなりRPGに近い存在であるので、ロールプレイを積極的に取り入れるとより面白くなりそうに思う。エース技能ルールを活かして「5機撃墜ごとに1能力獲得」のような成長ルールを採用したり、敵にエースを出して渾名を付けてみたり。
WWI版の方には別売の専用フィギュアが存在するのだが、ちゃんとレッドバロンことリヒトホーフェン機は真っ赤だし、そのほか後の空軍元帥ヘルマン・ゲーリングの乗機は純白の機体であるらしい。こういう特別設定があると(能力には反映されないとしても)結構燃える。ちなみにWWII版の方の追加パックには「独軍に鹵獲されたスピットファイア」なんてのもある。
そういや昔、冒険企画局がドラゴンマガジンで連載してた「やっぱりRPGが好き!」にはD6振るだけの簡単空戦RPGが登場、「こんなルールでもマスタリング次第で盛り上がる」という例を紹介してたな。
メモワール'44の方は主にノルマンディー作戦前後の陸軍をやるので、軍事に興味ない方はせめて「プライベート・ライアン」でも見ておくと雰囲気出るんじゃないかと。こちらは部隊単位での運用でありプレイヤーの立場は師団指揮官ぐらいの所なので、いまいちロールプレイな感じにはならないけれども。