TRPG判定処理の問題として

TRPGは面白い遊びだが、ゲームとして見るとあまり出来が宜しくないことが多い。これは無論「ルールだけ規定してゲームデザインはユーザ任せ」という性質にも起因するものだが、それ以前にルールとして、ゲーム性を支援する方向にないのが問題なのではないかと思う。
例えば行動判定に於いて、大半のゲームでは単純な乱数を利用する。それ自体は別に構わないのだが、成否の基準値を明示的にコントロールする術がないのだ。一応、ゲームマスタ用の指針として「難易度ごとの目標値」などが定められてはいるものの、「この行為の目標値はいくつ、リソースをこれだけ消費すればいくつまで下げられる」などという明確な基準が示されるものはまずない。だから、
「ゴブリンAを攻撃します」
「じゃあ戦闘スキルで判定。目標値は10」
「命中、ダメージ5点ね」
みたいな味気ない処理になってしまう。
それでも戦闘に関してだけはまだオプションが用意されていることもあるのだが、もっと全体的にリソースコントロールやディレンマの要素を取り入れられないものだろうか。


調査フェイズで漠然と「周囲に聞き込みします」なんて宣言で判定するだけで済ませてしまうような光景はよく見られる。これは失敗のリスクが明示的でないことで生じる問題だと思われる。例えば予め「調査可能な回数は1人1回。全員失敗すると事件は最悪の結末を迎えることになる。調査費用を使うことで成功率を高めてもいい」なんて宣言しておくとか*1、漠然とした宣言を認めず「何について訊くのか」を指定させるとか。
もっと言えば、知識以外の頭脳活動に関してはそもそも判定すら不要-----というか害悪だと考えている。「誘拐犯は人質を取って立て籠っているよ」「じゃ説得技能で判定……クリティカルしたから無条件で投降してくれるよね?」なんて有り得ない。対話形式で実際に犯人(役のGM)を説得するのが筋だろう。そこへ何らかのリソースを投入できるとすれば、それは「経験値を消費して」とかいったようなシステム上の話ではなく、ゲーム内世界リソースとして「犯人にどのようなメリットを提示するか」部分だと思われる。


……えー、後半リソースコントロールの話からも逸れてしまったが、まあ要するに「漠然とサイコロ振るだけのゲームにするな」ってことで。

*1:たしかガンドッグあたりでは調査時に投入する金額(の桁数)による修正がルール化されていたような