自ら門を狭める

SONYって妙なところで商売下手だと思うんだが、なんでわざわざシェアを狭める方向に梶を取ろうとするんだろう。


PSシリーズはどうも「一人遊び」傾向が強い。当初はポリゴンを使ったアクションゲーム主体だったのか、SONY自ら陣頭指揮取って「RPGを充実させる」方向へ進んだわけだが、これは結果として「大作主義」を推し進める結果ともなっているように思う。
一人で長時間楽しめるゲームとなると、難易度の高いアクションで繰り返し練習させるか、長大なストーリーを楽しむかに二分される。前者はどうしても敷居が高くなりがちなので、本数を稼ごうと思ったらどうしても後者のアプローチが主体となってしまう。
しかし、正直なところ制作に手間がかかるのも圧倒的に後者の方で、いきおい大会社の製品のみに絞られることになる*1。すると次第にタイトル数が減る→やるゲームがない→本体も売れない→ますます本数が売れないという悪循環。それでもPS時代は様々なゲームが登場していたし、PS2は互換性+DVD再生環境という高付加価値によってシェアを延ばしたからニッチ狙いのゲームも多数登場し、充分にやって行けた。けれどPS3は「本体高い」「互換性ないからゲームない」「付加価値要らない」で壁を乗り越えられずにいる。


任天堂はこれを「みんなでゲーム」の姿勢を徹底することで乗り越え、Xboxは通信環境の提供により打破した。しかしPS3はますます一人ゲームの様相を強くしている。セーブデータの持ち出しも不可能だから、データだけ持って遊びに行くことさえできない。
そして競合機が巧くやるということはサードパーティーを奪われシェアを奪われることと同義だ。一人転落状態のPS3に起死回生の手はあるんだろうか。大出血覚悟で本体価格を3万以下まで落とす?多分それじゃもう遅い。やろうと思えばXboxだっていつでも値下げできるし、Wiiは最初から3万以下だ。
PSPはやっと上向いてきた。当初は動画プレーヤ的扱いだったのがモンスターハンターのヒットなどでゲーム機として開花、SONYの独り遊び路線ならいっそパーソナルに徹底したPSPの方が適任だ。PS3に再生の道があるとすれば、もう機能を限定してPSPの母艦としての任務に最適化した方がいいんじゃなかろうか。


ついでにメモリースティックの話。あれは永らくSONYのみの採用でシェアを拡げられず、価格面などで差を付けられてしまったわけだが、PS2が出たときに記録媒体として採用していたら状況は随分違ったんじゃないかと思う。PS2用のメモリーカードは8MBだがMSなら当時でも32MB程度までは存在した。容量の大きなデータが置けるようになればゲームの幅も拡がってくる。
2006年時点でMSの累計出荷数は2億を突破したそうだ。対して後発のSDメモリーカードは2008年で4億。時期が同一でないので単純比較はできないものの、シェア・普及速度ともに大差を付けられているらしいことは窺える。
小型メモリーカードの用途は主にデジカメと携帯の記憶媒体と考えられるが、そこへ累計1億台のゲーム機が加わっていたらどうなっただろうか。メモリーカードは結構容量が一杯になったり、また用途別に分類したりで一人あたり数枚の保持も珍しくない。1億のゲーム機で3億の販売が期待できるかも知れなかったというわけだ。
何故かSONYPS3でもMSの採用を拒んだ。読み取り用のスロットはあるものの書き出しはできない謎仕様。


ウォークマンも独自フォーマットに拘りMP3採用が遅れたことで痛手を被った。まあこの市場はどのメーカもiPodの蹂躙を避けられないから、SONYだけが下手を打ったわけではない。とは言え大きなネームヴァリューを失ったとは言える。
いずれにせよiTunesiPodの最強タッグを崩すことは不可能だし、それに匹敵する自社環境を整えるというのも(ソフトウェアに弱い)SONYでは無理があっただろう。本当はSONYも独自OSを……とまでは言わないにせよ、ソフトウェア開発に注力すべきだったんじゃないかとは思う。それは丁度、メディアPCとしてのVAIOの戦略にも一致していた筈だ。


SONYが高い技術力と独創性を持った強豪であるのは誰しも認めるところだが、どうも自社の強みを活かすのが下手なように見えて仕方ない。

*1:小規模な会社で大作を作れないこともないが、どうしても作り込みに甘さが出てしまい評価を落とす羽目に