荒らしへの対策は状況に応じ様々だが、中でも対策困難な例が「物量作戦」。
物量作戦は荒らしが多数いる、或いは荒らし書き込みが多数あって潰し切れないケース。荒らし対策の基本は完全無視だが、現実には不特定多数の人物が集う場所ではその徹底も難しく、また割合の多さから全体が荒れた印象になりがちで別の荒らしを呼び寄せてしまったり良識あるメンバが徐々に離れたりで荒れ率が益々高まってしまう悪循環に陥る。
とりわけ完全匿名で明示的な管理者が不在の場(2ちゃんねるのID非表示な板や増田など)では荒らし側は単なる中傷発言などだけでなく論争を呼び易い話題の投下や自作自演による炎上加速、多数派に見せかける工作などをしたい放題なので対応が非常に難しい。
しかし、こうした場合でも何らかの形で共通の敵が明示されると流れが変わってくる。人間、大いなる敵の前では小事を忘れて結束し易い。
2chの某スレはある海外メーカ製品ユーザの交流スレだが、同ジャンルの他製品ユーザから誹謗を受け易いメーカであるためスレ自体荒れがちで、とてもまともに情報が交換されているとは言えない状況にある。
しかし、荒らしの一人がうっかり他スレで使っているのであろうコテハンで荒らしコメントを投下したのを契機に状況が一変した。誰かが荒らしなレスをしても「○○乙」の一言で済ませられるのだ。
実際にそれが同じ人物による投稿かどうかはこの際関係ない。ただ単に、「荒らしは一人」ということにしてしまうことで敵が矮小化され、いくら荒らし割合が多くても無視できる心理状態になるというのが重要なのだ。
概ね荒らし方向に活用されがちな自作自演だが、こういう状況下であれば逆にも活用可能であるように思われる。つまり、自身がいかにも「うっかりコテハンで投稿した」かのように特定の荒らしコテハンで書き込んでおき、自分自身を含む誰かによってそれが指摘されれば、その先仮想敵として機能するだろう。防衛のためとはいえ詐称を行なうには些か抵抗あるが。