TRPG戦闘考:行動回数問題

ほとんどのTRPGシステムでは1ターン1回行動制を採用している。敏捷度など素早さを表す能力値を基準に行動順序を決定し順に行動する仕組みだ。確かに早く動くほど先に攻撃でき、それによって斃すことができれば反撃を受けずに済むので有利と言えるのだが、代わりに手番が後の者は他の動きを見てから対応を決めることができる*1ので、早い方が有利というほどでもない。
また、この方式はリアリティの面でも奇妙と言える。動きの速さに関係なく一定時間内の行動回数が同じだからだ。厚い鎧に身を包み、大きな武器を構えた重装の戦士と、ごく僅かな防具と軽い小剣を身に付けただけの剣士が戦うなら、多分身を躱しながら手数で攻める剣士に対し攻撃を耐えて一撃のチャンスを狙う戦士……といった構図になるだろう。
勿論、それらを抽象化した結果として「1回の攻撃」という処理にしてしまう、というやり方もあるにはある。例えばT&Tの戦闘システムなんかがそうだ。けれど、それならそれで軽装の剣士には「命中補正は高いがダメージが小さい」などの設定が必要となる。それなしに単純に1回の攻撃としてしまうのでは、連発できないマシンガンのようなものでまったくの役立たずだ*2
1戦闘ターンの長さにもよるが、SWなんかは10秒ごとに1回しか攻撃できないわけで、ちょっとのんびりしすぎだと思う。一方でGURPSみたいに1秒に1回行動というのもせかせかし過ぎじゃないか。


サイバーパンクなど一部作品では複数回攻撃の処理がある。シャドウランでは「イニシアティヴ値の高い方から10毎に1回行動(2版)」だったルールが「全員が行動した後に2回目以降動く権利のあるキャラが行動(4版)」に代わった。この方が、「速い奴が何度も攻撃してからやっと遅い奴に回ってくる」じゃない分、不公平感は少ない。とは言え、それは最初の戦闘ターンの間だけの話で、自分の行動が終わってから次に回ってくるまでの間で言えばやっぱり同じことなんだけど。
理想を言えば、ウェイトターン制のような感じで「速い奴が5回動く間に遅い奴が3回動く」みたいに平均化できるといいんだけど、コンピュータなしにその処理をするのはちょっと骨だ。
いっそ1分単位ぐらいにして、その中で行動ポイントを使って好きに動くとかいう処理にしたい。成功度か何かに応じてポイントを消費し、最高値からコールして徐々に減少しながら現在値と同じところで行動開始/消費完了で行動完了するイメージ。そうすると移動→攻撃→移動とか、相手の攻撃完了より先にこちらの攻撃を完了させてカウンターとか、色々考えられる。

*1:処理上は同時行動となっているバトルテックでは、素早さの代わりに戦術能力で行動宣言順を決め、主導権を得た側が後から動く

*2:実際にマシンガンの処理でも複数回判定の例は少ないし弾幕ルールもなかったりすることも