- 出版社/メーカー: キャラメルBOX
- 発売日: 2006/10/31
- メディア: DVD-ROM
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原因不明の次元接触災害に見舞われる近未来。災害の発生は高精度で予知可能であるため人的損害は少ないが、その地は二度と居住不可能になってしまう-----つまり、このままでは世界が破滅する。
災害そのものを抑止する手段は発見されていないが、災害そのものをなかったことにする手段が東京は東雲の新造埋立地で研究されていた。云わば意思により平行世界を選択するシステムである。核となるのは明らかに人為を超越したオーパーツ、基本構造はエレクトロニクスと魔法陣の複合術式、キーとなるのは6人の感応者。彼らは極限まで精神を昂らせるために、システム内部の仮想世界で死合いを演じる武芸者である。
SFとオカルト、それに剣術を組み合わせた複合エンタテインメント。
……まあ要するに現代で真剣による試合をするにはどうすればいいか、という辺りが開発の端緒だったのではないかと思うのだが、結果としてはなかなか綺麗に纏まったものになっているのではないかと思う。随所にSF/神秘学/クトゥルフ神話などが鏤められていて結構マニアック。
この手のゲームが宿命として抱える問題点なんかも見えてしまう*1のだが、それでも総体としてはかなり楽しめる作品であると思う。
文章はなかなか軽妙で、分量を苦に感じさせないだけのものがある。選択肢の繋がりがちょっと変……というか、回想シーンなどで時々この回の選択肢ではなかった筈の文章が紛れてくる部分があるのと、普段は主人公の一人称視点なのに主人公不在シーンで唐突に視点の主体が変化するのは気になるところだが。
システムには独自名称が与えられているものの、基本的に単なる選択肢制アドヴェンチャーであり目新しさはない。
グラフィック、サウンド共基本的に不満はない。もっとも、そこはゲームとしてはあまり重要な要素ではないのだけれど。
総合的なシナリオ理解のためにはある程度のSF/神秘学/クトゥルフ神話知識が必要である。もう一つ主要な知識体系として剣術が挙げられるが、こちらは「知っていれば楽しみが増える」程度であり「知らないと理解し難い」前述の3項とは少々趣きが異なる。
中でもクトゥルフ神話知識はかなり限定的な体系でありながら世界設定全体に関っており、これを知っているかいないかで随分と理解/楽しみが異なるのではないかと思う。
*1:ほんの数日の間に肌を重ねるほどに仲を深める展開がかなり不自然であるとか、ヴォリューム稼ぎのためのどうでも良い文章が多いとか、基本的にゲームとしては単調だとか