タイトルによる印象の差

このふたつは同じことを報道しているわけだが、まったく反対の結論を導こうとしている。
中日新聞作業部会メンバーの内山真日本大教授は記者会見で「インフルエンザで異常行動が起こりうることが分かった。薬が直接何かを起こしているという可能性は小さいことを示唆するデータ」と述べたと異常行動とタミフルの関係には否定的。読売も同部会メンバーの内山真日大教授(精神医学)は「インフルエンザ自体が異常行動を引き起こしている可能性がある」と話すインフルエンザ脳症による異常行動の可能性には言及するが、依然タミフル薬害の方を疑う論調である。


なお、タミフルの薬害可能性についての研究結果ではこの件とは別に06〜07年の18歳未満の患者約1万例で、タミフルを服用していたのは7181例。うち、「大声で叫ぶ」「理由もなく笑う」などの異常行動を起こしたのは10%の700例。一方、服用しなかった2477例のうち、同様の異常行動をしたのは22%の546人だったと、むしろタミフル服用群の異常行動割合が半分以下という報告がある。人数に差があるものの割合を見るには充分な精度と言えるもの。
タミフルに異常行動を引き起こす害がある可能性を完全否定するものではないが、むしろインフルエンザ脳症によるものと考えるのが妥当に思われる。
そうした状況を踏まえるに、タイトルとして適切なのは中日新聞の方ではなかろうか。