新たな疑念

以前、WebアプリとしてのWebブラウザというのはどうか - 妄想科學日報というエントリを書いたわけだが、実はそのまんまなサーヴィスが存在することを知った。
http://palary.org/
いやまあ実際には、前段で要求した重要機能である「アカウントごとの開いたウィンドウ記憶機能」どころかタブによる複数ウィンドウ表示機能すら備えておらず、単にヒストリとブラウザ固有ブックマークをオンライン化するに留まるのだが、それはそれとしてこの仮想ブラウザを使ってみて少々考えてしまった。


ブラウザというのはWeb上のあらゆる情報を閲覧するものである。アクセス制限のかかったエリアだろうがパスワードだろうが、すべてはブラウザを通過してやり取りされている。つまり、ブラウザに対してはあらゆる秘密を隠しておけないのだ。
それがローカルのアプリケーションであれば、そう気にすることはない。アプリケーションが保持している秘密情報を見るのは自分だけだから。しかし、オンライン上の仮想ブラウザとなると話は別だ。このサーヴィスを提供する者は、ブラウザが送受信したあらゆる情報を取り出す権限を(技術的に)有している。履歴はおろか、入力した個人情報やパスワードの類まですべて、だ。
余程信頼のおけるベンダが提供するサーヴィスでもなければ(それでも内部の個人個人を信頼するには至らぬから、実質的には見知った個人の提供でもなければ)ブラウザをWebに渡すのはかなり危険なことだと言えよう。


ところで同じことはメールにも言えるのであって、メールサーヴィス提供者はサーヴァを通過するすべてのメールを簡単に傍受できる。読まれて困るものは暗号化するなど、何らかの対策を取るべきだ(実際に読まれているかどうか、はこの際重要ではない)。
で、palary.orgにユーザ登録してみたらIDとパスワードをメールで通知してきた。つくづくプライヴァシーポリシーの甘そうな運営母体なので重々注意されたい。