ニコニコ動画の威力

週末ずっとニコニコ動画に見入ってしまった。これは恐ろしい。


巷で話題になったVOCALOID初音ミク」の歌うzabadak「遠い音楽」を聴くためだけにアカウントを取得してみたところ、その界隈の充実ぶりに驚いた。
正直、動画を見るだけならYoutubeでほとんど用が足りている。ストック量は世界一、日本語の扱いにも問題はない。それでもニコニコ動画を集中的に見るのは、コメント投稿による意識共有の心地良さ故だ。
例えば音楽を聴くのに、CDの方が演奏は纏まっていて聴き易いしコストパフォーマンスも高い、にも関らずライヴを聴きに行くのは、その場の雰囲気を楽しむためである。ライヴ録音を聴くのでもなく、やはり「その場にいたい」のだ。
ニコニコ動画のコメントはこれに近い。その場にいてリアルタイムに空気を感じているわけではないが、タイムラインに応じたコメントの応酬により時間も場所も離れたユーザとの感覚共有が可能になるというのは一種独特だ。


もう一つユニークなのが広告機能である。
ニコニコ動画のコンテンツは、厳密に著作権を問えば違法となるようなコンテンツが確かに多い。Youtubeなどでも決して少なくはないものの、海外共通のシステムであり、向こうではむしろホームヴィデオを公開してしまうような使い方が多いから、相対的に著作権を無視したコンテンツの割合はそう多くない。
その代わり、というのも変ではあるが、ニコニコ動画ではその下にAmazon商品へのリンクが示される。これはユーザなら誰でも関連すると思われる商品を追加できるもので、自動表示ではなく完全に手動でマッチングされる分効果が高い。クリック数や購入数を公開し、広告掲載の効果が見えることで掲載そのものに満足感を与える手法も巧みだ。無論これは罪滅ぼしなどではなく収益を目的としたニコニコ動画運営者によるアフィリエイトリンクなのだが、結果として僅かなりと売り上げが伸び、実効性のあるプロモーション手法となっている面もある。
とりわけマイナなアーティストの曲などはファンの自主的なプロモーション作成が盛んで、確実にファン層を拡げている様子が伺える。こういうのは闇雲に削除を要請するより、黙認して営業活動の一貫としてしまった方が理に適う。
問題は唯一、著作者の利益を無視して自らの利益確保に余念がない某著作物管理団体の存在だけだ。彼らにしてみれば使用料を払わず公開されるコンテンツは目の敵でしかない。ここさえ黙らせられれば、著作者とファンとシステム運営の三方に利のある理想的な共存関係が築ける筈なのだが。