マシンガンの存在がゲームシステムをややこしくする

一度のトリガで何発もの弾丸を放つ素敵な武器、それがマシンガン。現代戦では欠かせない存在だが、ゲーム化を考えたときには非常に厄介な存在でもある。


マシンガンとは端的に言って、多数の弾丸を散布することで回避を困難にし確実な命中を狙う武器である(これを弾幕という)。従ってマシンガンの「命中率」はかなり高い。
一方で、マシンガンには副次的な効果として複数の弾丸がヒットすることによるダメージの向上という側面もある(集弾)。1発では戦力を喪失させるほどでなくとも何発も命中すれば無事では済まない。装甲目標にしても、連続して命中することで徐々に防御力を削ぎ、効果的な打撃が期待できる。従ってマシンガンの「ダメージ」はかなり高い。
しかし、ちょっと考えると解るように、両者は基本的に両立しない。弾幕を張れば密度が薄くなりダメージは下がるし、集弾させれば命中率が下がる。すると、予めダメージを高く設定したり命中率を高く設定するよりは、ある程度選択的にバランスを調節できるようなルールが好ましいということになろう。


もうひとつ難しいのは、「何発が命中したか」という判定である。単純化すれば、弾丸の威力×命中数だけのダメージが発生することになるわけで、このダメージの変動性はマシンガンの重要な要素だ。
コンピュータゲームならばバックグラウンドでどんなに複雑な処理を行なっても支障はないが、TRPGなど人力で処理するゲームの場合はなるべく処理を簡略化しないとプレイアビリティに支障が出てしまう。
素直に処理するならば、システム上一番単純で理解し易いのは「発射数分だけ命中判定」という方法だろう。この方法でただちに弾幕密度を表現できるわけではないが、そこは複数同時目標化のルールなどを整備することである程度表現できる。
ただ、それでも問題は残る。
第一に、1回のトリガで何発発射されるかは(セミオートのように上限が固定されているものでなければ)不定だということ。そこまで表現しようとするならば、まず発射数の判定を行ない、然る後に命中判定を発射数に応じて行なうことになる。
第二に、判定を何度もやるのは面倒ということ。行動としては1回なのだから、判定も1回で行ないたいと考えるのは自然だろう。そのための方法のひとつは多数のダイスを一度に振ってしまうことだが、この方法では1発につき1ダイスしか使えないので数値の変動範囲が狭い欠点がある。多数入手し易いD6なら最小〜最大の差はたった5。そうすると上手-下手の能力差もその範囲内で収めざるを得なくなる。D20を使えれば変動率は解消可能だが、一つあたりの価格がD6より高いので多数を用意させるのは結構な負担だ。
第三に、(これは殆どのシステムでそこまで処理していないので無視しても構わないだろうが)命中箇所を判定する場合に命中数だけ再度処理が必要になるということ。10発撃って5発命中したら、1回の攻撃で合計15回の処理が必要だ。ちょっと冗長すぎる。


これらを総合して1回の判定ですべてこなす方法を模索してみた。今のところ有力なのは、命中-回避の達成度差を基準に命中数を算出する方法や、命中箇所判定シートの上に発射数分のダイスを転がして出目で弾丸ごとの命中判定を、ダイスの位置で命中箇所を決める方法など。問題は、連射に拘り過ぎて単発の処理がお粗末になる点か。