本物のキュービック・ジルコニア(天然石)

アクセサリの情報にこう書いてあるのを見て仰け反った。キュービック・ジルコニアが何だか知らずに売ってるんだろうか。


キュービック・ジルコニアとは、ダイアモンドの模造品として登場した人造石である。高い透明度と屈折率でダイアモンドによく似た輝きを放つのでイミテーションとしてよく利用される。
美しい輝きを有するわけだから、これを単純に宝石として扱うことに否やはない。しかし「本物のキュービック・ジルコニア」という表現は(それ自体が本来ダイアモンドの模造品であることを考えるに)かなり違和感があるし、人造の石であるから「天然石」というのは完全に間違っている。
人造石であることを明記したページでも「人造ダイヤモンドと呼ばれます」などと書いてあったりする。合成されたダイヤモンドというのは別に存在するし、ダイアモンドは炭素の立方晶、キュービック・ジルコニアは立方晶二酸化ジルコニウムを主体としていくつかの不純物を混合したもので、そもそも組成が全く違う。これをダイアモンドと呼んでしまうのは、どう控え目に見ても嘘だ。


チャチなアクセサリショップならともかく、仮にも宝石を扱うような店でキュービック・ジルコニアのことを知らぬ筈がない。すると、こうした書き方をしている店は余程無知か、或いは知っていてわざと誤解を与えるような書き方をしているか、いずれにせよ信用しない方が良さそうだ。