半径ワンクリック

言い得て妙だと思った。要するにごく狭い巡回経路のみで情報取得が完結する状態のことだ。
キーワードでは揶揄する言葉として語られているが、私はそれを必ずしも悪いことだとは思っていない。


人間だれしも情報を取捨選択して生きている。私にとって重要な情報があなたにとって重要とは限らないし、逆もまた然り。無理に広い知見を得るべく興味のないジャンルまで収集するのと、その時間を興味ある範囲の収集に充てより深い知見を得るのと、どちらが良いかは一意に決められるものでもない。
私の情報取得範囲からは政治と経済と芸能とスポーツが意図的に省かれている*1のだが、それでも本当に重大なニュースは否が応でも飛び込んでくるし、代わりに一般的にはあまり注目を浴びない系列のニュース-----主に科学技術関係の話題を中心とした-----は広範囲に収集できるようになっている。私にとってはその方が有益だ。
主要な入手経路ははてなブックマークRSSリーダ、正にこのキーワードで述べられた「受動的な情報収集に安住する様」なのだが、この状態は実のところ一般より遥かに能動的であることは申し添えておく。RSSリーダへの登録は自身で有益な情報源を絞り込んだ結果だし、はてブからの情報収集も玉石混淆な中から有益なものを選び取るわけで、無為な情報の羅列をただ受け取るだけではない。新聞やTVからの情報を受信するだけの状態の方が余程受動的と言える。


まあ能動的だから偉いというものでもないのだが。
新聞とTVを主要情報源に選んだ人はそれが労力対効果に於いて優れていたからそうしただけのことだし、はてブRSSを選んだ私にとってはそちらの方が上だったというだけのこと。単に最適化の結果であって、どちらが良いとも言いかねる。
むしろワンクリックの範囲に必要なものを収めるべく最適化するということ、そうできるということは重要な技能ではないかとも思う。
ただ、情報が常に更新されるべきであるのと同様、情報源も更新されるべきではある。ある時点で最適に思えた情報源が必ずしも永劫に有効とは限らないので、そのチェックを怠らなうこと。それさえ果たされるならば、半径ワンクリックはむしろ好ましい状態を示す言葉となり得る。

*1:余談ながら、このジャンルを除外すると一般社会でほとんど共通の話題を得ることができない