Blogでの対話であっても、それに参加するのはそのBlogの所有者ばかりではない。何か一家言ある人物がコメントやトラックバックで物申す。
だが現在の、個人所有の1箇所にそれらデータが集約される方式では、コメントもトラックバックもその所有者が自由に変更可能になってしまう。受信側が削除しても送信側が残り、内容に干渉されないトラックバックはまだ良いが、コメントとなれば削除されたとしても送信した本人とBlogの所有者にしか判らないから、たとえば批判をほとんど削除し賛同の声のみ集めたとしても、外部からは認識しようがない。更には、Blogによってはコメントを所有者が書き換え可能なものすらある。こうなるともう、どれが真の情報なのか。
そんなところでの議論など議論にならない。批判が削除され、あるいは都合良く改変される(実際にそれが為されたかどうかではなく可能性の問題だ)場所での議論は最初からフェアではない。
ところではてラボの匿名ダイアリーでは、匿名ダイアリー中での言及関係をツリー構造に整理し表示する機能が備わっている。あれと同じようなことが、Blog全般についてできないだろうか。
あるエントリに対する言及エントリが一覧され、それに対する返信があればその下にネストされる。すると議論が順を追って確認できるから、対話が整理し易い。
この機能自体はどのBlogとも独立したデータとして存在すべきだ。それをトレース開始するのは誰かの手であっても良いが、内容については自動であること。そして、例えばその内容をRSSのように標準化された形式で(多分RSSではネスト構造を保持できないから実際には別の手段が必要だが)出力し、各Blogがプラグインなり何なりでそれを取得表示する。すると、少なくともこれを採用したBlog間では対話が整理し易くスムーズに意志の疎通が図られる。
議論の目的は互いの意志疎通であって自説の勝利ではない、という単純な事実はしばしば(議論を生業とする者にさえ)忘れられるので。
